第26話 おっさん昇級

ギルドに着き、いつもどおり魔物を売りに行くと


「よぉ!アマガイ 今日は遅い出勤だなぁ いつもどおり全部うちが買い取るでいいか?」


とランゼさんが声をかけてきたので 挨拶といつもどおり全部買取 をお願いし袋から全部の魔物の死体をだすと


「おいおい!アマガイ おまえ今日は一人で狩りに行ったんだよな!?」


ものすごく驚いたようにランゼさんが聞いてきたので そうです と答えると


「こいつはコボルトソルジャーっていってな? Cランクの魔物だぞ?」


と呆れ気味にいってきた どうやらCランクの魔物とはDランクの冒険者が5名~10名で倒す魔物だそうだ。


「コボルトソルジャーは単体だと普通のコボルトより一回りでかくて少し速いだけの魔物だが、たいがい群れを率いてて知能もあるからやっかいなんだよ」


と、教えてくれた たしかに思い当たる節があるわ 指揮して隊列組んでたもんなぁ と思っていると

それを3匹もソロで倒しやがって とランゼさんが苦笑しながら言い 換金の査定がでるまでギルド内の食堂で待つことにした。


食堂に向かう途中 受付を見ると時間帯のせいか 珍しくリリのところも空いていたので マジックバックの件の礼をいうと 仕事ですから と柔らかい笑顔で言ってくれたので 再度礼をいい 無茶しちゃだめですよ? と言われながら 食堂に向かう 


食堂のいつもの席に座り 遅めの昼食を注文した。

少し待っていると


「おまたせしました アマガイさん」


と優しい声が聞こえ そちらをみると アルさんが俺の昼食を持ってきてくれた。


礼を言い いただきます と食べ始めた 今日のランチメニューは 鶏肉のグラタンのようなものだった

なんかハーブっぽい香りのする鶏肉が入っていて 腹が減ってたのも手伝い一緒に出されたパンもものすごい勢いで食っていたと思う。 すると なぜか視線を感じそちらをみると いつの間にか向かい合わせで座ってこっちをにこやかにみているアルさんと目があった。


おいしそうに食べてくれますね おかわりありますから沢山食べてくださいね


とにこやかに笑って言ってくれたので おかわりをお願いした。

おかわりを食べているとアルさんが少し真剣な顔になって


「アマガイさん 少し自分を追い込みすぎじゃないですか?」


と聞いてきた 俺は


「やっぱなるべく早く帰りたいですし 途中で失敗できませんから思いつく限りの準備をしなきゃいけないですから・・・・失敗=死ですしね」


 それに俺だけじゃなく 帰りたいと思っている全員とも一緒に帰りたいですしと苦笑い気味に言うとアルさんは少し涙目になりながら 私は戦えず待ってるだけですいません と言ってきた。

 俺は アルさんやメイちゃんヨーコちゃん、カナちゃんもそうですけど拠点で待ってくれている人がいるって心強いし大事なことだなって今回のダンジョンで痛感しましたよ。

 それにうまい飯も食わせてもらってますし感謝してます と頭を下げる。

こちらこそ!いつもありがとうございます。 とアルさんが頭を焦ってさげ、お互いに頭をあげるとアルさんと目が合い どちらともなく ふふふふふ あはははは と笑いあった。


「お母さん 今日はずいぶん楽しそうだね あれ? アマガイさん? こんにちわ!!」


と声のするほうを見るとギルド内に併設されている教会での仕事がひと段落ついたのか メイちゃんが

遅い昼食ですか? と俺に聞きながらこちらにきて アルさんの隣に座った。


俺は挨拶をし いつもご苦労様です とメイちゃんにいうと あとでアマギイさんにもヒールかけてあげますからね! とウィンクされた。 娘はいないがメイちゃんみたいな娘が居たら 溶けるほど溺愛してるだろうなぁと思いつつ ありがとう といい その後3人で少し談笑していたら


