第1話 山崎幸也には運がない②

「………たったのこれだけかよ!!!!」

俺こと山崎幸也は、呆れながらも呟いた。

今の今、かの有名な検索機能「グーグレ」を使って就職先を探そうとしたのだが──────。

なんと、見つかったのはたったの4つだけだったのだ。

いやまぁ、条件的に厳しかったのも一つの原因だと思うが。

⎯⎯⎯⎯楽、だとか高い、だとかが。

と、そんな風に過去を振り返っている時間すらも、今は惜しい。

一刻も早く「就職先」を探して、纏まった金を手に入れなければ。

でなければ、俺の生き甲斐が⎯⎯⎯⎯⎯⎯ネトゲが出来なくなってしまうではないかっ!

と、の為にも早く就職先を見つけるべくネットで検索サーチした俺は、ヒットしたものを見て、頭を悩ませていた。

その、ヒットしたものと言うものを上から読み上げていくと⎯⎯⎯⎯⎯⎯





「男の娘カフェ、店員募集中!(男の娘限定)」

「黒い鞄を運ぶだけで給料二万円!興味のある方は直ぐにお電話をっ!」

「介護センター菜の花、人員募集中」

「(女性限定)メイドカフェ 男性メイド募集中」





と、言う風で………。

いやまぁ、見ればわかったと思うのだが。

見た通り、なぁ………。

………………………全部、まともじゃないんだよなぁ………………全部‼

何だよ、男の娘カフェって!

ここらの人間はどうしてるんだよ!

しかも1つ目に至っては「男性メイド」だぁ?

何で男性がメイドなんだよ!

おかしいだろ!

2つ目何かは論外だ。

黒い鞄を運ぶだけで二万稼げる、なんて絶対何か裏があるやつだろ。

いくら二万でも、絶対に手を出しちゃイケない系のやつだ………例え、例えの二万でもっ‼

と、一番まともなのは、というか唯一まともそうなのは3つ目の介護センターのなのだろうが。

ただ、なぁ………。

俺、ご年配って苦手なんだよなぁ………。

何か、俺と違って凄い苦労を終えた、まさしく人生の先輩って言う雰囲気があって。

んー………。

どうしよ、就職。

と、頭を悩ませていると。

はっと、1つ、見落としがあったことに気付く。

それは⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯




「喫茶・ディフィワー 住み込み店員募集中 申し込み期限⎯⎯⎯5月9日まで」





俺は、反射的になのか。

それとも、申し込み期限が今日までだと知り本能的に、なのか。

それは分からないのだが。

だが。

気付いたときには、部屋の隅に置いてある受話器を手にしていた。


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