第17話秘密

これは州夜が繭魅と出会う前の話だが、あいつは他人には話したがらない趣味がある。

俺としては普通なのだがあいつはプラモデルが大好きなのだ。一つのプラモデルを買ったら完成させるのに早くても二週間は掛かるほどマテに、そしてキレイにカラーリングしてそのプラモデルにあったジオラマを作るのが大好きだった。

 これは俺とあいつだけの秘密だった。俺も何度か出来栄えを見せてもらったことがあるが、それは素人の域を逸脱いつだつしていた。それなのに州夜は何故かその趣味を公言することはなかった。

 本人に聞いてみると「プラモデルを作るのって子供のころだけで、大人が作っていると思われたら恥ずかしいから。」だと言った。本当に自分が夢中になっている趣味は恥ずかしいかもしれないが、あいつはそれゆえに俺以外には恐らくこの話をしたことがないと思う。繭魅にさえも。


「なに?」

「プラモデルを見に行こう。」

俺は州夜との約束を破ってしまったが、もう婚約者になるやつ位には話しても構わないだろう。

「プラモデル?」

繭魅は半笑いで言った。

「なんでプラモデル?州夜がプラモデルを作ってる所なんて見たこともないし、そういうのが好きだなんて聞いたこともないよ?」

「やっぱりな。今が良いチャンスだ。お前にもあいつにもな。」


俺は繭魅に州夜と出会う前の話をした。当然繭魅は今迄聞かされたことのない真実を、嘘だと言う様な表情で聞いていた。


「そうなんだ…」

考え込むように頬杖をつく繭魅。しばらくして。

「できれば本人の口から聞きたかったけどある意味これもサプライズになるかもね。」

と元気に言った。

「よし、決まったなら見に行こうぜ。」

そういってプラモデルが置いてあるおもちゃ屋さんへ行った。


 昔俺が州夜に見せてもらったプラモデルは戦闘機が多かった。もちろん車やバイク、デコトラ、戦艦もあったのだが群を抜いて戦闘機が多かったのを覚えている。だからその店に置いている中でも一番大きな戦闘機のプラモデルを買うことにした。箱だけでも缶ビール一箱くらの大きさがあった。

 繭魅も喜んで買ったは良いものの、流石にこんなに大きな荷物を持たせて歩いて帰らせるのも悪いので俺が家まで送っていくことにした。

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