「アマガイさんはこの後 また狩りに行くんですか?」


とメイちゃんに聞かれたので街の工房に注文していたものを取りに行くと教えていたら 後ろのほうから


「アマガイさぁーん あぁ! いたいた 」


とリドリーが大きい声でこちらに向かってきた。リドリーに手をあげて挨拶をし迎えると

少し早いですがライネルさんのとこ行ってみませんか? と言ってきたので 了承し アルさんとメイちゃんに 挨拶しようとしてそちらをみると アルさんがにこやかに そちらの元気な娘こはどなたかかしら? ときいてきたので お互いを紹介した。


「この子は俺が世話になっている宿屋の娘さんで「リドリーです!」」


紹介の途中でリドリーが自分で名乗った なぜかアルさんではなくてメイちゃんに・・・・

そして


「リドリー こちらは俺のチームの仲間でアルさんとその娘さんの「メイです!!」」


こちらも俺の紹介を遮ってリドリーに名乗った。 それをみてアルさんは あらあら とにこやかにしながら アマガイさんの仲間に入れてもらっているアルと申します よろしくお願いします と優雅にすらみえる柔らかい動きで礼をした。 それをみた リドリーが ぐぬぬぬぬ といい なぜかメイちゃんは

勝ち誇った顔をしていた。


「アマガイさん 少しお時間よろしいですか? あら? リドリーちゃん 珍しいわね? ギルドに依頼かしら?」


とリリが話しかけてきた リドリーとは顔見知りの用で リドリーも リリに 挨拶をし 俺と一緒にライネルさんのところにいくことをリリに伝えた。

俺は リリに何の用事かをきくと


「先ほどうちで買い取った魔物の件で少々」


と言ってきたのでリドリーに少し待っててもらい 了承し受付に向かった。


「それでどんな話ですか?」


と聞くと


「先ほどうちで買い取った魔物は本当にアマガイさんがソロで討伐したんですか?」


と聞かれたので そうだ と答えると 身分証を提示してくださいと言われたので提示したら 

少々お待ちくださいといいリリが受付の奥に消えていった5分程したらもどってきて


「アマガイさん本日只今を持って冒険者ランクC級となります」


と言われた。


「え? ちょっとリリ? 俺Eランクの冒険者だよ?DランクとっこしてCって・・・それに俺ギルドの依頼をこなしてないぞ?」


俺はびっくりしながらリリに言うとリリは にこやかに


「もちろん昇級にはそれぞれのランクの依頼をいくつか達成してもらう等の規約があります。

あとCランクからはギルドへの貢献度や人格等も昇級の条件になってきますね」


リリの話を聞き なおさら俺はだめじゃん というと リリは顔を俺に近づけ小声で


「本来なら依頼達成の部分でだめなんですが 正直に言うとコボルトソルジャーをソロで3匹も狩ってくる人をEやDランクにしておくよりある程度のランクを与えないと世間体が・・・・・」


それに ギルドへの貢献度については文句なしなんですよ? 毎日魔物を狩ってうちにすべて卸してくれてますし 実際近くの農民や街を行き来する商人達から魔物の被害が減ったと感謝されてますからね


