第四十七話 ダンジョン攻略完了?
ダンジョンの中だと言うのに温かく美味しい夕食を食べ、ふかふかのベッドでぐっすりと熟睡できたので疲れも癒えスッキリとした気分で目を覚ますことができた。朝食を食べ、しっかりと準備してから最下層である地下25階層に挑むことにした。
「さて、それじゃ最後の階層攻略するぞ」
「おう!(……ん)」
扉を開け全員が部屋に入ると扉がひとりでに閉まり目の前にクィーンアント一体とちょっと小さ目のストーンゴーレム三体が姿を現した。クィーンアントは以前戦った事や、前戦った時より少し弱かったため危なげなく倒せ、ストーンゴーレム(小)もそれほど強くなかったので疲れることすら無く割とあっさり倒すことができた。倒した魔物を『倉庫アプリ』に入れようとしたら魔物が消え宝箱が現れた。
「ん? 魔物が宝箱に変わったんだけど……どういう事なんだ?」
「……ダンジョンでは……たまに起こる事」
そんな物なのかと思いつつ宝箱に罠が無いか確認してから慎重に開けてみると、中には魔石が一つ、それと魔物の素材がいくつか入っていた。
「おー! 一々素材になる物を剥ぎ取んなくていいから便利だぜ!」
「いやラウ、お前は素材の剥ぎ取りした事無いよね? いつも俺がスマホでやってるんだからお前にとっては便利も何もないだろ。それと、肉が無いし他にも素材がちょっと減ってるみたいだから俺としては損した気分になってるぞ?」
「あ、クィーンアントの肉無いのか! そりゃ大損だぜ!」
ラウの奴は相変わらずだな、それに誰が素材の剥ぎ取りをしてるのかに関してはスルーかよ……大体クィーンアントの肉とか俺は食いたくないぞ! やっぱり、ラウにはもうちょっと理知的になる様な教育が必要かもしれないな。
宝箱の回収も終わったので念のため『具現化アプリ』に『AK47』と打ち込んでアサルトライフル(AK47)を具現化し、次に『手榴弾』も念のため具現化しておいてから次の部屋の扉を開けて中に入ると前の部屋と全く同じ作りの部屋で、全員が部屋に入ると先ほどと同じように扉が閉まり今度はコボルトロード一体とストーンゴーレム(小)が三体が現れた。すぐに『手榴弾』のピンを抜き投げつけてから相手を逃がさないように左右へ『アサルトライフル』で射撃を行い『手榴弾』爆発後は全員攻撃で一気に殲滅した。
宝箱の中身を回収してから一応スマホで現在地を確認すると。
あれ? スマホの『地図アプリ』に部屋が一つしか表示がない。この階層の部屋って、物理的につながってないとかなのか? それにしても表示が一部屋って……同じところをぐるぐる回ってるのか?
「なぁレイ、なんか階段のある部屋とこの部屋意外地図に表示されないんだけど、なんでか分かるか?」
「……不明」
「兄貴! 俺も分かんねぇ!」
そうか、レイにも分かんないか……ラウ、聞いてないし分かんないことをそんな元気よく笑顔で言われても困るぞ!
それはそうと、次は地下15階層のボスはクィーンアントとコボルトロードがでるはずだけど……両方とも出るのかな?
