第17話 学園で視る者とは (9)
アル・ティストラルという謎の人物と出会ったルゼは興奮を抑えられずにいた、自身の存在をあそこまで看破した者はこの世界に降り立って一度もいなかった、そしてアル・ティストラルが言うに、アイデントも恐らく私の存在自体には気づいている可能性が高い、なんせアル・ティストラルが警戒したほうがいいとうながすくらいだからである
ルゼは過去見てきたあらゆる術式を組み合わせ、組み込ませた杖を創造する、その杖の素材はかつて別世界のエネルギーの象徴であったユグドラシルと呼ばれる神樹から作られたもの。
「大会では、この力を使う事になるでしょう、博学の者がいれば気づく事もあるかも知れませんが、大抵の者は気づく事はできないでしょう」
そして翌日ルゼは魔法学園へと向かう
「おはようございますルゼさん」
入り口で声をかけてきたアイデント
「おはようございます、スタジアムの件は申し訳ありませんでした」
実際に破壊したわけではないが、それに結び付けたのは自身であると考えたルゼはアイデントに謝罪する
「いえいえ、実際すごい戦いでしたからね、見入ってしまうのも無理はない」
ルゼはアイデントに向けて 一礼する
そして一礼を終えるとアイデントに向けて
「それで、どうされました? 貴方が朝一番に私に会いに来るなんて、何もない...という事はないでしょう?」
「勿論です、明日の大会の前に同じ競技に出る者同士で話し合いをしたり、この学園の代表者以外の者へ、この学園の代表として大会に行くことを言葉にして示してもらう必要がありますので」
「なるほど、了承しました」
「それでは、この学園にいる全ての者はあと2時間後に第一広場に集まります、その時に言うセリフも考えておいてくださいね」
アイデントはルゼに笑顔を向けるとそのまま背を向けて学園へと足を進めた
ルゼは同じ競技に出るフレイとアリスを探す
「2時間となるとあまり時間をかけて探すのは面倒ですね、魔法でサーチするとしましょう」
ルゼは術式を展開しとても薄い魔力の波動を学校を包み込むように展開する、その薄い魔力によって、地形から動く人物など、全てを把握する事ができる。
「既に2人は第一広場にいるようですね、丁度いいので私も向かう事にしましょう」
ルゼは2人に会うべく第一広場へと向かう
「お?ルゼじゃねーか!!おーい!おーいー!」
かなりの距離からルゼを発見したアリスはルゼの方を向いて、手を振っている。
「あら、早かったわね、もう少し後から来ると思ってたけど」
フレイとアリスは一緒にいて何かを話していたようだ
「お二人共ご一緒だったのですね」
「おう、作戦どうするかなーと思って、フレイと相談してたんだ」
「なるほど、それで決まりました?」
ルゼはフレイに向かって決まったかどうかの確認を取る
「相手は人知研究機関と兵装学園の代表だからね、人知のメンバーは特異な体質とかの持ち主が多いからなんとなくでわかるんだけど、兵装学園は日に日に進歩していく技術を纏っている集団の中でもそれを特に使いこなす人が出てくるから、かなりやっかいなのよ」
「なるほど、つまりその戦い方が全く違うと言っても過言ではないメンバーを2組、計6名相手に動くとなると、一筋縄ではいかないという事ですか」
「そういう事よ」
フレイを溜息をする
「フレイさんはどういった事を得意としているのですか?」
ルゼはフレイに問いかける
「私は炎の魔法をメインとしてるわ、勿論ほかの属性も使えなくはないけど、あまり期待しないで」
「神の焔...でしたか?」
「えぇ」
「暁翔太(あかつきしょうた)さんが仰っていました、神の二つ名を持つ者はそういないと、そんな神の二つ名を持つ者の炎属性の攻撃はさぞとてつもない火力がでるのでしょう」
「たしかにそうね、私の技は基本的に絶大な威力なものが多いわ、その分使用していると隙も生まれる、勿論そこを突いてくる敵を先読みして対策する事ぐらい私にもできるわ」
「なるほど、ではアリスを前衛に私がどちらの補助にも入れる中衛、一撃必殺ともいえる火力を出せるフレイさんは後衛という事でどうでしょう?」
「貴方の力を私はまだあまり見てないから、詳しい事は知らないけど、私はそれでもいいわ」
「俺もそれで構わないぜ、ルゼが補助してくれるならそれを超える安心はねーしな」
「ではそれでお願いします」
そんな事を話しながら相手となる学園などの話をしていると
「皆さんご一緒でしたか、丁度よかった、そろそろこの第一広場に人が集まってきます、代表者は別の場所で一度集まりますのでこちらに」
声をかけてきたのはアイデントだった
「もうそんな時間でしたか、それでは向かうとしましょう」
ルゼはアイデントの後ろをついていく、そのルゼの後ろをフレイとアリスがついてくる
第一会議室の前に立つアイデント、扉を開けるとそこにはほかの代表者が揃っていた
「おぉ?来たかよ」
ヴェイブ・アルダートがルゼの方を見て声を発する
「これで皆さん揃いました、いよいよ明日は大会です、この学園を背負って戦う事をお忘れなきよう、必ず勝ちましょう」
「はい!」
ほぼ全員がアイデントの言葉に返事をする
「それでは今回新しく代表に加わったルゼさんには第一広場にて 宣誓をしていただきますのでお願いします」
「わかりました」
こうして 全ての代表者が第一広場へと足を運ぶ
「あれが、初日で代表者に選ばれた人じゃない?!」
「すごいな初日で代表かよ」
「見た目も悪くないね...!」
「星の理と戦って勝ったらしいぞ...!」
「まじかよ...?!」
集まっている者の大体がルゼの話をこそこそしている
「人気者ですね」
アイデントは微かな笑みをこぼしている
「茶化さないでください...」
「失敬、それでは」
アイデントは広場に集まった全ての学園の者に
「我々魔法学園代表者は明日の大会に向け日々魔法に磨きをかけてきました、そして今回は新たに加わった者もいます、本日はその彼に宣誓をしていただきます、心して聞くように」
その言葉とともに、広場は一瞬で静かになった、誰の声も聞こえず、聞こえるのは風の音
そしてルゼは学園にいる者全てに向けて
「私の名前はルゼ・バイスタンダー、この魔法学園の新たな代表者として、この学園に勝利を約束します、我々代表者は、この学園の代表になったという誇りを胸に精一杯戦ってきます」
簡易的な宣誓を済ませたルゼは 後ろに下がる
「ありがとうございましたルゼさん」
アイデントがこちらを見てそう言葉を発する
「いえ、それでは明日の大会ではお互い全力で頑張りましょう」
「勿論ですよ」
こうして 前日の行事を終了したルゼは寮へと戻り魔の調整に入る
そしてルゼは休息をとる前に新たに武器を生成する
【かつて愚かで虚(むな)しき神は言った、虚(こ)は強気万象を打ち滅ぼす刃なり、その刃携えたこの剣は因果をも断絶せし虚無の剣...【約束されし終末の刻剣】よ】
ルゼが詠唱を終えると、黒きオーラを纏った剣が生成される、これを使う事になりそうですね
さて、調整だけして休息としましょう
こうしてルゼは明日の大会に向けて休息をとる。
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次回はいよいよ大会開始!!
他の学園の代表者とは!
魔法学園の他の代表者の戦いとは!
【今回新規】
【約束されし終末の刻剣】
因果をも断絶すると言われる黒きオーラを纏う刻の剣
見た目は禍々しくも、どこか神聖な波動を感じる矛盾した剣
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