第16話 学園で視る者とは (8)

アリスと永奏の戦いを見終えたルゼはアイデントに案内のお願いをされたフレイと共に学園内を探索することになった


「少しいいでしょうか?」


先ほどアイデントが使用した力が気になったルゼはフレイにアイデントの事を詳しく聞こうとする


「何??」


「先ほどアイデントが使用したあの力は彼の2つ名、地獄の最下層(コキュートス)に関係しているのですか?」


チラッっと横目にフレイの方を見つつ問を投げかけてみる


「ん~答えてあげたいところだけど、私もあんまり知らないのよ」


「彼は秘密主義なのですか?」


「そうか、そうでないか、この2択ならそうよ」


(ふむ、彼の力はまだまだ謎が多いようです、2人の動きを止める...止め方にもよりますが、初めて見た時の凍てつくような魔力とコキュートスという2つ名、恐らく系統は氷なのでしょうが...今はまだ不明な点が多いですね)


「さてと、はい注目!」


という言葉と共にフレイはある場所を指さしていた


「資料室ですか?」


「そうよ、あんた相手の事や私たちの事を調べる事が趣味のようだから」


「そうですね、情報とはとても大切なものですからね、持っていて損はありませんよ?」


「私は自分の事さえ知っていればそれでいいの、他人の事まで気にしてられないの」


「ふむ...」


(まぁ普通はそういう人の方が多いでしょう、なにもおかしくありません、むしろ私の方がおかしいかもしれませんね)


「はい!私は案内したからお仕事終了ぅ~っと」


ニコニコしながら資料室を背にスキップしている


「いってしまいましたか...」


少々戸惑ったような顔をしつつ、ルゼは資料室へと入っていく





「これは驚きました」


ルゼは本棚に沢山入っている本を左上から一冊ずつ取り出していく


「古代魔術に古代魔法、古代魔導まで、こちらは天界魔法や神界魔法、位階魔法まで、ありとあらゆる魔の書かれている本がありますね、これが一般公開だとすれば危惧すべきかもしれませんが、SS以上でなおかつ許可を得ているものしか閲覧できないと考えれば普通といえるのでしょうか」


ルゼが本を取りつつその本に目を通していると後ろで扉の開く音がする


「貴方程の人が今更得る知識などあるのですか?ましてここにある書は全て過去のものです、未来の知識ならまだしも過去を視てきた貴方に必要なものですか?」


「貴方は?」


「私の名はアル・ティストラルと申します、お初にお目にかかります、世界の傍観者ルゼ・バイスタンダー殿」


その言葉を聞いてルゼは殺気をアルに向けると共に鋭い眼差しで睨みつける


「そう殺気立たないでください、何も貴方に危害を加える事はありません、そんな事をしては私が逆に消されてしまう」


「貴方はこの学園の者ではありませんね」


「ご名答です、私は人知研究機関の創設者、故に所属は人知研究機関になります」


「偵察でもしにきたのですか?」


「まさか、世界の知識とも言える貴方が魔法学園などという小さい世界に囚われているものですから、見に来たまでです」

「あぁそれと一つ忠告しておきましょう、アイデント・セフェル、彼には気を付けた方がいいですよ、貴方の事ですから違和感は覚えてるでしょうが、人がなせる領域を彼は超えています」


「人も磨き続ければ可能だと思いますが」


「たしかに磨き続ければ可能です、ですが彼があの力を発言させたのは数年前ですよ」


「.....」


「それでは私はこれで失礼しますよ、貴方の顔も見れた、そして貴方と話しができた、人知研究機関創設者として感謝しますよ、世界の知識そのものたる傍観者よ」


その言葉を最後にアルは一瞬のうちに姿を消した、気配はもう感じられない


「なるほど、これは一波乱ありそうですね、次の大会では、私の傍観者としての所以(ゆえん)を見せなければならないかもしれませんね」


「フフ...ハハハ....まさか実際に間近で視るとこれほどまでに楽しいものだとは...」


「楽しみで仕方ありません..」


_____________________________________


次回は大会前日の作戦会議や学園の人間に向けた意気込みなど



今回新規登場


【アル・ティストラル】

人知研究機関の創設者にしてルゼの本質を見破った1人


人知研究機関とはかなり昔から存在している、その創設者となれば年もかなりとっているはずだが、見た目は青年に近い見た目をしている。

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