第16話







◇陸奥市役所 16:00pm





宗介と楓は陸奥は陸奥の街を見て回ったあと陸奥市役所に戻ってきた。



『どうでしたか?陸奥の街は』スーツ姿で丸眼鏡をかけた40代前半の男性が玄関で楓を出迎えた。


『素晴らしい街でした』


『初めまして、副市長の前島 恭平(まえじま きょうへい)と申します、ようこそ陸奥市へ』


前島はキリッと釣り上がった目で楓を見据えると右手を差し出し、握手を求めた。


『こちらこそ、急な申し出で申し訳ないです』楓はその握手に応える。


『では、奥で市長が待っていますので、どうぞこちらへ』前島は楓を市長室へと促した。


楓は宗介の方を見ると軽く会釈した。



宗介は楓の姿をただ見据えていた。





◇市長室




『多額の寄付金には感謝しています』




白髪でひ弱な感じのイメージを感じさせる60代後半の男性は楓に感謝の意を伝えた。


『市長の土方 徹(ひじかた とおる)です』


『いえ、困った時は助け合いです しかし、素晴らしい街に復興しましたね』


楓は素直に街の復興を称えた。



『陸奥市は今、”地下計画”と言う大きな取り組みを行っています・・しかし、ここだけの話、具体的な内容は私もよく分かっていません』


『?』


『計画はほとんど、前島くんが主導で行っています・・私ももうこの歳ですから・・次は彼の時代が来るでしょう』


後ろで立っていた前島は軽く会釈した。


『まずは電線の地中化を目指しています』前島が説明する。


『ほぉ、それが実現したら凄いことですね』


『近年、災害が多い我が国にとってライフラインを地中化することは、ある意味では使命なのかもしれません』


『私の街では難しいでしょね』


『洋上都市である九十九では厳しいでしょうが、良ければ資料を用意しますよ』


『それは有り難い』



その後、街のことや今後の復興事業について意見を交わし、楓は陸奥市役所を後にした。










◇夜、とある陸奥市内のホテルの一室



ロングコートの男が楓の部屋のスイートルームにあるソファに座っていた。


『どうだった?楠木宗介は』


『港で彼の戦闘を見ました、佐渡さん あなたが僕を陸奥に呼んだ理由が分かりました』


佐渡は楓の方に振り向く。





『楠木宗介も”グレート・エスケープ”で訓練された人間ですね』


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