“頼る”とは、それが過ぎれば依存となる。一方通行の頼るから、お互いの気持ちを認めあい“信頼”と呼べる関係に築き上げ成長した事は、読書の時間を通じ私たちにも大切な事を問いかけ続けてくれたと思います。友情も恋愛も、そして学びも基礎は“信頼”から成り立っているのだと改めて気付かされました。大学生が主人公の青春小説ではありますが、思春期の子どもからお疲れ気味の大人世代まで幅広くオススメしたい作品!澄んだ青空や凛とした山の空気を感じる文章の爽快感、また心境の変化による高揚感などパラの経験はありませんが…まるで一緒に飛んだ様なスッキリとした気持ちで読み終わりました。少しだけ着地の痛みが残る切なさも計算でしょうか…
少し内気な男子大学生の梔子 剛司が親友の緑川 朋たちとの友情、そしてログハウスで暮らす謎の少女空見 憧との出会いを描いたお話です。
一番もポイントは何と言っても、様々な体験を通してこれまで内向的だった剛司の性格が少しずつ変わっていく過程です。まさか自分がこんな性格になれるとは……と剛司自身が驚くような、そんな不思議な体験を物語で読みとることが出来ます。
また作品のタイトルにもあるパラグライダーについて、その特徴や歴史などについてもしっかり説明がされています。私はパラグライダーはあまり詳しくないのですが、機会があったら彼らのように空を飛んでみたい……そう思いたくなってしまいました。
さらにお互いに不器用な性格の剛司と憧らが出会うことで、一体彼らにどんな変化が見えてくるのか? 友情・恋愛とも取れる彼らの微妙な心の変化を、私はこの作品を読んで一人でも多くの方に読み取っていただきたいと思いました!
踏み出せない一歩を踏み出すための物語。
自分を変えたい!そう願う人は決して少なくありません。大きな変化でも小さな変化でも、今までに築き上げてきた自分を変えるための一歩は、なかなか踏み出せないものです。
そういったつらさ、苦しみをわかるからこそ、剛司と憧ちゃんの気持ちがわかる。寄り添える。物語に溶け込めるんだと思います。
また、剛司を取り巻く人々にも人間ドラマがあり、きちんと描かれている。誰しも抱えている悩みや葛藤も触れており、物語に深みや厚みを与えているように感じました。
個人的には幼馴染の朋くんの心境がよくわかります。人間らしくて好きです。