第37話深見
ブラッドベリーの団長室。
団長の深見と、参謀の白河、一番隊隊長のガレインが、
話をしている。
そこに、ノックがされ団員が入って来た。
「団長…変な客がきたんですが…」
「変な客?
どんな奴だ?」
「それが…どうもステイゴールドの…」
ステイゴールドと聞いて、深見はギクッとし、
すぐに許可を出した。
「ああ、わかった。
構わんから通せ」
団長の深見が、参謀の白河に怒鳴る。
「おい…どうして直に会いに来るんだ…!
団員に知られたらどうする?
目立つ事は避けろと言っておいただろ!」
白河は、首を傾げながら答えた。
「はい…それはもちろん伝えています…
ここに来るはずは…ないと思いますが…」
「ビエイラの事を謝りにでも来たのかもしれんな。
発破をかけるためにも、一喝しておくか!」
「!?」
入って来たのは、深見の知らない女だった。
「貴様!誰だ!?」
「ロデオソウルズの八雲だ」
「何!?
どうして…」
隊長のガレインが腰の剣に手をかける。
「ブラッドベリーに入れてもらいたいんだ」
「なにぃ?
お前は、団長のメイジと知り合いのはずだ。
そいつが、敵の団にはいりたいだと?」
「ああ…実は、ステイゴールドのメイジと揉めてしまったんだ」
「それで、ウチに乗り換えをしたいってのか?
ふざけるなぁ!
貴様の団のカイトは、うちの二番手を殺ってるんだ!
その団を俺の仲間にするわけないだろうが!
お前ら、片付けろ!」
ガレインが剣を抜いた。
「まぁ待て、手ぶらで来たわけじゃない。
ちゃんと土産を持ってきた」
「みやげ?……ずいぶんと気持ちが入っているようだな?
本気でブラッドベリーに入りたいってのか?」
「ああ」
「……ふ〜む」
団長の深見は、しばらく八雲を見据えた後、
口の端をニヤリと上げた。
部屋にいた、参謀の白河と、隊長のガレインに命じる。
「お前ら、こいつはどうも本気らしい。
せっかくだから、ここまで来たこいつの勇気に免じて、
二人で話をしてやろう。
お前らはしばらく外に出ていろ」
白河が口を開く。
「しかし、団長…
二人になるのは、危険過ぎます。
女とはいえ、ロデオソウルズの団長ですよ?」
八雲が深見を見つめたまま答える。
「心配するな。
お前らの優秀な団員に武器は取られている。
私は丸腰だ」
深見は微笑む。
「俺は大丈夫だ。
お前らは出ていろ」
二人は、しぶしぶ部屋を出て行く。
「さぁ…これで俺達は二人きりだ。
腹を割って話そう。
何が望みだ?」
「今、話した」
「本気でブラッドベリーに入りたいのか?」
「ああ」
「だが、俺はお前の事を知らんからなぁ」
「当たり前だ。
初めて会ったんだからな」
「なかなか生意気な女だ。
嫌いじゃないぞ?
へへへ…」
「…」
「土産を持ってくる心がけは褒めてやる。
だが、それだけじゃお前の事はわからんからなぁ。
もっと近づけ」
八雲は深見に近づく。
「ほぉ……これは極上じゃないか…はっはははっ。
仲間にするより、俺の女にならんか?
もっと贅沢をさせてやるぞ?
どうだ?」
「先に土産を渡したい。
重たいんでな」
「おお…その細腕には重たかろう。
なんだ?見せてみろ?」
八雲は持って来た袋に手をつっこみ、中身を放り投げた。
それはゴロゴロと深見の足元に転がった。
「!?」
それは、赤黒いステイゴールドの団長メイジの頭だった。
「切りたてだ」
八雲はつぶやいた。
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