第26話
久梨亜のやつ、口を
「ちえっ、つまんね。せっかく英介の魂が手に入るかと思ったんだけどな。いくら“平均以下”だっていっても魂には変わりねえんだし」
平均以下って言うなよ、知ってたけど。
っていうか、お前本気で俺の魂を取りに来てたのかよ。
「お、お前なあ……」
「そうですよ、ダメですよ久梨亜。英介さんの魂は取っちゃいけません!」
「悪い悪い。ちょっとした冗談だよ。でもどうやらこれで美砂と英介は仲直りできたんじゃねえのか」
ニヤッと笑う久梨亜。思わず顔を見合わす俺と美砂ちゃん。
俺はなんだかこっぱずかしくなって思わず下を向いてしまった。美砂ちゃんも同じらしい。
「ゴメンな、美砂ちゃん」
「いえ、わかってもらえたらそれでいいんです」
美砂ちゃんがニッコリ笑ってくれた。うん、やっぱりかわいい。
久梨亜の言うとおり、どうやら美砂ちゃんは機嫌を直してくれたらしい。よかったよかった。
えっ? もしかして久梨亜のやつ、このために俺の魂を取るなんてことを言ったのか?
「ありがとな、久梨亜」
「さあて、あたしにはなんのことやら」
また久梨亜がとぼけた表情になる。わかりやすい。こんなに心ん中が表情に出るのは悪魔としてアリなのか? もしかしてこいつ悪魔としては落ちこぼれなんじゃないのか?
そんなことを考えていたら、久梨亜のやつから肝心なことを指摘された。
「それより英介、その『奥名先輩』のことはどうすんだよ」
そうだ。すっかり忘れてた。
今、俺の前にはふたつの選択肢がある。
1.美砂ちゃんに頼んで(たとえ
2.頼むのは
そしてまあ一応、久梨亜の選択肢も入れておいてやるとするか。世話になったしな。
3.久梨亜に頼んで奥名先輩と両想いになる
だが選択肢がいくつ増えようが俺の気持ちは決まってる。
「うん、“2”で」
「“2”? なんだよそれ」
「あ、ゴメン。申し出はありがたいんだけど、俺、ふたりに頼むのはやめにするわ」
自分でもびっくりするくらい俺の気持ちは晴れやかだった。
「もしかして英介さん、私のこと怒ってませんか。だから頼むのやめるなんて言ってるんじゃ……」
なんだか恐る恐るといった感じで美砂ちゃんが言う。
「違うよ。怒ってなんかいないって。俺は俺自身の力で奥名先輩を振り向かせたいんだ。でもなんで美砂ちゃんは俺が怒ってると思ったの? 怒ってたのは美砂ちゃんで、俺じゃないのに」
「すみません。最初は怒ってたんですけど、一生懸命謝ってる英介さんを見てたらなんだかからかってみたくなっちゃって……」
なるほど。“
それにしても申しわけなさそうにシュンとしてしまった美砂ちゃんもかわいいなあ。なんで日本は
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