第7話 光の回廊

「チームゼロ、こちらトウキ。これより太陽系第1ワープウェイに入る。各自ワープに備えること。では、冥王星インターチェンジで。」

「ニシオカ、了解しました。ただいまよりワープに入ります。」

「同じくスギヤマ、了解です。続けてワープに入ります。」

「チームゼロ、こちらトウキ。ではまずニシオカ・スギヤマ両名、ワープに入ってください。」

インターチェンジと呼ばれるまばゆく光るゲートに、2機のゼロがとびこんでいった。

「トウキ、こちらリンカ。これパートナーごと?」

「こちらトウキ、そうだよリンカ。安全上のことも考えて。」

「ごめんなさい。さっきからコウスケの音楽がうるさくていろいろ同期するのカットしてたの。ちょっと待ってて。」

「トウキ了解。早くしてね。」

「こちらハシモト。俺らすぐ行けるから、先に進むよ。」

「こちらウエキ、同じく準備完了。ワープに入ります。」

2機のゼロが光に吸い込まれていく。

「こちらツツイ。準備できました。」

「おなじくシイナも準備できました。」

「こちらトウキ、よし2人ともワープに入ってくれ。」

「了解。」

また2機のゼロが光の中に飛び込んでいった。

「オオノ準備できています。」

「ありがとうハルカ。ニイムラ・オオノ両名、ワープに入ります。」

最後の2機が光に消えた。



ワープウェイとは、物質をワープさせる最新鋭の技術を使い、大型機小型機に関わらず短い時間にものすごい速さで物質を移動させることのできる、宇宙の高速道路のようなものだ。火星から冥王星まで2時間ほどで向かうことができるが、厳密にいうとワープではない。ものすごい高速で物質を吹き飛ばしているようなイメージの移動方法である。これを使うには、決められた場所に設置されたインターチェンジから入るしか方法はないが、これをうまく使えば小型機であっても安全に遠くまで行けるのだ。

 このワープウェイは強力な電磁波に守られており、外の異物から中を飛ぶ宇宙船を守っている。そのため道は光り輝いていた。

 ワープウェイのなかは操縦がほとんど効かない。ワープウェイを管理するコンピューターや、月のアルテミスシティに本部を持つワープウェイを管理するワープウェイセンターが勝手に飛ばしてくれるのだ。そのため、チームゼロの面々はオートパイロット機能を確認すると、うとうと眠ったり音楽を聴き始めたりし始めた。



 センカはドヴォルザークの「新世界」を、持ち込んだ携帯音楽プレーヤーにスピーカーをつけて聞き始めた。センカは狭い座席で体を丸め、光の回廊の中、赤子のように眠ろうする。しかしうっかりセンカは通信機器のダイヤルを回してしまった。

 ショウタはタブレット端末から改めて資料を読み返そうと、端末の上で指を滑らせていたが、突然流れ始めた音楽に動きを止めた。

 ショウタはセンカへ個人的に通信をつなげた。

「おいセンカ。音楽は一人で……。」

しかし、聞こえてきた寝息に、一人で苦笑いをしながら通信を切った。相変わらず音楽は流れていたが。

 「まぁ悪い曲じゃないし。お似合いの曲か。」

ショウタはそういって伸びをすると、端末を置いて目を閉じた。




「こちらワープウェイ管理システム、こちらワープウェイ管理システム、あと10分ほどで冥王星インターチェンジです。」

滑らかな女性オペレーターの声に、トウキははっと我に返った。

「こちらチームゼロ、トウキです。準備にとりかかります。」

「了解です。」

トウキは伸びをすると、ダイヤルを回した。

「チームゼロ、こちらトウキ。そろそろ準備してくれ。センカ、いい加減に起きろ。音楽を止めてくれ。」

「こちら、センカ……了解……。」

「こちらリンカ。音楽このままでいいよ。コウスケのより百倍まし。」

「こちらコウスケ、リンカやめろ。」

「こちらセンカ。音楽このままにします。」

「こちらニイムラトウキ。もうすぐ出口だ。インターチェンジを出たらパートナーごと確認、その後予定通り戦艦オリオンに向かう。冥王星には予定通り寄らない。」

「ニシオカ了解です。」

「スギヤマも了解です。ワープ抜けます!」

 次々とゼロが飛び出していく。その先には、あまたの星が輝いていた。

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