第10話準備Ⅲ

「今日はびっくりしたよ。まさかお店に来るなんてさ。」

夕方にメッセージが届いた。恐らく今仕事が終わったのだろう。

「俺もびっくりだよ。たまたま靴買いに行って榊さんに会えるなんてラッキーだったよ。しかもお洒落な靴まで選んでもらったし。」

俺はメッセージを打ってる時からにやけが止まらない。多分周りからしてみれば非常に気持ち悪いことこの上ないだろう。

「店員としてちゃんと仕事しただけだよ。」

相手の顔が浮かんでくる。

「ありがとね。そういえば土曜日なに食べたい?」

「そうだなぁ。私は別になんでも良いよ。登坂さんが決めて?」

「ならハンバーグとか好き?」

やはり俺の中では二件目の店は確かに素晴らしかったが、まだ付き合ってもいないし、まだそんなに出会ってから月日も経っていない男女が行くには流石に早い…というか引かれてしまうのではないかと心配だった。

「いいね!私ハンバーグ大好きなんだよね。」

「ならおいしい店知ってるからご馳走するよ。時間は榊さんに任せるよ。」

「楽しみにしてる。時間はたぶん土曜日もこのくらいに帰ってこれると思うから七時くらいでどうかな?」

俺は店の名前と場所を教えた。

「したら土曜日の七時にね。ものすごく楽しみしてるから。」

と言って連絡をやめた。

 それにしても楽しみすぎて夜寝れないかもしれない。子供じゃないんだから。自分に突っ込みをいれる。

俺は土曜日に向けて「街角で」を読み返すことにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る