第9話 学園で視る者とは (3)

(さて...ハイドは思った成果は出せなかったようですが...)

(ふむ..残華の剣劇、なかなか面白い力を持った者がいるのですね)


「それでは!ルゼ・バイスタンダー vs セリア・ブランの模擬戦闘を開始します!」


5 4 3 2 1  開始っ!


カウントダウンが始まり開始の言葉が発せられた


「先手必勝という言葉!知ってる!?」


セリア・ブランは開始早々一気に間合いを詰めてきた

そしてセリアの拳はルゼに重い一撃を与えた


「もちろん知ってますよ」


「ぐッ!!」


重い一撃を受けたはずのルゼ...だが平然と反撃されセリアは少し同様しつつ距離を取る


「かなり素早いのですね、驚きましたよ」


「おかしいな、結構いいのくらってるはずなんだけど?」


セリアはルゼに対して疑問を投げかける、それに対しルゼはセリアの方に指を向け


「ダメージ、威力、それはスピードと重さ、あなたには重さが足りなかったのでは?」


ルゼは少し挑発するかのような口調でセリアに問に対する解を返す


「そっか、ふ~ん、なら...」


セリアは拳をルゼの方に向け


「ならその足りない部分を補う事にするよ」


セリアはまたルゼの視界から外れ、ルゼの背後を取る


(さて、どのように補うのか見ものですね)


ルゼの背後を取ったセリアはもう一度同じパンチをルゼの背後に与える


(ほぅ...そういう事ですか)


ルゼはおよそ10m程飛ばされる


「おいおいなんだ今のは!」


見ているハイドも驚いている


「あれ~?さっきの余裕はどうしたの~?」


セリアは先ほど挑発気味に言われたことに対する仕返しと言わんばかりに挑発してくる


「なるほど、私はてっきり先ほどの会話から重さを補うと勘違いしていました」

「ですが、どうやら君の能力は重さを補う力ではなく、力の方向指定の制御」

「基本的に人は相手に向かってパンチをする時、その拳以外にも力を使っている」

「足腰などがいい例ですね、ですが君の能力はパンチがヒットする瞬間」

「ほんの一瞬でその体のあらゆる力をその拳、そしてその拳が向かう私自身へと向けれるわけですね」


「どういうことだ??」


「つまり彼女、セリア・ブランは相手を攻撃する際に自身が所持する力の【全て】を対象に向ける事ができるという事です」


ハイドが謎めいているとアイデントがハイドに簡略化してセリアの能力を教えていた


「はぁ~すごい力だな」


(さて、能力は分かりましたが、わかったところであの速さは本物ですね)

(此方の攻撃をどう当てるべきか、まぁその気になれば簡単ですが)

(相手をよく知るいい機会なので、申し訳ないですが少し様子見をしますか)


「それでは次は私からいきますね」

【雷槍】


すさまじい電撃を放つ槍がルゼの手に現れた

ルゼは雷槍を地盤に刺し、フィールドの地面全体に電磁波を発生させる


「君の速さは厄介ですからね、速さを封じさせていただきます」


「う゛っ!体が...痺れて...!」


セリアは電磁波の影響で体が痺れ動けないでいた

ルゼは雷槍をもう1本生成し槍を投げる体制になる


「これで終わりですか?」


セリアに向けて雷槍を投げるルゼ

雷槍は強力な電気を発しながらセリアへとめがけて飛んでいく。


「私を、なめるなぁぁ!!!」


(ほぉ)


痺れて動けなかったはずのセリアが突如動きだし雷槍をさらに後退することでかわす


「驚きました、自身に流れる電気という力を操作し足に利用する事で移動速度を極限に上げ回避したのですか、自身だけの力ではなく、蓄積される力も操作できるのですね」


「これならどうだ!【空刃(くうは)!】


セリアはルゼに到底届かない一からのパンチをルゼに向けて放つ

するとルゼは何かに突き飛ばされたかのように壁まで飛んでいく


「まだまだぁぁ!!」


セリアは壁に飛んで行ったルゼに向け何度も空刃を放つ


(ふむ、彼女の力は応用力がかなりきくようです)

(ですがそれは彼女の力量の限界を超えれば制御できないのでしょう)


幾度とない攻撃により土煙がルゼの周りを覆う

その中でルゼは詠唱を始める


【光り輝く雷槍よ、瞬く閃光をもって、対象を貫け】

【雷槍鳴神】


バチチチチ

その瞬間フィールドが先ほどの雷槍を遥かに超える電撃、電磁波に覆われた。


「ぐぅぅぅ!!」


セリアはその電撃の衝撃を受け体の自由を完全に奪われてしまう

力を操作しようとしているが、逃し切れていない


「すごい応用力の能力でした、ですが貴方の今の力量では私の力を操作するには、足りませんでしたね」


【光り輝く雷槍よ、瞬く閃光をもって、対象を貫け】

【雷槍鳴神】


ルゼは先ほどの雷槍の詠唱強化版を手に生成した。


「詠唱...魔法...!」


セリアは全身痺れている中ルゼが使う詠唱魔法の想像を超える威力に驚いている


「あなたも詠唱魔法を知っているのですね、さすが魔法学園、魔法に関する知識は豊富なようです」

「それでは、おやすみなさい」


ルゼは雷槍鳴神をセリアに突き刺す振りをし、顔の真横を貫く


「ぅ...ぅ.....」


セリアは電撃の衝撃で気を失った...




____________________________________________________________________________


こうしてルゼは格の違いを見ている者全てに見せつけた

これを見たアイデントはルゼにある提案を持ちかける、それはまた別のお話し




【今回新規登場】


【空刃】

力を操作し風圧のようなものを生み出し敵を攻撃する


【雷槍】

雷でできた槍


【雷槍鳴神】

神の雷によって生成された槍、その電撃はあらゆる物を麻痺させる

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