編集済
「誰かに校閲~」の参加作品として書き込みます。
面白いショートショートとして読ませてもらいました。「なんだろ?」と思いながら読んでるうちに話がスルスルと進んでいって、意外なオチを迎える……。「こうきたか!」と感じられる構成はお見事でした。
しかし、疑問を感じる部分もいくつか見受けられたので、少々ツッコミを入れたいと思います(笑)。
では、「誰かに校閲~」の参加作品としての意見を書きます。
※以下、●に続くのが原文です。
--------------------
●だが、持ち物に運転免許所と書かれていたので教習所のようなところで軽く車を運転するのだろうと思った。
運転免許所⇒運転免許証
●それに普段から旅行などで長距離を運転するので彼にとってはまたとないチャンスでもあった。
ここ、たぶん「田中は運転することが好き」あるいは「長時間の運転を苦にしない」ということを言いたいのだと思います。が、それなくして「またとないチャンス」と出てきてしまうと、何がチャンスなのだろうかと混乱します(試験を受けられることがチャンス? 好きな運転を仕事にできることがチャンス?)。
●翌日、彼は就職活動ですっかりくたくたになったYシャツを着て、その上にリクルートスーツを身にまとい、
⇒就職活動をするのに、田中はYシャツの洗濯もしないのでしょうか?
通常、くたくたになるのはスーツのほうでは?
●カバンに必要書類を入れたか、財布に免許書は入っているかを再度確認して目的地に向かった。
免許書⇒免許証
●控室に通されて数分の間、深呼吸をしながら待っていると、ポマードできっちり7:3に前髪を分けたホテルマンのような男が彼の前に立って茶封筒を渡す。
7:3に前髪を分けた⇒七三にして分かれるのって、「前髪」だけでしょうか? 頭頂部まで分かれるはずですが。
⇒「7:3」と書くのではなく、ここは「七三」と漢数字のほうが自然では?
●茶封筒の中から一枚の用紙が取り出され見るとそこには知らない人物の名と簡単なプロフィールが載っていた。
改行後の全角落ち、忘れ⇒カクヨムでは一括でできる機能があるので、利用してみたらいかがでしょう?
「一枚の用紙が取り出され見ると」は「取り出され」「見る」と動詞の連続になっていて気持ち悪いです。
「取り出され」と受動態になってますが、用紙を取り出したのはポマード男ですか? 田中が取り出したのなら、「取り出され」は変だし、それに続く「見る」の能動態とぶつかっています。
●用件のみだけ簡潔に話し終えた男は彼から背を向け控室を出ていこうとする。
用件「のみ」「だけ」は重複表現。
「彼から背を向け」とありますが、「から」と方向を示す語句があるのが変。単に「背を向け」でいいと思いますが。
●切れ長の眼鏡の奥から男の苛立ちの交じった視線が刺さる。
これは、「眼鏡の奥にある目が切れ長である」という意味でしょうけど、現状では「眼鏡」が「切れ長」であるようにも読めてしまう。なので、たとえば「男は、眼鏡の奥にある切れ長の目に苛立ちを交え、鋭い視線で刺してきた」とかいう感じにするのはいかがでしょう。
●「その写真付きのプロフィール用紙に従ってその方のお宅へ行き、運んでもらいます。以上で説明は終わりです。今後質問は受け付けないのでそのつもりで」
「お宅へ行き、運んでもらいます」の「運ぶ」という表現。なんだか、たとえばベッドに寝ている人を車椅子に「運んだ」りするのかなあ……という印象を受けます。ですので、「お宅へ行き、そこから目的地まで運んでもらいます」と、行為を明確にするほうがベターではないか。さらには、ここは(変わった仕事をしてはいるけど)客商売であるタクシー会社なのだから、「お宅へうかがい、目的地までお乗せする(お運びする/お連れする)」などと丁寧語にしたほうがいいように思わなくもないです。
「今後質問は」だと、何日も先のことまでを含んだ発言に聞こえます。現時点ではあくまで適性試験なので、「以後質問は」のほうがベターかと。
●仕方なく茶封筒ともに渡された制服に身を通し、
茶封筒ともに⇒茶封筒とともに
●城かと思わせるくらい立派にたたずむ豪邸の前でタクシーは止まった。
「立派にたたずむ」に違和感。城かと思わせるような立派な建物なんだから、「たたずむ」ではなく「そびえる」とかいう形容のほうがそれらしいと思いますが、いかがでしょう。
「タクシーは止まった」も、さきほどの封筒の扱いと同じで、田中の行為に読めない。彼が運転しているなら、「タクシーを止めた」とすべきでは?
