第二話 もしかして遭難?
門を潜るとそこは木や草ばかりの、恐らくは森か林の中であろうと思われる場所であった。
……町とか街道で、何も無い所からいきなり現れるところを人に見られたら不味い、という配慮なのは一応理解はできるんだが、それにしても、もうちょっと近くに道がある所に門を繋げて欲しかったな。
改めて周りを見渡したのだが、360度どこを見ても木や草ばっかりだった。
おいおいこれじゃ、どの方向のどれを目標にして歩いていいのかが、全く分からないんだけど! 下手に動いて魔物や肉食獣なんかと出会うなんて御免だぞ!
俺はリュースが言っていた通り、この世界の事が何となくだが分かるようになっていたので、辺りを警戒しつつも、ちょっと頭の中で確認してみることにした。
・この星の名前は女神と同じリュース。
・大陸は6つ、ガウリィオ・ラウティア・ニスギン・バウティウス・ミンギバル・ジャイレフィン。大陸の大きさや位置はリュースが把握できていなかったため、俺にも不明のまま伝わっている。
・国はギリバイアス・ヒュービンシア・ラムディオ・ジプター・レオロイデ・バスティオン・ジャフリン・リアード、これらの国々以外にも国があるかもしれないが、リュースが知っていたのはこれだけだったらしい。さらに、この国々がどの大陸のどの場所にあるのかまではリュースが知らなかったようなので、俺にも国名しか分からなかった。
・この星に住んでいるのは、もろファンタジーな人間・亜人・獣人・魔族と大まかな事は分かったのだが、細かい種族、例えば亜人ならエルフとかドワーフがいる程度は分かったのだが、リュースが知らないため、他にどんな種族がいるかまでは分からなかった。ただ、魔王と言うのはいるらしい。
・ファンタジーな世界なので当然のように魔物や魔獣なんかもいる。これもリュースが知らないためどんな魔物がいるかはよく分からない。
・剣と魔法の世界で、宗教は基本はあの女神のリュース教のみ。他は邪教扱いらしいのだが、リュース視点の知識なので真偽のほどは不明。
・この世界の人間は全員何かしら魔法やスキルが使えるのが当たり前。とはいえ、ほとんどの人は生活で使える程度の魔法しか使えないらしい。さらに言うと、俺自身には魔法もスキルもなにもなく、いくら頑張っても覚えることは不可能で、ステータスも一般町人並み、結果としてスマホが無ければ一般人以下という状態だった。
・魔法については名前と、それがどんなものなのかくらいは分かるようになっていた。
・リュースに貨幣の知識は無く、銅貨が何枚で銀貨1枚になるのとか、貨幣の種類なんかはよく分からなかった。
あの女神は本当に自分の世界の事をほとんど知らなかったんだな。こんな程度の事しか知らなくてよく管理なんてしているもんだな。
これからどうしたものかと悩んでいたが、こんな森のような所で一晩を無事に過ごせる気もしなかったので、何か役に立つ物は持っていなかったかと考えていると、スマホがあった事を思い出した。
あ、そう言えばスマホに魔法がどうとか言ってたな。何となくだが使い方も分かるようになってるみたいだし、もしかしたら現状を打破できるかもしれないな……よし! 早速どんなものか見てみるかな。
『スマホ』と念じると目の前にスマホが光とともに現れた。使い方については何となく分かるようになっていたのであれこれといじってみた。
えーと、確か使い方はこうだっけな?
スマホのホーム画面から地図アプリのアイコンを起動してみたが、自分のいる現在地以外が真っ黒だったのでピンチインやピンチアウトなどしてみたのだが、それでも画面が黒いままだったので、説明を見てみる見ると。
あれ? あ、これって自分が行った事が無いと表示されないのか、オートマッピングに近い感じの物なんだな。これだと、どの方向に町や人里があるか分からないから今は役に立たないな。
次に魔法アプリをタップして魔法アプリを試してみることにした。
えーと、これは文字を打ち込めばいいんだっけな? 何にしようかな~よくある魔法だとファイヤーボールとかかな~、でも森で火を使うとか火事なりそうだよな、自分でつけた火で焼け死ぬだなんてシャレにならんな……風ならいいかな?
『う・ぃ・ん・ど・か・っ・た・-』と順番に打ち込みそれを変換し『ウィンドカッター』とし、そして実行をロングタップすると画面から光の帯の様な物が飛び出してきて右手に光の輪のような形になりまとわりついてきた。
これで打ち込んだ文字をイメージして読めばいいんだったよな?
右手を近くの木の方へ向けて突き出し風の刃をイメージし「ウィンドカッター」と唱えると右手から風の刃が飛び出していき木を切り倒した。
おお! マジで魔法だよ! 一応、魔法の事に関して詳しく見ておくか。
魔法アプリ使用方法など
1・魔法アプリを起動。
2・文字入力画面で使いたい魔法をの名前を文字入力。
・入力された文字は入力した本人がイメージできるものでなければいけない。
(例:何も考えずに火と打ち込んで魔法使おうとしても反応しない)
・逆にイメージできていればどのような文字でも良い。
(例:火矢をファイヤーアローとイメージして打ち込んでいれば魔法名はファイヤーアローとなり、唱える言葉もファイヤーアローとなる)
3・魔法実行をロングタップする。
4・画面より魔法起動マーカーがタップしていた場所の近くに付く。
5・入力した文字を使いたい魔法を強くイメージして口に出し、唱えれば魔法は発動する。
6・魔法起動マーカーは20秒の間に入力した文字を口に出し、唱えなければ自然消滅する。
7・魔力が足りなくて使えない場合がある。
8・強くイメージできていない場合も魔法は発動しない。
9・レベルが足りないと使えない魔法がある。
これが魔法アプリか~。で、こっちは魔法っぽいけど魔法ではないのか。
具現化アプリ使用方法など
1・具現化アプリの起動。
2・今回は『ナイフ』を例に挙げて説明します。
3・文字入力画面で『な・い・ふ』と入力し、変換で『ナイフ』と表示される。
4・具現化実行をタップする。
5・画面より具現化起動マーカーがタップしていた場所の近くに付く。
6・入力した文字を具現化したい物を強くイメージして口にし、唱えれば具現化が発動し目の前に光に包まれたナイフが現れる。
7・光に包まれたナイフを具現化を行った者が触れると光が消えて具現化が完了する。
8・具現化した物は約1分程で消える。
9・具現化マーカーは20秒の間に入力した文字を口に出し唱えなければ自然消滅する。
10・生き物は具現化できない・魔力が足りないと具現化はできない
11・強くイメージできていない場合も具現化できない。
構造が複雑な物は具現化するのに魔力が多くいるんだっけな。とはいえ、結構なチート能力なんじゃないのか? あ、そういえば金を入れてあるとか言ってたよな?
確認すると、ホーム画面の左上にそれらしい『貨幣』と言う表示があったのでタップして見てみると、『大金貨6・金貨25・大銀貨83・銀貨80・大銅貨96・銅貨120鉄幣30』と言う表示が出てきた。
おお! こっちの世界の貨幣がよく分かんないんだけど、これはすごい大金なんじゃないのかな?
その後もホーム画面を見ていると右上の方に時間表示や電池の様な表示があった。
この電池マークが多分魔力なんだろうな。あとは、なんかゲームによくあるアイテムボックスみたいなのがあったはずだな。
ホーム画面を見て『倉庫アプリ』と言うアプリアイコンを見つけて、多分これだと思いアプリを起動してみたが何も入って無かった。
ま~確かに何か道具をくれるとかは言ってなかったな、それだからあんなに金貨とかくれたんだろうしな。ま、一応説明を見ておくか。
倉庫使用方法など
1・倉庫アプリを起動。
2・倉庫アプリに物を収納する場合には『入れる』をタップ。
・『入れる』タップした部位(右人差し指でタップすれば右人差し指に)に倉庫マークが張り付く。
・倉庫アプリに収納したい物へ倉庫マークを張り付ける。
・倉庫マークを張り付けた収納したい物が吸い込まれる。
・倉庫マークを『入れる』にタップする。
・これで倉庫に収納される。
3・倉庫アプリから物を取り出す場合は『一覧表示』をタップ。
・倉庫アプリに入っている物が一覧表示され、取り出したい物を一度タップする。
・各種項目が出るので、その中から『取り出す』タップすることで取り出せる。
4・倉庫アプリには魂のあるものは入れる事はできない。魂が無ければ生き物でも入れることができる。
5・ある一定の大きさや重量の物は倉庫アプリにいれる事はできない。スマホのレベルを上げることで、より大きく重量のある物を入れれるようになっていく。
6・倉庫アプリの容量はスマホのレベルをあげることにより増えていく。
ま~色々物を持たずに手ぶらで済みそうだから便利そうだな。そう言えばカメラアプリがなんかこっちの世界で能力的な事できたはずだったな。
ホーム画面からカメラアプリのアイコンをタップして起動した。
どんな機能だったっけな? 説明を見てみるか。
カメラアイコン使用方法など
1・カメラアプリを起動。
2・背面にあるカメラレンズを撮りたい対象物に向ける。
3・そのままシャッターアイコンをタップすると撮れます。
4・カメラで撮ったものを鑑定できる。
5・カメラで撮った画像を開き鑑定したい対象をドラッグして『鑑定』へドロップする。
6・鑑定結果は保存ができる。
7・鑑定は有機物無機物を問わない。
8・対象のレベルが高すぎると使用者とのレベル差で鑑定できない場合がある。
よくある鑑定スキルって感じなんだな。
他にどんなものがあるかと、あれこれ操作して見つかったアプリは。
地図アプリ・魔法アプリ・具現化アプリ・倉庫アプリ・図鑑アプリ・カメラアプリ・メールアプリ・電卓アプリ・ノートアプリ・アラームアプリ・カレンダーアプリ・女神電話アプリ・魔力充填アプリ
女神電話アプリって(笑)、それにしても結構あるもんだな。でも、さすがにSNSとかネットに繋ぐなんてことはできないか。でも、どれも何か説明が足りてない気がするんだよな。
腰にスマホを入れるポーチがあったが、スマホを出しているだけでも魔力が減って行くので電源を切るとスマホは光となって俺の身体の中に消えていった。
結局、現状をどうこうできるようなものは見つからなかったので、とりあえず暗くなる前に何とか人里まで行こうと思い移動を開始した。
それにしても、こう同じ景色が続くと真っ直ぐ進めてるのかも分からないな……てか、俺って遭難してるのと変わらないんじゃないのか? やばいぞこれ、せめて川にでも出れれば川沿いに人里を探せるんだがな。
そんな事を思って森を進んでいると、突然開けた場所に出た。
お、やっと森を抜けれたのかな? ん、何か聞こえるぞ。
その時、何やら大きな悲鳴と怒号が聞こえてきた。
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