第42話
1
楓は楠木家の3姉妹を避難場所に送り届けると、自分も水道局へと向かおうとしていた。
『鳥飼さん』楠木和美が呼び止める。
『宗介を・・宗介をよろしくお願いします』と言うと深々く頭を下げた。
『私たちには両親がいません、宗介は両親を失ってから何か殻に閉じこもってしまったような気がしてたんです・・』
楓は無言で和美の話を聞いていた。
『たまに夜中に帰ってきたり、別の日には傷だらけで帰ってきたして・・』
『お姉さん』楓が和美の話を遮った。
『宗介くんは芯の強い男ですよ、心配いりません 彼を信じてあげてください』
そう言うと楓は自分の車に乗り込んだ。
2
◇陸奥水道局
宗介は廊下を進んでいた。
奥の部屋から薄っすら明かりが灯されているのを確認する。
警戒して中を覗き込んだ。
その時、何かが宗介目掛けて飛んできた。
宗介は素早く避けると素早く矢筒から矢を取り出し弓を構えた。
宗介が横を確認するとナイフが突き刺さっていた。
『ナイトイーグルか』前島ことKINGが問いかけた。
【お前が黒幕だったのか】
『これは”正義”だ』
【何が”正義”だ!】
『陸奥はすでに壊れている、新たな秩序の構築が必要なんだ』
【陸奥を破壊しておいて何が秩序だ】
『理解出来ないのであれば、ここで死ね』KINGはそう言うと腰に巻き付けていた鎖鎌を振りかざした。
宗介は間一髪でそれを交わす。
そして素早く矢を放った。
しかしKINGはその矢を鎖鎌で蹴落とした。
『あそこの水道管にレベッカウィルスをセットしてある』
宗介は奥にあるアクリルケースを見た。
その上にはデジタルタイマー装置がセットされた小型爆弾があった。
『このボタンを押せば今から30分後に爆弾が爆発しウィルスが陸奥市全体を襲うことになる』と言うとKINGは小さなボタンのついた装置を取り出した。
【そんなことはさせない!】宗介はもう一度矢筒から矢を取り出し放った。
KINGはそれも鎖鎌で蹴落とす。
今度はKINGが鎖鎌を再び振りかざして宗介目掛けて投げつけた。
鎖鎌が宗介の足に絡みつき、宗介はバランスを崩して倒れ込んだ。
KINGは素早く鎖鎌をたぐりよせ、宗介を引きずり込んだ。
足元まで引きずられた宗介をKINGは鎖を首に巻き付けて締め上げた。
【ぐ・・】
『見届けろ、陸奥が壊れる姿を』
KINGはそう言うと爆弾のボタンを押した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます