第14話







『えーと・・そうですね、本日16時より市長との面会で聞いておりますが・・』


鳥飼楓はどうしたらいいのか分からずに困り果てている受付の女性見ながら、少し申し訳ない気持ちがあった。


早く来たのには、別の意味合いがあったからだ。



『では、少し陸奥の街を案内してもらえませんか?』


『あ、、はい?』


『大震災から3年でここまで復興した街を見て少し学べるところがあるかも・・九十九も津波の被害を受けて、大変な時期なんで・・』


鳥飼楓はT都のT湾に浮かぶ洋上都市”九十九市”に本社を構える”鳥飼インダストリー社”の若き社長である。


九十九もある事件の影響で津波の被害を負っていた。(”CROW -the origin-”参照)


『はい、では誰か呼んできます』受付の女性が立ち上がり奥へと向かうとした時、楓はそれを遮った。


『彼でいいですよ』


『?』


楓は市役所の奥でファイル整理していた楠木宗介を指さした。


『楠木さんですか・・?』


『ええ、彼にお願いできますか?』


その時、奥から50代ぐらいの男性がやってきた。


『これはこれは、鳥飼さん 随分お早い到着で・・、広報の安藤です』


『すみません、予定より早く着いてしまったもんで・・少し街を見学させてもらいたいのですが・・』


『そうですか、でしたら 私が・・・』


『いや、出来れば彼にお願いしたいんですが・・』楓は改めて楠木宗介を指さした。


『どうぞ、どうぞ、 おーい、楠木くん!』


宗介は呼ばれると受付までやって来た。


『遥々、T都から来てくださった鳥飼さんに陸奥の街を案内してやってくれ』


『え、僕がですか・・?』


『鳥飼さん直々のご指名だ、粗相のないようないな』


『よろしく頼むよ』楓は軽く会釈した。




『あ、、はぁ・・はい』



そして楓と宗介は陸奥の街へと繰り出した。





2





移動中の車内で楓は口を開いた。


『なんか、凄い扱いを受けてしまってるね』楓は少しハニカミながら言った。


『陸奥への多額の寄付には感謝しています』運転しながら宗介は答える。


楓は大震災を受けた陸奥市に多額の寄付金を送っていたのだ。


『表向きは復興しているように見えますが、まだまだ被害の爪痕は残ってますから』



楓は唐突に話を切り替えた。



『ナイトイーグル、大変な事になっているね』


『そうですね・・』宗介は少し口ごもる。


『本当に人を殺したんだろうか?』


『さぁ・・どうでしょう・・』


『僕は殺してないと思うけどな』


『どうして、そんな事聞くんですか?』


『いや、特に意味はないよ 気に触ったかい?』


『いいえ』




そこから2人は会話をしなかった。


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