今回は『具現化アプリ』で『アサルトライフル』を出し、『魔法アプリ』に『ファイアキャノンx2』と打ち込みボス戦に備え扉を開けることにした。
出てきたのはクィーンアント一体とコボルトロード一体、それとストーンゴーレムが三体だった。すぐにボス二体へ『ファイヤキャノン』を撃ち込み『アサルトライフル』を斉射、俺がボス二体を倒す頃にはレイとラウがストーンゴーレム三体を危なげなく倒し終わっていた。
「お、そっちも終わってたか。こっちも片づけたぞ」
「さすが兄貴だぜ!」
「……ん……リン…………よくやった……褒めてもいい」
レイの上から目線のセリフに多少イラっとしたが、一応ゴールドランクなんだし仕方ないかと思い気を取りなおして宝箱の中身を回収し、多分連戦の最後であろう地下20階層のボスx1+ストーンゴーレム(小)x3との戦闘を覚悟して『アサルトライフル』と『手榴弾』を出してから扉を開けると、今までの部屋とは違い地下20階層のボス部屋と同じような地面が砂地の部屋に出た。
ま、今までの石造りの部屋だとビックワームが地面に潜れないだろうしこうなるか。
出てきた魔物はビックワームx1とストーンゴーレム(小)x3ではなくビックワームx1とシャドーウルフx2と言う編成だった。
先制で『手榴弾』を投げつけたのだが、ビックワームは地中へ、シャドウウルフは影の中へ退避されてしまい『手榴弾』は何もない砂の上でむなしく爆発した。
その後の戦闘は、シャドウウルフは見た目は黒っぽい普通の狼だったがこちらの攻撃が通用しない影に潜り壁や天井を縦横無尽に素早く移動してきて死角から攻撃しようとして来てそっちに気を取られるとビックワームが足元から飛び出して攻撃してきてかなり厄介だった。
「こんな攻撃の効かない影に潜む奴どうやって倒せばいいんだ?」
「リン……光に弱い」
「分かった! 光だな。狼は俺がやるからラウと一緒にビックワームをしばらく押さえていてくれ」
「……ん!」
「分かったぜ兄貴! こっちは任せてくれ!」
ビックワームを二人に任せ、時間が過ぎて消えた『アサルトライフル』を再度『具現化アプリ』で出し、レイの助言を受けて影に潜っているシャドウウルフに向かって『魔法アプリ』で『ライト』の魔法を使うと『ライト』の強い光を受けたシャドウウルフが影から飛び出し苦しそうにのたうっていた。
その隙を逃さずシャドーウルフ二体の頭目がけて『アサルトライフル』を撃ち込んで手早く倒し、二人が戦っているビックワームの方へ向かった。
ビックワームはレイの『フリーズアロー』によって冷えた地面の寒さから逃げるように地中に退避していた。
「なぁ、襲ってこないのはいいんだけど、これどうやって倒すんだ?」
「……リンが……倒す」
「…………」
「……リンが……倒す?」
「あ、兄貴……さ、寒い」
「……なぜ疑問形にした。ラウはビックワーム倒すまでちょっと我慢してくれ。よりあえず、何とか地中から出てくるように仕向けるからレイとラウはいつでも攻撃できるようにしておいてくれ」
「……ん(お、おう!)」
地中にいるビックワームを中心に四方を囲むように『ロックウォール』を放ち、その囲いの中の砂を『倉庫アプリ』に入れてもうすぐビックワームの姿が見えそうな所で『倉庫アプリ』へ砂を入れるのを止め退避してから『手榴弾』を6個ほど具現化してピンを抜き投げ込むと、『手榴弾』の爆発にビックワームはたまらず砂の中から飛び出してきたので、そこへレイとラウが攻撃を集中させて倒すことができた。
「何とか倒せたな。これでもう残すはこのダンジョンのボスだけか?」
「……この先に……行ってみないと……わからない」
扉を開けるとそこにはボス部屋への大きな扉があるだけの小部屋だった。
「ここは魔物は出ないのかな?」
「……多分……待機部屋?」
「兄貴~、レイ姉~、寒いよ~」
レイの説明では、どうやらボス部屋の前に稀にある魔物などが出ないセーフゾーンとなっている部屋らしい。
ちなみに全階層にスライムが出て来てはいたのだが割愛。横を通ったスライムが立ち止まって挨拶してきた気がするが多分気のせいだろう。気のせいであって欲しい。
結局ボス+ストーンゴーレム(小)の戦闘自体は一度は戦ったボス、さらにどうやら劣化版であるようだったので、それ程苦戦をすることも無く倒せてはいたのだが……倒した後に部屋で休憩していると長時間休憩することは許されないようで連続で強制的に次の部屋に転移させられてボス戦を強いられたのがとにかく面倒で疲れてしまったのと、レイが使った凍結魔法の影響でラウが寒くてまともに動けなくなっていたので待機部屋でしばし休憩してから最終ボスへ挑むことにした。
