第2話

第2話


ミストラルの近くにある一軒家。

今日はいつもより大きい、叫び声が聞こえていた。


「何でこんな町に!」

二十代くらいの男が、金髪の少女に言い寄っていた。


「教師になるって言ったのはお前だろ?」

話を振られた少女は、疑問を抱かず、優雅に机に置いてある、ティーカップを啜っていた。


「茶なんか飲んでないで俺の話を聞け!」

男は荒々しい声を上げながら、ティーカップが置いてある、テーブルを容赦なく叩くと、カップに入っている紅茶が少し波を打って溢れていた。


「あぁ〜 紅茶が……」

ルイスは残念そうに溢れた紅茶を布で拭き取り、男の方をめんどくさそうに見ていた。


「何でこんなに………!」


「はぁ?」


「だから、何でこんなに人が多いんだ!」

真面目な顔をして、男はテーブルをバシッと叩きながら、窓に指をさし、町を歩いている人々を睨んでいた。


「お前は何を言っている。町なんだから人が多いのは普通だろ?」


「いや、何でこんなに多いんだよ! 本当に町なのか!? ここは町なのか!?」


「町以外何があるんだよ。それに人が多いぐらいどうでもいいだろ?」

ルイスは退屈そうに手を組みながら、あくびをしていた。


「言い訳けないだろ!」

男は思いっきり立ち上がった。


「何でだ? 民衆の仲睦まじい声が飛び交って、平和だな〜と思うだろ?」


「思わないよ! 大体、昨日まで森で過ごして来たんだぞ!?」


「あぁ、なるほど」

ルイスは体に見合ってないが、顎に手を当てながら頷いていた。


「つまりアレだろ? 引きこもっていたから、周りに人が良すぎて、怖くなったんだろ?」

ルイスはニヤニヤしながら、アルスに指をさしていた。


「………………森に帰りたい」


「おい! 今日から教師になのにそんなで大丈夫なのか!?」


「…………………へっ」

アルスの目には魂が無くなっていた。


「おい! エミリアを守るんだろ!」


「当たり前だ!」

ルイスが、魂の抜けた男の服を掴みながら言うと、男はテーブルを思いっきり叩いて、立ち上がり叫んでいた。


「それはそうと、エミリアを守る事はわかったが。エミリアとは一度顔を合わせているけど大丈夫か?」


「そこは大丈夫だ。エミリアはエリシアを失った事のショックで、昔の事を全てを忘れている」

それを聞くと、アルスはどこか残念そうにルイスを見つめていた。


「それと! アルスには名前を変えてもらうぞ!」


「え?」

ポカンとした顔でアルスは椅子に座り、黙り込んでいた。


「レイブンの称号を取っているお前は有名だからな」


「あぁ、なるほど」


「それで何って名乗れば?」


「昔の様にイラと名乗ってもらう」


「イラか………」

アルスは頭を机に下げて、悲しそうな顔をしながら、小さく囁いていた。


「イラ・レイストフィール、今日から教師だ」

ルイスはそう言いながら、鞄から1つのカードらしき物を渡して来た。


「それで具体的に何を教えれば?」


「それはこれを見ろ」

ルイスが机に向かって、指を鳴らすと、何もなかった場所から、大量の本が出て来て、アルスの目の前を埋めてしまった。


「おい、こんなにか?」


「頑張れ!」

青ざめていたアルスに向かって、ルイスが親指を上げながら、ドアから出て行った。


「クソ野郎!」

アレスは乱暴に椅子に座って、山積みになった本を手に取って読んでいた。

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