第8話
1
『今回はこれで最後だ』
夜の陸奥市内の片隅で、男がクスリの売買をしていた。
遠くではパトカーのサイレンが鳴り響いている。
『今日はやけに騒がしいな』
『向こうが騒がしいとってことは、逆にこっちは安心だ』
『そうだな』
しかし、その瞬間、売り手の方の男の背中に激痛が走った。
『!!』
買い手の男は売り手の男の後ろに立つ黒いフードを被った男の存在に気づいた。
『ナイトイーグルだ!』
買い手の男は持ってたクスリを投げ捨てて走り去っていった。
宗介はその男には興味がないようだった。
売り手の男の背中に刺さったままの矢を手で更に押し込みながら男を壁に打ち当てた。
『ぐわあああああ!!・・なんだよ・・・』
【クスリは999(スリーナイン)からか!】
『そうだ・・・』
【受け取り場所はどこだ!】
『言えるかよ・・』
宗介は掴んでいる矢を更に押し込んだ。
『ぎゃああああ・・』
【どこだ!】
『む・・む・・陸奥港だ・・・陸奥港の第4コンテナだ・・』
【”今回はこれで最後”と言ってたな、次の受け取りはいつだ】
『1週間後に来いって言われた・・・頼むから矢を抜いてくれ』
宗介は矢を抜き取ると、その場を去っていった。
2
陸奥市が一望できるビルの屋上に宗介はいた。
宗介は矢を手に持ち、その矢先を見つめて先程の事を思い出していた。
”あなたはヒーローなのよ 街の希望でもあるわ 殺してはいけない”
宗介の頭に滝沢瑞穂の言葉が駆け巡っている。
彼女の言葉が宗介に一線を超えさせなかった。
3
◇陸奥港:第4コンテナ内
『・・・・それで、お前は次回の取引日とここの場所をナイトイーグルにしゃべったワケだな』
大きなソファーに深々く座ってサバイバルナイフの刃を手のひらに当てながらJACK(ジャック)は目の前に立つ男に話しかけていた。
『すみません・・JACK・・』男は背中の傷がまだ真新しい状態だった。
『背中、痛むか?』
『・・はい・・』
『まぁ、どこの誰だかわからん弓矢野郎に突然襲われて、背中に怪我まで負ってるんだ、さぞ怖かっただろう』
男はその時を情景を思い出して小刻みに震えていた。
『だが、この仕事は大金が動くんだよ』
そう言うとJACKは素早くサバイバルナイフを男に投げつけた。
そのナイフは男の眉間を突き刺していた。
男はそのまま仰向けに倒れて息絶えていた。
『始末しとけ』JACKは男からナイフを抜き取ると周りにいる部下たちに指示した。
部下の一人がJACKに話しかける。
『来週の取引は・・?』
『止める訳にはいかないだろ、例のブツが来るんだぞ!』
『しかし・・・』
『ナイトイーグルが確実にここに来ることが分かってるんだ、待ち伏せてぶっ殺してやる』
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