第5話 マスターとは。
「ふふふ、本当可愛いなぁ。優君は。よく働いてくれるし、お客さんからの評判もいいし、採用して当たりだったよ。」
閉店30分前程か、粗方一息ついた時、マスターが優に話掛けてきた。
「俺ね、優君を見てると自分の若い頃を思い出すんだ、なんか純粋で無垢な所とか、警戒心が全くない所とか。ま、俺は優君程、真っ直ぐには生きられなかったけど。時代のせいかな…いや、そんなの言い訳だね。自分の自己責任だね。素直になれない事も多かったからさ。」
何やら意味深ぽい感じ?なんの話だろうと、話半分位分からないまま、優は曖昧に頷いた。そんなリアクションにマスターが気付いてか、「駄目だね、年寄りはわけわかんない、昔の話しだすからすぐに。」と茶化してみせた。
すると優も「マスターは全然年寄りじゃないっすよ!」と首をブンブン横に降った。
カランカラン~。
そんな時店のドアが空いた。
「いらっしゃいませ~」というお決まりの営業スマイルをするマスターとは対照的に、驚きで目をまん丸にしたのは優だった。
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