第25話
1
『こ・・・こいつです!事件の日、陸奥警察署に来た男です!』佐伯は怯えた表情で叫んだ。
野上は身構えて警戒する。
『瑞穂を離せ』
QUEENは既に滝沢瑞穂を後ろから羽交い締めした状態だった。
『オレは今回の一件で学んだことがある』QUEENは唐突に話しだした。
『・・・・』野上優作は何も答えない。
『オレの暗示能力は例え効果が消えても、その間の記憶は無くなっているものだと思っていた、しかしお前のように効果が消えても何かの拍子に記憶が戻ることもあると知った』
QUEENは佐伯を見つめながら話を続ける。
『だから、オレは決めたんだ。 暗示をかけたやつは最終的に殺すってな』
QUEENはそう言うと、迷いもなく佐伯に銃口を向け放った。
佐伯は頭を撃ち抜かれその場に倒れ込む。
部屋は一瞬にして血の海と化した。
『佐伯!』野上が佐伯に駆け寄る。
しかしすでに佐伯は息絶えていた。
『瑞穂を離せ!』
『そいつが記憶を戻したと聞いて、口封じするために追っていたら この女検事さんにたどり着いた、どうやらナイトイーグルに熱心らしいな』
『だからなんだって言うんだ!』
『ナイトイーグルを叩き潰す良い材料になる』
『何を企んでいる・・』
バン!
QUEENは野上優作の肩に拳銃を撃ち込んだ。
野上は倒れ込んで悶絶する。
『優作!!』
QUEENは滝沢瑞穂を羽交い締めしたまま、野上に近づき血が流れている右肩の傷口を踏みつけた。
『ぐわぁ・・・!!』
『お前は特別に生かしてやる、ナイトイーグルに伝えろ』
『・・・・!!・・』
『決着をつけてやるってな』
2
宗介は陸奥の街でQUEENについて知っている”999(スリーナイン)”の残党を捕まえていた。
『知らねえって!』
【なら、QUEENについて知っていることを言え】宗介は残党の胸ぐらを掴み、壁に押し当てた。
『本当に知らないって・・QUEENは一匹狼だからな・・群れないんだ』
宗介は掴んでいた胸ぐらを緩めた。
残党は一目散に逃げていく。
その時、ワイヤレスイヤホンに通信が入った。
【どうした】
《や・・やられた・・》
【何があった!?】
《QUEENが来た・・・佐伯巡査は殺された・・そして・・瑞穂が拐われた・・》
【お前は大丈夫か?】
《ああ、・・陸奥市の離れにある開発地区外の廃ビルに来いと言ってた・・・決着をつけるって・・オレはそれを伝えるために生かされた・・・佐伯と瑞穂を守れなかった・・・》
【お前のせいじゃない、後は任せろ】
《頼む・・瑞穂を助けてくれ・・・》
《ビビビビ・・・》通信が切れる音がした。
宗介はすぐさまバイクに跨り、陸奥市の離れに向かった。
そして、その後を2台のバイクが追って行った。
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