第3話 地獄にいるべき悪党ども

『特殺隊』の面々は総勢10名である。


「隊長はどこ」


 レクス・サーラ―、元貴族サーラー家の一つ種。悪魔と称されるほど知略に秀で、戦闘には”機械鎧(オートマタ)”を纏って参加する。最年少ながら『特殺隊』の参謀。

 罪状、殺人12件、国家反逆罪、詐欺、公金横領。


「し~らな~い」


 ジャニ・R・ロメロ、通称『ヨットーロー』。ドゥーチェでかつて流行った同名の喜劇の登場人物である道化『ヨットーロー』の仮面をかぶった少女。自らをそれと称し誘拐、拷問殺人を繰り返した。

 罪状、殺人10件、誘拐10件。


「さ、さっき見たよ……」


 イヴ・ホワイト、通称『天帝の御遣い(テンプラー)』。一見か弱い少女だが、ある掛け声とともに妖艶な美女に変身し魔法と怪力を発揮する異能の持ち主。新興教祖の娘であり、『天帝』と称して国軍と戦った。

 罪状、誘拐27件、殺人8件、暴行94件、窃盗144件。


「はっ、自分で呼んどいてなにしてんだい!」


 カーシャ・ジョーンズ、通称『エル・アランドラ』。巨躯と怪力、それに見合わぬ機敏な動きの大女。元はサーカスの団員。

 罪状、殺人、暴行、器物破損各1件。


「”蠱惑姫”と一緒にいましたわ……よろしくやってんだろうなあ⁉ けっけっけ!」


 ジェシカ・ジェームズ・トゥーフェ、通称『天使と悪魔(ルシファー)』。博愛主義の”ジェシカ”と残虐な殺人鬼”ジェームズ”の2重人格を持った殺人鬼。

 罪状、殺人5件、誘拐20件。


「スミもタダでよくやるわ、一銭にもならないのに」


 リザ・コロンボ、通称『黄金狂時代(チャールズゴルド)』。黄金を操る異能を持つコロンボ商会の娘。守銭奴。

 罪状、硬貨偽造、殺人3件、詐欺45件、脅迫201件、国家反逆罪。


「どうでもいいけど次の殺しはいつだ?」


 スガワ・ゴンドー、通称『人斬り与太(リッパーマン)』。刀匠タカク・ゴンドーの娘で自身も優れた技量の持ち主だが、試し斬りと称して夜な夜な辻斬りに勤しんでいた。

 罪状、殺人20件、傷害2件、銃刀法違反。


「やだ、爪が荒れちゃったわ」


 イライジャ・ティーポッド、通称『小鳥の囀りは血の色(ノスフェラトゥ)』。元占い師で人心掌握術と催眠術の達人、裏方を一手に引き受けている才女。

 罪状、殺人教唆、監禁、国家反逆罪、誘拐、詐欺。


「は、早く来てください隊長さん……」


 トゥーコ・モーティマー、通称『腰抜け2丁拳銃(バレットマン)』。クエスティの元保安官。担当していた町の住民を一夜で皆殺し、村を焼き払った。

 罪状、殺人1件、放火。


 いずれ劣らぬ凶手が集まるのは、久しく本来の目的で使われていない協会だった。戦時備品に占拠され、足の踏み場と言えば僅かに開けられた細い一本道のみ。祈りを捧げるべき神像は洗濯物がかかって、錆が聖体を覆いきっていた。




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