予想通りと予想外

予想通りと予想外



ショッピングモール。休日は、賑わう場所だ。

普段寮生活の私達には、結構な遠出だろう。

もう説明しなくてもわかると思う、いつもの4人でショッピングモールに行くのだ。

まぁ、チャラ男は、別に誘ってないんだけれども 流れで…。


待ち合わせ場所は、この街の駅前のロータリー。寮から駅まで定期バスが出ているから、それに乗って駅前へ向かう。

チャラ男とは、定期バスで一緒になったけど、菜都と権太がいない。まぁ、遅刻だろう。


「来ないね...。今思ったんだけど、待ち合わせ場所バス停でも良かったんじゃ?」

「...そうだけど。別に行くところは同じなんだから、いいでしょう。」

「そう...だね。」


気まずい。

肩から下げた鞄から、携帯を取り出す。そこから、音ゲーアプリを立ち上げた。

週間ランキングを見ると、私が2位。その上に、『うさぎさん。』っていう人がいた。起きた時は、1位だった筈だ。少しだけ、イラッとする。

先週、『うさぎさん。』なんて居なかったはず。1週間で練習したんだろうか。


「相当な暇人ね。」

小さな声で呟く。聞こえない様に呟いたはずが、チャラ男に聞こえていたようで、「ゲーム?」とこちらに寄って、携帯端末を覗いてきた。



「そう 。新しい人なのか、出戻りなのか知らないけれど『うさぎさん。』っていう人が1位になってて、ちょっとね。私、結構やり込んでるんだけれどね、この曲。」

「へぇ...。『うさぎさん。』ね。もしかしたら...」


チャラ男が何か言いかけた所で、「おーい」と声が聞こえる。

ふと視線を上げると、前に続く道で大きく手を振りながら走ってくる人物。そして、それを背後から追いかける人物が居た。


「来た。」

そう言って、携帯の電源を落とす。


「ごめん!遅れちゃって...お布団が私を離してくれなくて!!っていうか、部屋同じなんだから、起こしてくれてもいいじゃん!」

「起こしたよ?ほっといても、遅れるだろうから先に出たけど。」


それに、起こしたら起こしたで、無くしたものとか探し始めるだろうし。

疲れるんだよ。口には出さないけど、心の中でそう言う。


「この薄情者ぉ!!お前の友情は、その程度かぁ!!」

「上田さんと、宮木さん。」

「正解!よくわかったねー。」


なんだ、クイズだったのか。一瞬本気で怒っているのかと。周りで見ていた権太と、チャラ男は、どうなっているだと、頭の上に?を浮かべていた。


そうして、私達はショッピングモールへと。



次へ続きます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る