第8話 学園で視る者とは (2)

「4戦目 ハイド・アーヴェル vs  咲神永秦(さきがみえいしん)」


ついにハイドの模擬戦が始まった


(相手の武器を見る限りでは接近戦を得意とするタイプに思えますね)

(対してハイドはどちらかというと遠距離に割けている)


模擬戦闘開始まで10 9 8 7 6


カウントダウンが進んでいくと共に双方臨戦態勢に入る


5 4 3 2 1  開始っ!


「先手必勝ってなぁ!」


先に仕掛けたのはハイド、敵めがけてレーザーを発射する、発射されたレーザーは曲がる事もなくただ真っすぐ咲神永秦に向かっていく


「避けないのか~!?そのまま終わっちまうぞ!?」


「避ける...?必要ないでしょう?」


ハイドの問に冷静に返す咲神永秦、レーザーが永秦に当たりそうななった刹那、永秦の手元が一瞬光った、そしてハイドが放ったレーザーが消えた。


「おいおい、手始めの軽いレーザーとはいえ、かき消しちまうってのはどうなんだ?!」


「剣は銃よりも強し...まぁ実際使っているのは刀なのですが、聞いた事ありませんか?」


「聞いた事ねーよ!」


ハイドは同様しつつも敵の攻撃に警戒し、一時距離を取り再び攻撃に転じる


「そんじゃぁこいつはどうだ! 【三点反射(スリーポイントリフレクト)】」


ハイドが放った弾丸状の弾は永秦に真っすぐ飛んで行った....が永秦に約5メートル近づいたとたんその弾が3つに分裂し軌道を変え 刀を持つ右手、頭上、背後の3点に分散した。


(なるほど、ひとつを刀に向ける事によって永秦はまず刀に近づく弾を斬るとふんだわけですね....ですが、そう甘いものでもないのでは?)


ルゼがハイドとの試合を見ながらそう思っていると後ろから冷たいマナを感じた


「咲神永秦...彼の攻撃、貴方には見えているのではないですか?ルゼ・バイスタンダー」


振り返るとそこには 学園SSクラスの一人 アイデント・セフェルがいた。


「というと?」


アイデント・セフェルがルゼの隣にきたところでルゼはアイデントに聞き返した


「そのままの意味です、どうやら彼、ハイドさんには見えていないようですよ?、あの居座る斬撃が」


(居座る斬撃...たしかに名前としてはしっくりきている)

(私に見えているというのも間違ってはいない)

(私には見えている、永秦の周りに浮かぶ、斬撃の痕が)


「えぇ、見えていないようですね」


「このままでは負けてしまうのでは?」


「その時はその時です」


「これはまた冷たい事を言いますね」


「あなたのマナの冷たさには負けますよ」


(アイデントの言っている事は間違いではない、恐らくこの試合ハイドは負けるだろう)

(だがそれはあくまで、私が遠くから見ていて思った事である)

(実際の場にいるものにしか分からない事もある)


ハイドは三点反射を使い永秦の隙を突く


「奇妙な技をお使いになるのですね」


余裕そうな顔しながら刀に向かってくる弾を一刀、その場に立ったまま、その姿勢のまま頭上の弾を一刀、だが背後の弾に攻撃を仕掛ける間もなくこれは当たるとハイドが思ったその時、その斬撃は現れた


キュイィィン!  と、まるで刀を鞘に思い切り入れてわざと音を出したときのような激しい金属音がした・


「おいおい、攻撃してなかっただろ!?」


ハイドには見えていないのだから当然の反応だが、見えている私には


「やはりそうですか」


(永秦の能力とは、一度刀で斬撃、いわゆる攻撃をした場所には、斬撃の痕が残る、そして、その斬撃の痕に永秦が力を入れる事で、その斬撃の痕は、斬撃と化す)


(つまり...彼が一度あの刀を振った場所からは、常にその斬撃が発動されるということ)


「どうやら貴方には見えていないようですね、ハイド・アーヴェルさん」

「貴方には私の相手は務まらないようです」


すると永秦は刀を鞘におさめた。


ハイドはその隙?を見逃さず殺さぬ程度の最大火力を永秦にお見舞いする


「セーフティー解除...全ステータスをパワーに移行、マナを一点に集中」

「3・2・1 バースト!!」


強力なレーザーが永秦へと向かっていくが永秦はその場から動かない


「私が残華の剣劇(ざんかのけんげき)だけだといつから決めつけているのですか?」


場の空気が一瞬無になった、無、一瞬だが何も感じない、まるでそこには生体がないかのような、その一瞬とは、永秦が鞘から刀を抜刀し、もう一度鞘にしまうまでの時間、しかしその時間は0.2秒程


【神羅(しんら)】


永秦がその言葉を発したとき、ハイドの後ろにあった的が真っ二つに両断されていた。


そしてハイドが放ったレーザーは当然消えていた。


「模擬戦闘終了!」


ここでハイドと永秦の模擬戦闘が終了した。


結果の発表は全ての試合後なため、ハイドが此方に戻ってきた


「わりぃルゼ、ダメだったわ」


「次もあります、気を落とさないでください」


「あぁ・・・」


(手も足も出なかったのがよほど悔しかったのでしょうか)


「次は君ですよ、ルゼ・バイスタンダー」


アイデントが急かしてくる


「わかっています」


「楽しみにしているよ、人知を超えた力の持ち主さん」


(・・・私の存在には気づいていないでしょうが、力の特異性には、やはり目をつけられているようですね・・・)


「それでは次の試合  ルゼ・バイスタンダー vs セリア・ブランの模擬戦闘を開始しますので準備をお願いします」


(...人知を超えた...ですか.....下手に演技するとまずそうですね...いっそのこと相手には悪いですが、早めに勝負をつけましょう)


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こうして、ハイドは永秦との試合にかなり悔しさを抱き

ルゼとセリアの試合が幕を開ける。


だがそれは次のお話し。


_____________________________________

今回の新規登場


【残華の剣劇(ざんかのけんげき)】

一度攻撃した場所に任意で起動できる斬撃を設置する


【神羅(しんら)】

永秦が刹那の時間で使用した技、詳細は不明


【三点反射(スリーポイントリフレクト)】

一発の弾が3発に分散し、任意の場所に分散させる。









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