内緒ですよ と口に人差し指をあて片目をつぶりながらリリが言ってきた 美人にそういうことを顔の近くでやられると こりゃぁ人気も出るわぁ と少し見惚れながら思った。


「そういうことなら ありがたく頂戴させてもらうよ ありがとうリリ」


と俺は笑顔で礼を言うとリリは


「最後にCランクからはそれぞれ担当の職員がつきますアマガイさんの担当は私なので今後ギルドの依頼を受ける ダンジョンへ行くなどは私に言ってくださいね」


と言われた。 担当をつける理由は戦力になる冒険者を他の街に流失させないためということもあるそうだ。

俺は了承しリリに挨拶をして 待たせているリドリーの元へもどった


食堂に戻りリドリーに声をかけようとしたとき


「同じチームだって言ったって戦闘職じゃないあなたより私のほうが一緒にいる時間は長いよ!ひとつ屋根の下で暮らしてるんだから!」


「ぐぬぬぬぬ・・・・わ・・・私は毎日狩りやトレーニングが終わったあとヒールをかけて実質的な役にたってるもん!」


とリドリーとメイちゃんがなにか言い争っている アルさんはこちらに気づき 困ったわ という雰囲気をだしてるがどこか楽しそうだ。


「しょうがない・・・・私とあなたとの決定的な差というものを教えてあげるわ!」


とリドリーがいい メイちゃんが まだ聞いていないのに なんですって! と驚き つばを飲み込んだ


「いい? 私とアマガイさんは 同じ女神を崇拝している仲間! しかもその女神自体を知っているのも私たちだけなのよ!」


リリがそういいながらメイちゃんにビシッと指をさし左手は腰に当てながら言い放つとメイちゃんは

くっ!・・・とorz とうなだれた。 そこにアルさんが


「あら?それは時の女神様のことかしら? アマガイさん新興宗教でも立ち上げたの?」


と俺をみながらいってきたので俺は


「そんな大それたものじゃないですよ どんなご利益があるのかというよりご利益自体あるかもわかりませんし ただなにか縁みたいなものを感じてしまったので せめて俺だけでも祀ってあげようかな」


と思ったことを説明したらリドリーとメイちゃんが驚いてこちらを振り向いた


「ぐぬぬぬぬ・・・皆・・・女神さまをしっているなんて・・・私はその話を聞いて仲間に入れてもらって 信者が身に着ける証のデザインを二人で考えてそれをアクセサリーにすることにしたの」


その試作品をこれから取りに行くのよ

とリドリーがいうと


「なら!私とお母さんも信者になるよ! ねっ!? お母さんいいでしょ?」


とメイちゃんがいいだしアルさんもチームのみんなを無事にかえしてくださった女神様ですしいいわねぇ

そうしましょうか といいだした そして最後に小声で おもしろくなりそう うふふふふ と言っていた最後のがきっと本心だろうと思った。

そのやりとりを見ていて ふと 思った


「ここの教会はちがう神様を祀ってるんだろ?違う女神を祀りながら働けるもんなのか?」


という俺の質問に そうよ!とリドリーが鬼の首をとったかのように納得しメイちゃんが・・・それは・・・と口ごもった そこにアルさんが


「別に教会に入信しているわけでもないですしねぇ 問題になるなら教会に行くのをやめちゃえばいいだけねぇ」


と笑いながらいいメイちゃんが いいの!? と聞いて アルさんは 子供が気を使いすぎよ と優しく頭を撫でた。


「リドリーもメイちゃんも仲良くしろよ? リドリー待たせて悪かったがそろそろ行こうか」


と俺が言うとリドリーがそうねといってこちらに向かってくると


「アマガイさん!私とお母さんも仲間に入れて!」


と言ってきたので俺はアルさんに目でいいのか?と聞くとアルさんもうなずいたので わかったよ これからよろしく とメイちゃんの頭をなでた


「アマガイさん! そろそろ行こうよ!」


とリドリーが手を引いてくるので二人に挨拶をし工房へ向かおうとしたときアルさんが メイも一緒にいってきたら? ついでに私たちの分も注文してきてちょうだい とメイちゃんにいってきた


「お母さん!!! うん!うん! アマガイさん 私も一緒にいっていいですか!?」


と言われたので もちろん と答えるとメイちゃんは俺の右手をにぎりながら いきましょう! 


と言ってきた それをみたリドリーは左腕に腕を組んできて いこう! と言ってきた


ふたりに引っ張られながらギルドを出ようとしたら ランゼさんに 用事が終わったら金を受け取りに来いよ?

とニヤニヤしながら言われ それに答えながら ギルドをでた。

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