第19話




◇夜 陸奥市内のとあるバー





『スマホ写真で我慢しろよ』



野上優作はバーのカウンターでスマホ画面を開けて隣に座る滝沢瑞穂に差し出した。


『本当に感謝するわ』


滝沢瑞穂は食い入るようにスマホの写真を見ていた。



野上はため息を一息ついて口を開いた。


『もうすぐ30になろうとしてい女性って普通、インスタグラムとかやってんじゃないのか? 見てる画像が他人の死体って・・』


『うるさいわね、インスタグラムなんて興味ないわ』瑞穂はスマホの画面を見ながら答える。


『お前、顔とか普通に綺麗なのに・・ほんと、事件ばっか追ってるよな』


『ああ!!』突然、滝沢瑞穂は声を上げた。


『なんだよ!周りに迷惑だろ!』


『優作、これ見て』


滝沢瑞穂はJACKの額を拡大して野上に渡した。


『普通の傷口だろ?』


『ちゃんと見なさいよ、傷口のフチを』


滝沢瑞穂は画像の傷口辺りを指さして続けた。


『少し黒づいてるでしょ、これは火傷の痕よ』


『マジかよ!』野上は顔をスマホに近づけて更に見直した。


『確かに・・・火傷の痕だ・・ってことは・・』





『矢で撃ち抜かれたんじゃないわ、これは銃で撃ち抜かれたのよ』


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