第15話



◇M県警




野上優作(のがみ ゆうさく)はM県警の廊下を歩いていた。




『優作!』と呼び止める声が聞こえた。


野上は声のした方を見る。


そこには缶コーヒーを2つ持った滝沢瑞穂が立っていた。


『瑞穂! なんでいるんだよ?』野上優作と瑞穂とは幼馴染な関係だった。


『ちょっと頼みがあるんだけど・・』


『勘弁してよ・・お前の頼み事ってろくな事ないからなぁ・・・』


『”999(スリーナイン)”のボスの遺体写真見せて』あっけらかんとトンデモナイことを瑞穂は言った。


『ば・・ば・・馬鹿か! 見せれるわけないだろ!』


『県警はナイトイーグルの犯行だと断定してるでしょ』


『当たり前だろ、港でナイトイーグルと”999”がドンパチやらかしてたんだから』


『彼は殺せないわ』


『? どういうことだよ』


『だから遺体の写真を見たいのよ』


野上優作は腕組みをすると黙って考え込んだ。


『どうしたのよ?優作』


『実はさ・・オレもちょっと気になることがあって・・』


『何?』


『JACK・・あ、”999”のボスの愛称ね、JACKは確かに頭を矢みたいなもので撃ち抜かれているっぽいけど・・それ以外にも数名殺されてた部下たちは銃殺だったんだよ』


『ナイトイーグルの武器は弓矢だけよ!』


『だよな、だから・・おかしいなーって』


『だったら写真見せてよ!』


野上優作は深く考え込んだ。


滝沢瑞穂はすがる思いで野上優作を見ていた。



『わかったよ、今晩 いつものバーで』


『優作 最高! はい、コーヒーあげる!』


滝沢瑞穂はそう言うとあっという間に県警を後にした。



『ったく・・』




野上優作は頭を掻きながら廊下を引き返していった。

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