第23話







『どういうことだよ』




【QUEENに操られていたんだ】




『うわ!』野上は突然聞こえた加工された声に驚いた。


野上優作は自分の部屋のベランダの方に振り返った。


ベランダには中腰のガーゴイルスタイルで佇む、フードを被った楠木宗介がいた。


『ナイト・・イーグル・・? マジかよ・・』


『この佐伯巡査がQUEENっていう人物に操られてJACKを撃ったのよ、そしてその暗示が解けた事でQUEENに狙われているの』


『QUEEN・・・?』


『あの日、陸奥警察署に変な男が来て・・何かされたような気もしますが・・そこから記憶が曖昧で・・・』


『だったら撃ったとは分からないだろ?』


『暗示が解けた瞬間・・すべての情景が浮かび上がってきたんです・・』


『操られている状態の時は記憶が無くても、実際彼は銃を撃った・・暗示が解けた時、その感触と見たものの記憶が一気に戻ってきたのよ』滝沢瑞穂は野上に諭すように言った。


【QUEENは警察官を操っている、彼を陸奥警察署へ戻すことは危険だ】


『優作、』瑞穂は真っ直ぐな目で野上優作を見つめていた。


『わかった、まだよく事情を把握してないけど・・彼はここで匿う・・』


『ありがとう、優作』


【検事さん、あんたもここに残れ】


『どういうこと』


【ここからはオレの戦いだ】


『瑞穂、ナイトイーグルの言う通りだ これ以上は危険だ』


瑞穂は悔しさを滲ませながら頷いた。



【何かあればこれで伝えてくれ】


宗介は野上優作にワイヤレスイヤホンマイクを渡した。



『わかった』



宗介は野上にそれを渡すとベランダから飛び降りた。


『おい!ここ10階だぞ!』野上は驚きを隠しきれずにベランダへ向かった。



ベランダから下を覗き込むと、向かいのマンションの壁に矢が突き刺さり、ワイヤーが伸びていた。



『とんでもない奴だな・・・』






◇陸奥市内 ホテルの一室




『ナイトイーグルが動き出したわよ』


ブラックカイトがPC画面を見ながら声を上げた。





【オレたちも行くぞ】




楓はすでにクロウスーツを身にまとっていた。


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