第31話目立たぬように
いくつものビルが立ち並んでいる。
片桐から命じられたカイトは、この場所を訪れていた。
カイト隊のユウやタイジ、コータローら8人の隊員だけをつれて、あるビルを目指している。
片桐からは、目立つ事は禁止で、やり過ぎ注意の指示が出ていた為、
ブラッドベリーの幹部でも、あまり目立たない者を選んで、
倒す事にした。
ステイゴールドの幹部に聞くと、親切にも、
三番隊の副長、根津が調達に来ている場所を教えてくれた。
カイトの手元には、手書きのメモがある。
情報をくれた一番隊隊長マークスがくれたものだ。
目的地に近づき、ターゲットの潜む建物を影からこっそりのぞくと、
周辺に三十名くらいの兵士が警戒しているのが見えた。
カイトはそれを確認すると、隊員を集めて、
小声で指示をだす。
「よし、根津はあの建物の中だ。
お前らは8人全員で、外にいる20人を相手しろ。
その隙に、俺が一人で中に入る」
いいな?」
カイト隊のユウが双眼鏡を見ながら、進言する。
「カイト、建物の中の…中庭みたいな所にも10人くらい見えるけど…」
「ああ、わかってる、それは俺がなんとかする。
メモによると、部下は30人前後とあるから、
これで、残るのはターゲットの根津だけだ。
いいか、絶対に外の敵を建物に入れるなよ?」
「了解」
カイトの合図の後、8人は一斉に飛び出した。
「敵襲だー!抜かるな!
相手は10人程度だ、皆殺しにしろ!」
戦闘が始まると、カイトは一人皆の死角から、建物に入った。
中にはエントランスがあり、それを抜けると中庭に出る。
階段がその先にあるようだ。
根津は上の階のどこかにいるんだろう。
中庭には数人が、待ち構えるようにして待機していた。
カイトは中庭への扉を開けた。
「入ってきたぞ、相手は一人だ!作戦通りに行け!」
10人ほどが一斉に動き、武器を掲げ、カイトを目掛け襲ってきた。
「…3…4…5……8人か…」
カイトは、向かってくる人数を把握し、槍を構える。
先頭の男が槍をカイトの突き出す。
カイトはそれより先に、男の喉に槍を突き刺した。
次の男が、飛び上がり斧を頭に叩きつけてくる。
カイトは、槍を下から一回転させ、空中で男を股から切り裂いた。
「にぃっ」
次は横から、刀で薙ぎ払われる。
その刀を、体を後ろに反らしてかわし、
槍の真ん中を持つと、頭の上で横に回転させ、男の頭を半分に切る。
「さん」
次に剣が左右から同時に襲ってきた。
槍ではもう刺せない程、近かった為、カイトは、自分の槍を上に大きく放り投げ、
左側の男の手を掴み、体を入れ替え、仲間の剣に突き刺させ、
血を吐いた男の剣を取りあげ、刺した男の首をはねた。
「ごぅっ」
次も二人同時に襲ってきて、一人は大楯をカイトに押し付け、動きを封じ、
もう一人が後ろから槍で突き刺してくる。
そして最後の一人は、少し離れた所で、弓を引き絞っている。
カイトは大楯の下部に足を押し当てて上部を掴み、体重を下にかけて、
大楯の兵士ごとひっくり返し、自分の後方に転がすと、
槍兵の死角になっている下側から首に剣を突き刺す。
崩れる男の槍を取り、ひっくり返っている男の首を刺し、
「ラスト!」
と叫んで、弓兵を目掛けて全身をバネのようにしならせて槍を放った。
槍は、男が矢を放つより先に顔を突き抜け、男は倒れながら、空に矢を放つこととなった。
カイトは、最後に回転しながら落ちてくる自分の投げた槍を受け取ると、
ターゲットがいるはずの、上に登って行った。
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