ファッションセンス
「おー!!可愛い。憂羽似合うよ!!
試着室から出た私に、菜都が言った。今着ているのは、原宿系ファッションとでも言うんだろうか、私が普段着ないような服。
ねぇ、これ僕にはちょっと、、、と、隣から権太が出てくる。
「個性的ね」
「うっ、、似合わないって分かってるし。」
「いい意味よ。」
お昼ご飯を食べ終わったあと、菜都が急にファッションショーしようと言い出した。何を言っているのかと思ったが、かれこれ1時間ちょっとは、菜都の着せ替え人形にされている。
「あ、次はどうしよっかなぁ!カワイイ系!?清楚系?? って柊は、、、?」
早口になりながら、喋る菜都。さっきまで、居たはずの柊(チャラ男)が何処かへ消えていた。彼は彼で、見たいものもあるだろうし。そう思って、別に良いんじゃないと言おうとする
「まぁ、いいで...「柊ぃぃぃ!!!!どこじゃああああ!」
急に菜都が叫ぶから、周りがこちらに注目する。
すると、反対側のお店から ひょこっと、柊が顔を出した。
「なんだぁ、そこに居たのか~。迷子になったのかと思ったよ!」
そう、菜都は言いながら柊に近づく。その背後を、私は見ていた。
出来れば追いかけるが、試着したままだ。距離は、そこまで離れてない為会話は聞こえる。というより、菜都の声がデカイのだ。
「迷子って 幼稚園児じゃあるまいし…」
「みっちゃんは、小さい時からそうでちゅよねぇ!」
そう、菜都はからかう。みっちゃんか、言いやすそうだ。
なら菜都は、なっちゃん?某ジュースみたいだな。
「うぜ... 取り敢えず、俺はピアス探してるから終わったら呼んで。近くにいると思うからさ」
「おっけおっけ」
そんな会話をした菜都は、こちらへ戻ってくる。
「まだ着替えるの?」
「ん? あ、着替えはもう終わり〜。その代わりね、みっちゃんにピアス選ぼ!ちょーダサイの!!
「そんなことしていいのかな…。」
不安気に権太は言った。権太の着ている服が、カラフルポップな、果物みたいな感じで、性格にあっていない気がする。アイドルみたいだ。
「いいのいいの!!!」
そう菜都に、押し切られて選ぶことになる。
アクセサリーショップのような所へ移動するのかと思えば、そのまま原宿系ファッションの、アクセサリーコーナーに移動する。
「あ、カメレオンあるよ!!星...は、似合いそうだからパス。」
「似合うものを選ぶんじゃないのね。」
クスッと、笑う。それをみた権太は
「ぁ、笑ってる所初めて見た」
「そう、だっけ?」
そう言われれば、そうかもしれないと口にした。
その時、「あーーー!!」と、菜都が大声をあげる。
「耳が痛い。どうしたの急に...。」
「これこれ!」
と言って、菜都が指を指した先には 目玉焼きのピアスがあった。
「憂羽と二人で選んだって言えば付けるかな?」
「あのさ、緒戸谷さん...なんでそんなに 柊君に突っかかってるの?」
「だってウザいじゃん?」
平然と菜都は答えた。周りから見たら、素直になれない彼女にでも見えるのだろう。
「あ、そっか…」
「うん?」
頭に、はてなマークを浮かべる菜都。
そういう事に鈍感な菜都は、気にしていないのだと思う。
**
菜都が、目玉焼きのピアスの会計を済ませてこちらへ戻ってくる。
赤いラッピングがされている為、中身は開けないと見られない仕様だ。
「じゃあ行っくぞー!」
反対側のお店で柊を探す。端の方のコーナーで、ピアスを見ていた。
右手には、青いピアスが見えるどちらかと言うと、綺麗な女性がつけているようなピアスだった。
「柊!」
「はい!?」
死角から呼びかけられて驚いたのか、普段の声より高めの声を出す柊。
菜都に、またやられそうだなと、私は思う。
ほらほらと、菜都に促される
「あ、これ二人で選んだけどあげるわ。」
「え!?本当?うわぁ、嬉しい。ありがとな!」
満面の笑みを浮かべる柊。罪悪感が...。背後でクスクスと笑う菜都に、私は少し苛立ちを覚えた。御免よ、柊。
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