「いよいよこの扉の先が最終ボスの部屋みたいだな。ここで一旦休憩して体制を整えてから挑むから身体の調子が悪いとかケガなどしているなら今の内に言ってくれ」
「俺は問題ないぜ」
「……ん……問題……無い」
休憩を終え突入準備を始めた。俺は部屋が狭かったり複数の魔物がいても対応できるように『具現化アプリ』で『アサルトライフル(FAD)』と替えの『マガジン(FAD)』を具現化し、二人もいつでも攻撃に入れるように呼吸を整えたところで扉を開き中に入るとそこに居たのは額に宝石のようなものが付いた頭が2つある全長5mほどある全体的に黒く腹だけが白い狼のツーヘッドウルフが1体とその影に潜むシャドーウルフが2体だった。
さっきのシャドーウルフもいるのか、またライトであぶり出すか。
まずは俺が『アサルトライフル』で射撃しつつ『魔法アプリ』起動して『ライト』の準備をし、レイが魔法攻撃をしたのだが、ツーヘッドウルフの毛は魔法と物理両方の防御が高いようであまりダメージを与えることができず、魔法や銃弾のそのほとんどが毛に弾かれてしまっていてかすり傷程度しか与えることができなかった。しかし足止めにはなっていたので、すぐにシャドーウルフへ『ライト』を放ち影から出てきたシャドーウルフをラウが二振りの短剣で素早く二匹の首を撥ねた。
「よし! ナイスだラウ! 今度高級肉を買ってやる!」
「おおお! マジか兄貴! こ、高級肉!」
「……二人とも……まだ……終わってない」
ラウとバカなやり取りをしてるとレイに怒られてしまったので気を引き締め治してツーヘッドウルフがその場から動かないように、俺とレイで絶え間なく攻撃を加え、その間にラウが横へ回り込んで右の短剣を腹へ左手の短剣を背中へ突き刺したのだが、右手の短剣は腹に深々と刺さっていたが、背中へ向けられた左の短剣は黒毛に弾かれてしまった。
「腹の白い毛の部分は防御が薄いのか?」
「ああ、兄貴。多分そうだと思うぜ、なんかグレーウルフ借る時と同じ手ごたえだった」
ふむ、やっぱり弱点は白毛のある腹って事か…… あ、ヤバいこれってブレス攻撃くるんじゃないか?
弱点を見つけこれなら行けるかもと思った矢先、ツーヘッドウルフの二つの首うち一つが首を天に向け大きく息を吸い込み魔力が膨れ上がったのを感じたので、すぐに「ブレス回避!」と号令を出しその場から飛びのきブレスをかわしすぐに度攻撃を再開した。
ブレス攻撃まであるのか……厄介だな。
ツーヘッドウルフの攻撃は近距離の相手には爪や尻尾で攻撃、遠距離の相手にはブレス攻撃をしてきていたが何とか攻撃を受けないように立ち回り少しずつではあったがダメージを重ねることで何とか優勢に戦えていたのだが、いきなり攻撃パターンが変わりブレスではなく威圧効果のある『咆哮』を発した事により二人が恐慌状態に陥り戦うことができなくなってしまった。しかし、魔力が無いせいなのか俺には何の影響もなかったので銃撃と『ウィンドバレット』で牽制し『キュア』で二人の状態異常を回復した。
「た、助かったぜ兄貴!」
「……リン……ありがと……でも……あれが効かないリンは変!」
「変とか言うな! それより、二人とも行けるか?」
「おう(ん)!」
あの咆哮……俺には効かないけど二人が行動不能になってしまって厄介だから一気に押し込みたいとこだなキャノン系の魔法で行くかそれとも……あ、そういえばペイロードって魔物相手に試したことなかったな……やってみるか。一応、額の宝石は高く売れそうな気がするから首を狙うか。
「二人とも回避優先で左右に分かれて注意を引いてくれ」
『具現化アプリ』でアンチマテリアルライフル(XM109ペイロード)を具現化、ラウにむかってブレスを放とうとした所を狙って狙撃、着弾すると同時に炎のブレスが首で暴発して頭が宙を舞った。もう一つの頭は何が起こったのか理解できないのか動きが止まっていたのでその隙を逃さずに狙撃、首に大穴を開けながらもまだ息があった所をレイの『ウィンドカッター』とラウの斬撃が決まり切り落として倒すことができた。
倒せたか……さて、これは宝箱になるのか、それともこのままなのかな?
しばらく待っていたがシャドーウルフとツーヘッドウルフは一向に宝箱ならず死体のままだった。とりあえず死体を『倉庫アプリ』へ入れて地上へ戻ることにした。
「さて、それじゃ地上に戻ろうか」
「おう! 」
「……うん」
そうして地上に戻るべく転移部屋へと向かおうとした時に転移部屋への扉があるのとは別の壁になにやら光っている扉があるのを発見した。
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