第1話 山崎幸也には運がない

………金が欲しい。

俺、山崎幸也は心の底からそう叫んだ。

と言うのも最近、ネトゲでの課金で………じゃなかった、社会生活に置いてのコミュ力をつけるためへの投資で、貯金が底をつきそうなのである。

現在絶賛、生活中な俺だが、親からはそろそろ就職しろ、と、毎日口を酸っぱくして言われている。

──────よし。

やってやろうじゃないか。

今日こそ、やってやろうではないか。

俺は思い、敷布団の上で転がっていた怠惰な自分の体を起こす。

そして立ち上がり、小学校の入学祝で買って貰った勉強机の椅子に座り、その机上に置いてあるPCを起動させた。

あぁ、この椅子に座るのは一体何年振りなのだか。

PC自体は毎日使っているのだが、勉強机これの上で使うのは、随分と久々な気がする。

勉強机これは言わば、単なるPC置き場と化してしまっていた。

と、そんなことを考えている間にも。

PCが起動し、見慣れた白くてシンプルな壁紙が表示される。

そして、PC画面の左下の方に表示されていたメニューボタンをクリックし、俺はグーグレ機能を開いた。

そして、グーグレ機能を開いた俺は、慣れた手付きでキーボードを叩いた。





「就職 楽 時給 高い─────これで検索サーチっと」







そんな言葉を何故か元気に呟いた俺は、着ていたジャージの袖を捲り、一人気合いを入れるのであった。


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