人を呪わば穴二つ
許さない。呪ってやる。草木も眠る丑三つ時。仲良く並んだ二つの穴。一つはあなた、一つは私。土に埋もれるその日まで。人を呪わば穴二つ。
―――「ドッキリだいせーこー!」
おどろしいおどろしい辺りの雰囲気に似合わないすっとんきょうな声が闇に響く。数年前に恋人に殺され埋められた女の霊が出るという心霊スポットに突然連れて来られ、黒いバンの中で恐ろしいVTRを見て震え上がっていた売れっ子俳優は見事に落とし穴に落ちた。
「はいオッケーです!お疲れ様でした!」
売れっ子は無言のまま穴をよじ登り、歩きだした。お決まりの安っぽい看板を見た後も彼の顔に笑顔が戻ることはない。
「お前なんで穴もう1つ掘ってんだよ。戻すの面倒くさいだろーが」
後ろで監督の怒号がする。
「す、すいません!……あれ、おかしいなああんな人型の穴掘った覚えないんだけど」
若いADの呟きが確かに聞こえたが、振り返ることはなかった。
その後、彼の消息を知るものはいない。
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