第五幕:殺人
「結局、お前は何が言いたいんだ」
「………」
「どうした、よく喋ったと思ったら今度はだんまりか」
「いや…あなたにどうしたらわかってもらえるだろうかと考えていた」
「…」
「思春期の中学生みたいなこと言ってもいいか?」
「はあ?」
「なぜ人を殺してはいけないんだ?」
「………お前な」
「いや本当に、真面目な話としてだ。なぜ人を殺してはいけない、とされているのか」
「…当たり前の話だろ」
「その通り、当たり前だ。だがさっきも話したように、死刑や戦争や正当防衛といった状況では人を殺してもよくなるじゃないか」
「よくはないだろ」
「ではギロチンの断頭にまみれたフランス革命が賛美されるのは何故だ?エノラ・ゲイの乗員が英雄視されたのは?正当防衛の例は思いつかないので勘弁してくれ」
「それは…」
「人殺しを賞賛しつつ、殺人を憎悪する。まさに矛盾だな、人間というやつは」
「………」
「…村田さん自身は私をどう評価する?」
「………」
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