第3話 悪夢。
もう、駄目かもしれない…。僕の心臓が持たない。折角のクラス替え、絶好のチャンス。高校三年。きっと進路は別々の大学になる。綺麗に終われるはずだった。綺麗に普通の友達のまま離れられる筈だった。そしたら俺のこの想いも、浄化して、少しずつ小さくなって、昔あんなことあったなぁなんてただの馬鹿な笑い話になる筈だった。要と出会って、自分はマイノリティ側の人間なんだと知った。その事を恥ずかしいことだとは思いたくない。だって自分を否定する事は、自分と同じ側の人に物凄く失礼だとも思うから。だけど、だけど、この想いを、このこの恋心をバーンと、胸を張って掲げる程、僕は全然強くない。要にしれて否定される事が辛いんだ。ーー
「悪夢かよ。」
小さく呟いた。
「ん?何か言った?」
能天気な返答。お前のせいで、僕がどれどけ夜な夜な悩んでると思ってるんだーー。
「始業式の後、お好み焼き行こうぜー。」
「あ、悪い、僕バイト初めたんだ。行けねーわ。」
「え、どこで?いつからだよ。」
「教えねー、教えたらお前冷やかしに来るだろう絶対に」
「行かないから教えてーお願い、優ちゃん」
てか、近っ。要の顔が、目が、口が、どこを見ていいかわからない。超ドキドキすんだろ!
「しっしっ、離れろ。駄目ったら駄目、無理無理!はーい、この話終了。」
「ちぇっけっちーの。」
もともと要と距離を取りたくて始めたバイトだ。就業地教えちまったら意味ないし。あー、早く帰りたい。一人になりたい。
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