第9話
1
宗介は日付がすでに変わった夜中に家に帰ってきた。
3姉妹は寝ているだろうと、物音を立てずにゆっくり玄関を開けた。
しかし、目の前には楠木家の長女、和美が立っていた。
『かずネエ、起きてたの?』宗介は力なく話しかける。
和美は何も答えずただ、宗介を抱きしめた。
『な、、なんだよ・・かずネエ』
『犯人、捕まったわよ』和美は宗介を抱きしめながら言った。
『知ってる』
『一人で抱え込まないでいいのよ』
『・・・・・』
『あんたはいつもすべてを抱え込むから・・』
『救えたかもしれないんだ・・』
『危険な事はしないでよ・・・もう誰も失いたくないから・・・』
『かずネエ・・』この時、初めて宗介は常に前向きで楠木家を引っ張ってきた和美の寂しい一面を見た。
『大丈夫だよ、心配しないで』
和美は抱きしめてた宗介から離れると『じゃあ、私はもう寝るから、ご飯は台所にあるわよ』と言って部屋へ向かった。
2
とある一室。
書斎のソファに座る男は携帯を取り出し、電話を掛けた。
『ナイトイーグルが次の取引の情報を入手したらしい・・』
男は電話を掛けたまま、ソファから立ち上がり、陸奥の夜景が一望できる大きな窓枠のないガラス張りの窓へと近づいた。
『例のブツだけは必ず確保しろ、場合よっては・・・わかってるな? ”QUEEN(クイーン)』
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