第23話異
もうそろそろ金も無くなってきたとこだし、競馬でも行って金稼がないとな。
俺はそう思い、身支度をして競馬場まで足を伸ばした。
久しぶりに競馬場なんて着たが、人が混雑していてやはり自分には慣れない場所である。
俺はテキトーに馬券を買ってレース眺めていた。もちろん自分が買った馬券が当たるわけもなく馬券がただのゴミへ変わった。とりあえず一着から三着までの馬を覚えて別の次元へと向かった。
そのはずだった。どうしてなのかうまく別のルートへ飛んでいくことが出来ない。確かにいつもの癖でしっかりと分岐点を把握しなかったのはあるが本当にそれだけなのか?
しかたないので俺は次のレースは失敗しまいと全レースの分岐点を作って、なんとなく一番オッズの高い馬券を購入した。
なんとそのレースで買った馬券が見事万馬券へと変貌した。こんな日もあるものなのか。なんだかんだ今日はこのレースのおかげでかなりの収益となったので俺は競馬場をあとにした。
しかし腑に落ちない。いつもならちゃんと別のルートに行けるはずなのに…
「今日はもう帰ろう。」俺はぼそっと呟き、家に戻った。
家に着いてからも頭の中から消えない競馬場の記憶。今まで一度も経験したことがない異常。異常であって正常。正常であっての異常。実際どちらが正しいかはこの際どうでも良い。それよりもまず俺の能力がちゃんと機能しているかどうかが問題だ。
俺は目を閉じて集中する。今日競馬場に行かなかったと強く思う。
しかし、その日はいくら頑張ろうと別ルートへたどり着くことはなかった。
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