●屋敷に倣うように白のレンガで堅牢に築き上げられた門をぼうっと眺めているとまるで関所の前で兵士がにらみを聞かせているみたいで何もやましいことはしていないが彼の鼓動は速くなった。
文が長すぎて意味を読み取りづらい。2~3文に分割を。「聞かせる」は誤変換。
●「この少年を運ぶのか」と考えると今から誘拐するみたいで余計に目の前に見える門がにらみを利かせる兵のように思えた。
この文も読み取りづらいうえに、ひとつ前の文と同じ内容(兵士/兵がにらみを~)が書かれています。おそらく推敲時のミスでしょうが、どちらかを削除するなどして対応を。
●「どちらまでですか」
5行先に、「あらかじめ渡された地図」とあるように、田中は地図を持っているはず。なのに、なぜ行き先を質問したのでしょう? そんなことをしておいて、「返答をあしらわれた」と感じるのも、なんだか変な印象を受けます。
●返答はなかったが、フロントミラーから後部座席を覗くと少年はゲーム機から手を放し、太陽が水面に沈んでいく光景をじっと眺めていた。
「フロントミラー」って、どこにある鏡ですか?
●しばらくして少年を乗せたタクシーは丘の上に立つ灯台の前で停車した。
これも、能動か受動かが混乱します。田中が運転してるんですよね?
●何の前触れもなく後部座席から純真な少年の声が聞こえたから彼はその少年が呟いたということ事実に納得するまで数秒の間を要した。
誰かが口を開くときに、「前触れ」はあるでしょうか。これは8行前に田中が言った「海、きれいですね」に対する返答だとも受け取れるので、「前触れがない」という表現はそぐわないように感じます。
なおかつこの文は、
●何の前触れもなく後部座席から純真な少年の声が聞こえたから彼はその少年が呟いたということ事実に納得するまで数秒の間を要した。
と、約60文字を読点なしで突っ走ってるわけですが、どうにも息苦しい。「少年」が二度使われていることもあるので、単語重複を避けるためにも分割すべきと思います。
●純真だった少年の声はすぐに失せ、灰色で煙のような少年の言葉が車内に漂っている。
ちょっと意味がわかりません。なぜ「灰色で煙」と、言葉に色があるんでしょうか? オチにつながるような意味合いなのでしょうか。
●そのとき彼は満月に照らされた翼の生えた少年少女たちの幻影を見た。首をねじ切る勢いで後部座席を振り返ったが少年の姿はなかった。
「照らされた翼の生えた」というつながりが変。この少年少女たちはどこにいるのですか? 「翼の生えた」と書かれているということは、空中ですか? 田中は「幻影」と断定してますが、「それ」を初めて見たであろう彼が、そう判断できたのはなぜでしょう?
--------------------
以上、つらつらと書いてみました。
わりと突っ込んでみましたが、
「うっせーなー」「余計なこと言いやがって」
などと感じてしまわれたのなら、ご容赦を。
この駄文が、少しはお役に立てるといいのですが。
※質問がありましたら、TwitterのDMにでもどうぞ~。
凄いです!短い文章に、世界観が、ギュッと詰め込まれていて、惹き付けられました!
この世に未練が出た…少年のひと言が、胸に重く響きました☆
素晴らしかったです!
作者からの返信
感想ありがとうございます!しかも連続で!
最後の言葉がこの話のテーマを象徴しているので響いたと言ってもらって嬉しいです!
最後までオチが読めなかったです。やられたと思いました。
作者からの返信
読了ありがとうございます!
僕のつたない作品を読んでくれただけでうれしいのに、感想までありがとうございます!
オチが読めないように作りましたので、そう言った感想をいただけるのは作者冥利に尽きます。これからもよろしければ、引き続き応援よろしくお願い致します。