第37話





『QUEENは基本的に一匹狼だ、”やつら”と呼ばれる組織とは直接の関係性はないだろう』



取調べを終えた佐渡が楓と宗介のいる部屋へ入ってきて話しだした。



『陸奥市にそんな裏があったなんて・・・』宗介はショックを隠しきれなかった。


そして、JACKの言葉を思い出していた・・・・




”この街の闇はもっと深いぞ、弓矢坊や”




楓、佐渡、宗介は無言のまま佇んでいた時、ドアが開いて黄昏貴美子が入ってきた。



『”レベッカ”について少し分かったわ』


『報告してくれ』佐渡が促す。


『幸いと言って良いのか分からないけど、レベッカウイルスは空気感染はしないようね』


『どういうことだ』楓が聞く。


『液体及び、固形物に混ぜて体内に取り込まないと発症しないウイルスってことよ』


『ならどうやって、KINGはばら撒く気だ・・』佐渡が考えながらつぶやく。



『それがJACKが言っていた”グランドアルファ計画”ってやつなのか・・?』宗介がつぶやいた。



『宗介、今なんて言った?』楓は厳しい顔で宗介に詰め寄った。


『・・え・・”グランドアルファ計画”・・・ですか・・』


『JACKが本当にそう言ったのか』


『はい・・死ぬ間際に、確かに言いました』


楓はそれを聞くとすぐさま自分のカバンをあさり出した。



『どうした、楓』佐渡が聞く。


楓はカバンからA4サイズの茶封筒を取り出すとテーブルに投げ置いた。


その茶封筒には”グランドアルファプロジェクト”と書かれていた。


『楓さん、これって・・なんですか』宗介は驚きながら聞いた。


『陸奥市のライフライン地中化計画の資料だ』


『”ライフラインの地中化”・・』


『ああ、陸奥市はライフラインを地下に設置する計画がある、その一部はすでに着工されているが、ここにはその後の計画が書かれている』


『電線に関しては知っていましたけど・・その他も計画していたんですか・・?』


『企業のプロジェクト発足前の準備段階時に仮のプロジェクト名をつけることがある、これはまだその段階だ』


『どういうことですか・・?』


『KINGは計画をカモフラージュするために”グランドアルファ”を隠語として使っていた・・ということだ』


『ならKINGは市の関係者なのか?』佐渡が楓に問いただした。



『この計画は僕らは知らない・・・まさか土方市長が・・KING・・?』


『いや・・この地中化計画は市長の主導では行われていない』


『じゃあ、一体誰が・・?』黄昏貴美子が楓の方に振り向いて聞く。



楓は思いつめた表情で噛み締めながら答えた。






『副市長の前島恭平・・・やつがKINGだ・・』

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