親愛なる妹へ

いつも通りの朝。


まず、親が家にいるかを確認する。

もしいれば、親の分と妹の分の朝ご飯をつくる。

いなければ、妹の分だけつくる。


自分のお弁当をつくる。


行ってきます。


そう言いつつも、返事なんかこないことは知っている。


学校へ行く。

学校は楽しい。

余計な事を考えなくて良いから。


授業を受けて、部活に行って、家に帰る。


ただいま。


そう言うと、


おかえり


と、妹が迎えに来る。

本当に可愛いやつだ。


ご飯を作り、妹と一緒に食べ、風呂に入らせ、歯を磨かせ、自分のことをやった後に一緒に寝る。


時々妹は聞いてくる。


今日はママ帰ってくる?


俺は言う。


寂しいの?


すると、いつも妹は笑いながらこう答える。


お兄ちゃんが居るから寂しくないよ。


それを聞くと心が幸せで満たされる。



いつも通りの朝。


今日は親がいない。


妹の分のご飯を作っていると、後ろで物音が聞こえた。


妹が起きてしまったらしい。


もう少し寝てろ。


 

そう声をかけると、


今日は一緒にご飯食べる。


そういってきた。


妹と朝ご飯を食べるのは初めてだ。


眠いはずなのに…。


お兄ちゃんのご飯は美味しいね。


そう俺に笑いながら言ってくる。



俺は思う。

親なんか居なくてもいい。



行ってきます。


行ってらっしゃい!!


この愛おしい声が聞けるなら。


これからも、二人で支え合って生きていこう。



To親愛なる妹へ


From青空リク






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