幕間
「そして――」
その先を聞いた若者達は、顔を青ざめてうつむいていた。
「――この悍ましい蛮行は、男が魔物として
あまりにも惨たらしい話だった、酷い話だった。
――ああ、これは確かにあの幼く無垢な少女には到底、聞かせられまい。
若者たちの一人、王子よりも少し年上の女騎士がとうとう耐えられなくなったのか顔を蝋の様に白くさせて、口元を抑えその場にしゃがみ込む。
「……そこな女、吐くなよ」
喪服の少女がしゃがみ込んだ女騎士を睨めつける。
「抑えろ抑えろ、私の屋敷をこれ以上汚してくれるな、ただでさえ穢れた血で汚れているというのに」
悪態をつく喪服の少女を、女騎士は涙で湿った目で見上げる。
「だがまあ、安心するがいい。これよりも酷い話はこれ以降にはない。これが女の人生において、最も酷かった時期だからな」
あれだけ悲惨で惨い話を語った少女の顔色は、彼らがこの場に訪れた時から微塵も変わっていなかった。
そういえば、この少女はこの話を寝物語に育ったといっていた。
喪服の少女は王子と同じ年だと聞いている。
そんな年端のいかぬ少女が、自分よりも幼い少女が、こんな酷い話を平然と語り続けている。
それもまた――途轍もなく酷い事なのではないか。
女騎士がその考えに辿り着いた直後に、喪服の少女は話を再開した。
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