第2話 出会った夏。
いつからだろう、こんな苦しい気持ちを抱える様になったのは。要を友達としてみれなくなったのは。要は僕を友達としていつも近くに置いてくれようとしている。成績なんかトップクラスで、帰国子女だかなんだかで、英語がネイティブで、それでもってスポーツだって出来て…。なのに、なのに僕みたいな奴のことを友達だって言うんだ。だから僕は、要を見ると、いつも眩しくて、最近、僕には、僕にはとても要を直視出来ないんだ。
出会いは高校一年二学期の夏、まだそう暑さの残る9月の頃だった。僕は遅れた時期外れの転校生で、最初クラスに馴染めずにいた。元々人見知りするタイプで、でも親の都合で転校が多くて、だからここでも友達なんて早々出来るか半信半疑諦めていた。でも、登校してから1週間位した頃、丁度席替えがあった。それで隣の席になったのが要だった。そう、一番初めに声を掛けてくれたのは要だったんだ。
「なあ、その髪ブリーチ?」
おはよう、とかはじめまして、とかよろしく、じゃなく、いきなり「ブリーチ?」ずっと前から知り合いみたいな調子に話しかけられて、面食らったのを覚えている。要はその時、屈託のない笑顔で、僕の人生にいきなり現れたんだ。笑顔があまりにも格好よくて、それでいてあどけなくて、僕は真っ赤になって返事にどもってしまった。
「あ、これ、て、天然なんだ…」
「へー、いいなぁ。ここの校風厳しいじゃん?だから俺も染めたいんだけど、担任の中野がうるせんからよー、あ、あいつ生活指導も担当してっからな、知ってた?」
「う、ううん。」
「だから、他のクラスより厳しーんだぜ、色々とよ、我がクラスが見本だーとか、知らねーし、思わね?」
そこからはもう要のペースだった。でも嫌じゃなかった。むしろ自由奔放で天真爛漫な要がいろんな表情でいろんな事を話す、それを隣で聞いているのが僕は楽しかった。
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