第38話
『佐渡長官、信じられますか?』
『前島がKINGのことか』
『いいえ、レベッカを水道管に流すことです』
『レベッカの特性を考えたら楓の推測が一番理にかなっている』
『だとしたら、KINGは本当に陸奥を破壊するつもりなのね・・・』
2人はZACKの廊下を歩いていた。
◇1時間前 ZACK施設内
『前島副市長が・・KING・・?』宗介は驚きを隠せなかった。
『前島はレベッカをどうするつもりなの?』貴美子が問いかける。
『レベッカは空気感染しないと言ったな、だとすると人の体内に効果的にウイルスを取り込ませる方法は一つだ』楓にはある推測があるようだ。
『まさか・・』佐渡もそれに気づいたようだった。
『人が必ず摂取するものを考えれば、答えはすぐ見つかる・・・』
『水・・・ですか・・』宗介が疑いながらも口にした。
『確かに・・人が必ず摂取するものを考えると・・そうなるわね・・もし、そうだとしたら大惨事になるわよ』
『陸奥の真実で既に大惨事だ』楓がつぶやいた。
それから楓と宗介は一旦、鳥飼インダストリー社:AS研究所の地下にあるクロウ基地に寄ってから陸奥へと楓の自家用飛行機で向かうことになった。
佐渡と黄昏貴美子はZACKで準備をして、こちらもZACKの専用機で陸奥へと向かうことになり、彼らは現地で落ち合うことになった。
◇鳥飼インダストリー社:AS研究所
『鳥飼社長!』
楓と宗介が地下へと降りると、白衣を着た緒方友宏(”CROW-the origin-”参照)が待ち構えていた。
『例のものは出来てるか?』楓は挨拶もそこそこに本題に入った。
『はい、バッチリです』そう言うと緒方は奥からアタッシュケースを取り出した。
宗介は何が行われているのか理解出来ず、ただ佇んでいた。
楓がアタッシュケースを開けると、そこには真新しいスーツが入っていた。
『宗介、これを君に渡そう』楓は宗介をアタッシュケースの前まで呼び寄せた。
『え、僕にですか・・?』
宗介が中を覗き込むとそこにはダークグリーンの色合いの戦闘スーツらしきものがあった。
『これって・・・』
『”ナイトイーグル”の新しい戦闘スーツだ』
『形状記憶タイプなので、楠木さんの体にフィットした体に密着したスーツになります』
『動きがより俊敏になれる』楓が付け足す。
そのスーツを取り出すと、その下にはこちらも真新しい弓と矢はあった。
『新型スーツの背中一面には極薄素材の強力マグネットが取り込まれています、そしてその弓は軽量金属素材で作られているのでいざと言う時、背中に貼り付けると両手が使えるようになってます』
『腰の辺りだと矢筒の邪魔にもならないだろう』と言うと楓はケースの隅にあるものを取り出して宗介に渡した。
『これは・・?』
宗介が渡されたのはスーツと同じダークグリーンの色を付けたアイマスクだった。
『大切な人を守るためにマスクをつけろ』
『それとちゃんとフード付きですから きっとこだわりでしょ? ご心配なく』緒方は満足げに話した。
『ありがとうございます』フードのことはさておき、宗介は深々と頭を下げた。
『これからが本当の戦いだ』
『はい、・・・ところで・・どうして緑なんですか・・?僕も黒のスーツだったのに・・』
『ブラックはクロウカラーだ』
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