第27話
1
クロウとブラックカイトはナイトイーグルを追ってきていた。
廃ビルの屋上から中に侵入し、物陰に隠れて中の様子を伺っていた。
『まずいわ・・止めないと』ブラックカイトは暗示をかけられた宗介を助けよう身を乗り出した。
それを楓は制した。
『何するのよ』
【ダメだ、待て】
『待てって・・この状況でよく言えるわね』
《どういうことだ、クロウ》楓のワイヤレスイヤホンに佐渡の声が入り込んだ。
【ナイトイーグルの内なる正義を呼び起こさせる】
『このままだと、彼はあの女性を殺すわよ』
《今は危険だ、クロウ 助けるんだ》
【ダメだ! あんたはオレにあいつを教育しろといった・・なら、オレを信じろ】
鳥飼楓は天井の隙間から滝沢瑞穂に弓を向ける、ナイトイーグルをじっと見つめていた。
2
『さぁ、女検事さんに矢を放て』
宗介は弓の弦を目一杯引いた。
『あなたは人を殺せないわ・・・たとえ暗示にかけられていても』滝沢瑞穂は真っ直ぐ目を宗介に向けていた。
『オレの暗示は絶対だ、ナイトイーグルであってもそれは変わらない』
『ナイトイーグルはヒーローよ、あなたは陸奥市の希望なのよ』
宗介はそれでも弓を構えている。
『オレの暗示の前では無駄だ』
宗介は弓を滝沢瑞穂に向けたまま力を込める。
瑞穂は目を瞑り、顔を背けた。
しかし次の瞬間、宗介は構えていた矢を持ち替えると自分の太ももに勢いよく差し込んだ。、
【・・!!】
『何・・?』驚くQUEEN。
宗介は金縛りに遭ったみたいな体の重みから一気に開放されたような感じで、一気に体が軽くなった。
自由に体が動くことを確認すると新たに矢筒から矢を取り出し、QUEENに撃ち放つ。
『な・・なぜだ・・?・・』
矢はQUEENの腹に命中し、QUEENはその場に倒れ込んだ。
『それでも・・お前のJACK殺しの汚名は消えないぞ・・・』
宗介はQUEENを無視して縛られていた滝沢瑞穂の腕をほどいていた。
《オレが警官に暗示をかけてJACKを殺した、あいつは少し頭が悪くてウザかった》
スピーカーからQUEENの声が聞こえてきた。
『自分で自白してるのよ、これは立派な証拠になるわ』
滝沢瑞穂の手にはスティックタイプのボイスレコーダーがあった。
『これでも検察官よ、いつ、どこで、重要な証言が聞けるか分からないから常に持ち歩いているのよ』
3
『こうなることが分かってたの?』ブラックカイトが楓に問いただした。
【確証はなかった、だが彼なら乗り越えられると思った】
『あきれた・・・』ブラックカイトはそう吐き捨てると、下へ降りていった。
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