第6話 おっさん朝の日課

 暗い部屋に誰かいる・・・・見慣れた場所だ・・・・そぅ・・・家族3人で住んでいた家のリビングだ


「タカ・・・・どこにいったの?・・・・あのちょっとの間にどうやって消えたの・・・・?」


 妻の嘆きとともに悲しい感情が伝わってくる・・・・・・・


「ねぇ・・・・タカがいないで・・・・これからどうやって生きていけばいい?・・・・帰ってくるよね?・・・」


 電気もつけず・・・暗いリビングで一人涙を流しながら俺がいないのを必死に耐えているのか


「必ず戻るから!!!!」


 はぁ、はぁ、今日も同じ夢でおきるとはなぁ・・・・・


 こっちに飛ばされて宿の部屋で寝れるようにはなったがそれ以来毎日この夢で目覚める

もぅ俺の日課の1つだな・・・・きっと無事に帰れるまで続くのか・・・それとも時間が解決してくれるのか・・・・わからないなぁ


 外を見るとまだ日の出まで時間が少しあるようだし、今日もギルドに行く前に少し行っとくかぁ

と、ひとり呟き、身支度をし一階に降りると


「あっ!アマガイさん!おはようございます!今日も早いですね!」


 声のほうを見ると受付カウンターの奥に座っていた赤い髪の可愛い子が挨拶してくれた。


「おはよう リドリー今日も朝から元気だね うん 今日もいつもどおりさ」


と挨拶する、リドリーはギルド受付嬢のリリに紹介された宿『憩の家』の経営者の娘さんで

たしか今年で16歳になると言っていたような気がする。

いつも元気でみんなのアイドルというか看板娘だな。


「そうですか 無理しないでくださいね あのこれ朝食です 後で食べてください」


とサンドイッチが入った袋をくれた


「毎日悪いよ・・・せめてお金を払わせてくれないか・・・」


と俺がいつもどおり言うと、私が好きでやってるしうちの宿は1泊2食付きなんで!

と押し切られるのももはや日課なのかもしれない・・・・


 素直にありがとうと受け取り宿を出て街の出口へ向かう


道中、店先の掃除をしているおばさんや、散歩をしている老人、市場へ品物を搬送しているおっさんなどに挨拶をされそれに返す

これももはや日課だ


そして門につき門番に


「よぅ おはようさん よくもまぁ毎日毎日ごくろうさんだな」


と声をかけられ


「おはようございます ロベルトさん 田舎からの習慣のせいか目が覚めちゃうんですよね」


と返しておく、こちらの世界の1日はどうやら28時間で24時間生活に慣れているせいなのか

夜早く寝て朝早く起きるという老人のような生活になってしまっている。

まぁ夢のせいもあるけどね


「ここ数日は無茶してないようだな もぅあんな無茶なことはすんなよ?」


とニヤリとからかわれ、もぅしませんよと無難に返しながら門を抜け北のほうの森へと向かう。


 森への道中は魔物はでないが森に入ると魔物が出てくる。

魔物はダンジョン内で生まれるものや、この世界には魔素というものがありそれが噴き溜まる場所

通称、魔素溜まりなどから生まれたり、生き物の怨念やらなんやらで生物や死体が魔物に変わるもの

魔物を食べて稀に魔物になる生き物などがいるそうだ。

そのほかに普通の野生生物もいるし、下手な魔物よりも危険な生物もいるそうだ。


 生物と魔物の違いは基本的に生物は心臓があり、魔物は心臓の代わりに魔石があるそうだ

そして魔物の肉は魔石の影響か魔素が濃すぎて食べられないそうだ

なので魔物を倒した場合、魔石や牙や骨、毛皮などの素材を回収しギルドや買い取り専門店に卸せるそうだ。冒険者はその利益とギルドからの依頼により生計を立てているというわけだな。

・・・・ここまでの知識はギルド内の図書室の本を読んで覚えたんだけどな。


あと、リリから教えてもらいステータスが見れるようになったし

スキルや職業LVの上げ方、冒険者ランクの上げ方もさらっと教わった。

その話の中でも職業と関係なく得られるスキルというものがいくつもあり素質にもよるが

後天的に得られるものも多くあると教わった。

 例えば毒耐性なんかも毒を受けて回復を繰り返せば得られるそうだ

得られるまでの回数や耐性LVの上がり方は人によりけりでその部分を素質と言っていたのだと思った。


 その話を聞いてから図書室で後天的に手に入れられるであろうスキルの種類と手に入れ方、LVの上げ方を調べ どうせ朝こっぱやく うなされて起きるのだからと朝一 ギルドに行くまでの時間

そういったスキル取得とLVあげ あとは戦いの経験をつむ時間にあてたというわけ


 ちなみにこの世界での職業LVやスキルLVの上限はLV10までらしい

今俺の手持ちのスキルは

  毒 耐性 LV8

  麻痺耐性 LV10

自動体力回復 LV8

自動魔力回復 LV1


で、最近は自動体力回復というスキルのLV上げに充てている

このスキルの取得方法は体力、よくいう言い方ではHPね

全HPの3分の1以下の状態でスキルを取得するまで戦い続けるというもので素質のせいか

寄る年波のせいか、取得するまでに3回失敗した。

死にかけてるところを、2回たまたま通りかかった冒険者に救われ

あと1回はさっきの門番に助けられた。


それ以降さきほどのように毎日からかわれているというわけだ


今はLV9にするため、まず自分でHPを5分の1以下に減らす

ステータスを見ながら慎重にやらないとただの自尊行為で死んでしまうことになるし

そもそも最初の頃は自分で自分を傷を付けるという行為にビビッて躊躇したもんである

だって痛てぇしな!


んで、5分の1になったらあとはLVが9になるまでひたすら狩りをするだけであるが

クリティカルな一撃や痛恨な一撃を食らった死んでしまうので痛みで朦朧としながらも

注意しながら戦わないといけない。


どれくらい自分で自分を傷つけながら狩りをしたのか、気づけば日が昇っていたので今日は切り上げて

回復薬を飲みギルドへ向かうことした。


感覚的に明日にはLV9になる気がするな


朝の日課をきりあげ森をでて歩きながらリドリーからもらった朝食をたべ

日銭稼ぎとダンジョン攻略のためチームの集合場所、ギルドへと向かうことにした。

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