第3話 幼女先生と学ぶ振舞い術 その2

※スマホの場合は画面を横にしてお楽しみください※


〇カドカワカンパニー面接会場

   長机が一つ。椅子が二つ机を挟んで向かい合わせに置かれている。

   スーツ姿の面接官が、椅子に腰かけている。

   ノックの音が3つ。

面接官「どうぞ」

   ゆっくりと扉が開けられる。

晴彦「(とても小さい声で)し、しつれいしまーす」


〇晴彦の部屋

   幼女先生、頭を抱える。

幼女「(大きい溜息)どうじゃ、ブタ? 第一印象は?」

晴彦「え? 別に普通じゃ―」

幼女「甘いわッ!」

   幼女先生、ランドセルからハリセンを取り出す。

   幼女先生、晴彦の頭をハリセンではたく。

晴彦「ありがとうございますっ!」


   ×   ×   ×


   幼女先生、窓の外を見つめる。

幼女「のお、ブタよ」

晴彦「な、なんでしょうか?」

幼女「前に見た目が大切だ、と言ったよなあ」

晴彦「は、はい…」

幼女「その見た目の、おそらく6割以上は、第一印象なのじゃ」

   晴彦、目を見開く。

晴彦「な、なんだって…ッ!?」

幼女「それでのう…ものすごい小さい声で入ってくるブタ野郎と、明るくハキハキした声で入ってくるワシと、どっちが好印象じゃと思う?」

   晴彦、服の裾を握る。

晴彦「先生で、ございます」

幼女「そうじゃろ~。それにのう」

   幼女、窓を開け、空気を入れ替える。

幼女「面接官はこれから”採用”という高い買い物をするわけじゃ! その時に大事なのは、”信頼感”じゃろ!」

晴彦「ッ!?」

幼女「こいつを雇うのは、メリットかデメリットか…。そう思っている時に、快活な学生が入ってくると。どう思う?」

晴彦「少し期待するかも…」

幼女「逆にのう…自信のない小さい声で入ってきたら?」

晴彦「リスキーな感じが…」

   幼女、指をならろうとする。

   が、ならない。

幼女「あう…」

晴彦(可愛い…)

幼女「じゃから!(顔を赤らめて)ごほん。次の面接では、まず元気な声で部屋に入ること!」

晴彦「ぶ、ぶひぃ!」

幼女「よいな? ただ、うるさすぎるのはNGじゃ! 明るく元気でも、迷惑をかけない。それを心掛けるのじゃ!」

晴彦「ぶひぶひ!」

幼女「では、次回から、面接の受け答えに入っていこう。れっつごーじゃ!」


つづく

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る