kor本編を読まなくてもわかる内容になっていますが、本編やキャラ設定を見るともっと面白くなると思います。文体はとても美しく麗らかで退廃的。雰囲気小説といっていいと思いますが、きちんとストーリーは練られています。ラストの展開も物悲しいのに読了感は鬱ではなく、爽快ですらあります。世界観をもっと知りたい、もっとほかのエピソードも読みたい、と思わせる上質な短編小説でした。
穏やかな文体から始まる手記。次第に乱れる筆跡が綴る滝のような悪夢のひとつひとつが、長い悲劇を静かに語ります。……筆者の祈りの果てに咲く白い花は、誰にとっての光となるでしょうか。神の祝福を失った王子と、神に背き彼を守り続けた者の切なくも恐ろしい物語です。どうぞ最後のページまでお読みください。