第12話







『お前が出てきて、こっちは予定が狂ってんだよ』


JACKはそう言うと再びナイフを投げつけてきた。


宗介はそれを交わすと自分も再び矢筒に手を伸ばし矢を取り出し放つ。


お互い緊張感のある間合いを保っていた。



【お前たちがこの街を汚したんだ】


『俺達が??、笑わせるな』


【・・・?】


『この街の闇はもっと深いぞ、弓矢坊や』


JACKは今度は接近戦に持ち込むようであり、宗介に突進してきた。


JACKと宗介の肉弾戦が始まる。


【陸奥の闇が深い・・?】


『お前はまだその闇の入り口にいるだけだ』


JACKの拳が宗介にヒットする。


宗介は後ろに倒れこんだ。


JACKはすかさずナイフを取り出し、倒れている宗介に向かっていった。


宗介は弓でJACKのナイフから防御しながらさらに問いかける。


【お前が、楠木正と砂羽を殺したんだろ!】


『誰だ?そいつは?』


【とぼけるな!】


『悪いが、そいつは人違いだぜ、弓矢坊や』


【?!】


『お前とそいつらがどんな関係かは知らんが、それはオレじゃない』


【嘘だ!】




『だから言っただろ、この街の闇は深いってな』







コンテナ近くには”999(スリーナイン)”の部下たち数名がいた。


『今、、JACKがナイトイーグルと戦ってるのか・・?』


『そうみたいだな、俺達はどうするよ・・?』


部下たちが路頭に迷っていたところに警察官が4名現れた。


『しまった!!』部下たちが慌てて銃を構える。


『俺達は”QUEEN”の使いだ』


『”QUEEN”の使いってことは・・・』


『仲間だ』


JACKの部下たちはホッと胸を撫で下ろした。


『ところで例のブツは?』


『ああ、コンテナの奥にある』部下の一人が首で場所を示す。


警官たちは中に入りそのブツを確認する。


それは小さなダンボール箱1つだった。


『”QUEEN”、例のブツは無事回収しました』


警官はワイヤレスイヤホンに向かって連絡する。


『よし、撤収だ』1人の警官が他の警官に支持をだした。


『お・・俺たちも連れてってくれよ・・このままだと逃げ場がない・・』



『悪いな、”QUEEN”からブツを回収したらあとは排除と言われてるんだ』



そう言うと警官4名すべてが部下たちに拳銃を向けた。


『ま・・ま・・待ってくれよ!!』


シュ! シュ! シュ! シュ!


消音銃だったようで発泡音は最小限に小さかったが、確実に”999(スリーナイン)”の部下たちを始末していた。







宗介は馬乗りしていたJACKから抜け出すと、コンテナの外へ出ていった。


JACKがそれを追う。



【一体、この街で何が起こっているんだ】


宗介は矢を放った。


しかしそれはJACKにはヒットしなかった。


宗介は矢筒に手を掛け残りの矢を確かめた。


(あと1本だ・・)



JACKもそれに気づいたらしい。


『あと1本か、弓矢坊や』


【・・・・】


『次で決まるな』


宗介はJACKに向かって走り出した。



JACKはナイフを取り出し投げつけた。


(避けたところでトドメを刺す!)


しかし宗介は避けなかった。


『!?』


JACKの投げたナイフをそのまま右腕に受け、宗介は最後の矢をJACKに放った。


矢はJACKの胸を突き刺した。


【そこでは死には至らない】宗介は右腕に刺さったナイフを抜き取りながら言った。


ひざまずいたJACKは宗介を見つめる。


『自分の右腕をおとりにして最後の矢に賭けるとはな・・』


【知ってることを、話してもらおうか】


宗介は刺さった矢を少し押し込んだ。


『ぐぅ・・・』JACKが悶絶する。


【陸奥の闇とはなんだ】



『”グランド・アルファ計画”・・・』



その瞬間、バン!という音とともにJACKの額に銃弾が打ち込まれた。



宗介は銃弾が飛んできた方向を見た。


建物の屋上でライフルを持つ機動隊らしき人物の姿が見えた。


宗介は矢筒に手を掛けたが最後の矢はJACKで使っており、なかった。


【JACK!しっかりしろ!】



JACKは即死だった。


機動隊員らしき人物は宗介に狙いを定めてライフルを構えたが、パトカーのサイレン音が聞こえてきたので、その場から去っていった。


宗介もJACKから矢を抜き取ると、その場を離れた。




数台のパトカーが陸奥港に向かってきていた。


しかしそのパトカーたちとは逆走して引き返すパトカー1台と人員輸送車があった。






そして翌日、新聞紙面に衝撃的な記事が載った。



”ナイトイーグル、ついに人を殺める”



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る