第32話廊下



中庭を抜け、階段を登り、7階建の建物に入ると、

中はずいぶんと古い建物だとわかった。


廊下の幅が狭いのだ。

カイトは2階の部屋を一つずつ調べていく。


あまり人がいた気配はしない。


(部下がいたんだから、根津がいないワケは…ないよなぁ…)


この建物は、廊下の真ん中に階段がある造りになっていた。

その為、階段を上ると、まず右か左かを決めて廊下を進み、各部屋を調べる。

そして、端の部屋を調べると、また真ん中の階段の所まで戻って、

もう一方を調べるという形になり、カイトは、面倒になっていった。


建物の3階まで登り、同じように部屋を調べていく。

3階にも誰もいない。

廊下を戻りながら窓の下を見ると、中庭が見えている。

敵が入ってきてないところを見ると、隊員達は奴らを倒したのだろう。

あとは、自分が務めを果たせば、終わりだ。


階段を登り、4階に着くと左に曲がり廊下を歩く。

各部屋は、廊下に面して窓がある為、カイトは廊下から覗きながら、

部屋を調べる事にした。

左側の廊下を調べ、また真ん中まで戻り、右側の廊下に入り、部屋を見ていく。

また誰もいない。


(…逃げたのか?)


5階まで登り、同じように調べる。

ここにもいない。


残るは6階と最上階の7階だ。


6階に登り、左側を向くと、


「君がカイトか……」


男はつぶやいたと思ったら、男の右手から光が飛び出した。

カイトは、それが何かはわからないが、とっさにかわした。


「へぇっ、今のをかわすなんて、凄いなぁ…

 噂以上じゃない?」


男が笑っている。

攻撃を控えた隙に男の手を見ると、光の正体はレイピアだった。


…おかしい!?話が違う!?


カイトは、少し混乱した。

一番隊隊長のマークスの話では、根津の武器はハンマーのはずだ。

こいつ…誰だ?


「……噂?なんで俺の事を知っているんだよ?」


「なんでって…君は、結構有名だよ…『閃槍のカイト』君?」


「あっそう…で、お前は誰だよ?

 根津じゃないよな?」


「そうだね、君の命を獲る男の名を聞いておきたいよね?

 俺はビエイラだ」


「!?」


ビエイラは、「ブラッドベリー」の二番隊隊長だ。

レイピアを得意とし、その剣速は、一秒に五度の突きが出来るほど速い。

どうして、こいつが!?

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