第39話






◇陸奥市役所




前島は数名の部下を連れて市長室へと向かっていた。



前島以外はどれもチンピラ風な格好をしており、市職員たちはその異様さに戸惑いを感じていた。


前島が市長室に入ると開口一番、市長の土方が詰め寄ってきた。


『前島くん!これは一体どういう事だ!』土方は1枚のコピー用紙を前島の前に突き出した。


そこには”グランドアルファ”の真の計画が記されていた。


『レベッカウイルスとは何かね!?』


『すみません、事情が変わってしまって 陸奥を破壊することになりました』


『な・・何を言ってるんだ』


土方が先を続けようとした瞬間、前島は土方の額に銃弾を打ち込んだ。



『・・・君は・・一体何者なんだ・・』土方は薄れゆく意識の中で前島に問いかけた。





『”バベル”が新たな秩序を構築する』











宗介と楓は陸奥に到着するとすぐに陸奥市役所へと向かった。



『楠木さん!!大変です!』女性職員が駆け寄ってきた。


『どうしたんです!』


『前島副市長が・・・土方市長を・・・』


宗介はそこまで聞いて察しをつけた。


女性職員を落ち着かせ、宗介は奥にある市長室に向かった。



そこには頭を撃ち抜かれ絶命した土方が倒れていた。



『市長・・・』



『宗介、時間がない 急ぐぞ』楓が宗介を促す。




『はい』








佐渡と黄昏貴美子はM空港に到着したあと、ZACKの特殊部隊”ジェネシス”と共に陸奥市へと向かっていた。



『時間が無かったので”ジェネシス”は第1班のみで行きます』貴美子は黒いツナギのレザースーツの胸元のチャックを締めながら話した。





『ああ、クロウとナイトイーグル・・・そして君、ブラックカイトもいるからな』




ZACKの黒い特殊車両が2台、スピードを上げてM県内を駆け抜けていた。








◇M県警



『おい!野上! 今、陸奥警察から連絡あった 土方市長が殺害された』野上の上司が呼び止めた。


『なんですって!? 土方市長が・・』


『それも前島副市長が殺ったとのことだ』


『どうなってるんですか・・?』


『それはこっちが聞きたいよ、現在陸奥警察はQUEENの一件で機能していない状態だ 県警が指揮をとる、野上行ってくれるか』


『了解です』


野上は急いで椅子に掛けていたスーツの上着をとると捜査一課の飛び出そうとしていた。


『野上!』上司が呼び止める。


野上は即座に振り返った。


『怪我、大丈夫か?』


数日前にスティンガーに撃たれた脇腹の傷を上司は心配していた。




『こんなのどうってことないですよ』


そう言うと野上は部屋を飛び出していった。









◇陸奥地裁




裁判を終え、法廷から出てきた滝沢瑞穂は少し変わった様子をすぐに察知した。


『今日はやけに人が少ないわね』


いつもなら裁判を終えると複数のメディア関係者や記者たちがおろついているが、今日はその姿はほとんどなかった。



一緒にいた検事補佐官がスマホの画面を瑞穂に差し出しながら答えた。


『これじゃないですか』


ネットニュースではすぐに土方市長の殺害されたことが記事にされていた。


『土方市長が・・・』瑞穂は驚きを隠しきれなかったが、すぐにあることを察した。



『KINGが・・動き出したのね・・』


『KING・・??』検事補佐官はワケが分からないといった表情をしていた。



『ちょっと、あとは任せるね! 私、用事思い出したから!』


『あ!ちょっと!滝沢さん!』



滝沢瑞穂はそう言って自分の荷物を預けると陸奥地検の廊下を駆け抜けていった。






それぞれの思いが交錯し、事態は最終局面へと向かうことになる。

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