第2話 みゆき先生

先述の変なマスターの奥さま、みゆきさん。

本業は歌手である。


地元で有名な企業のCMソングも歌っている。

いわゆるレコーディング歌手。


メガネにおさげ髪。一回り年上のマスターの影に隠れているような人だが、マイクを持つとそこはすぐにみゆきさんのライブ会場になる。


普段ほとんど話さないみゆきさんがライブハウスで椎名林檎やらSuperflyやらを熱唱する姿を見て、心底驚いたものだ。


人は見かけによらない。


ちなみにみゆきさんは私の歌の先生で、週に一度、レッスンをお願いしている。


「土日は旦那さんとの時間を大切にしたいので、レッスンは平日でもいいかしら?」


みゆきさんはマスターが大好きだ。

いつもマスターのことばかり話して、マスターはお店でみゆきさんの自慢話ばかりしている。


それを聞いて、お客さんは呆れるやら、微笑ましいやら。

愛すべき夫婦である。


みゆき先生、いつもごちそうさまです。

お腹いっぱい。もう食べられないよー。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る