第4話 おっさんの回想 ーラストー

アカネさんの「では、いきます!」という声を聴いて一瞬で目の前の景色が変わった


「うぉっ!」


と、びっくりしたがどうやら無事にジャスニアという街の目の前に転移したようだ。


「ここが東の大国ジャスニアの首都!ジャスニアです

これより門で街にはいるための手続きをして街に入ります。」


その前にこれをお持ちくださいとジャラジャラとコインが入った袋と金属製のカードを渡された。


「お金とこの世界でのアマガイ様の身分証となります。」


 アカネさんの説明を少し聞きながら門番さん?のところに二人で向かった

アカネさんのそのゲーム名がプリントされた赤いポロシャツはこの世界では目立つのではないかと

思ったが誰も見もしないので妻が言っていた「ここは〇〇だよ ようこそ」というだけのためにいる

ゲーム内キャラ達なのかなと思った。


「次の方どうぞ」


と金属製の全身鎧を着た金髪のでかい男が丁寧に言ってきた


「私たちは田舎からこの首都でいづれかのギルドに登録しようと来たものです。」


とアカネさんが伝え、


「そうですか では身分証を提示してください。問題なければ通行税として御一人300ギル頂戴いたします、よろしいですか?」


という問いに はい と二人で答えお互いカードをだし、犯罪歴等を調べられ問題なかったので

合計600ギルを支払うが数種類あるコインでどれがどれなのかわからなかったのでアカネさんが

これですよと払ってくれた


「それでは手続きは終わりです 改めまして ようこそ 首都ジャスニアへ」


と門番さんは笑顔で送ってくれた いいゲーム内キャラだなぁと思った


「それでは私の最後の仕事となりますが ここは 冒険者ギルド・生産ギルド・技術ギルドの3つが

ありますがお金を稼ぐためどれかに属したほうがいいと思いますのでどれか選んでください。」


 あと、ギルド職員も地方公務員です!門番さんは国家公務員ですけどね!

というある種驚愕の情報をいただいた。


 ま・・・まぁ 自衛隊や海保、警察なんかも国家公務員だし騎士みたいなのがこの世界のそれだっていうなら変じゃないかぁと思いつつ


「今の職業が侍なので冒険ギルドかなとおもってるよ」


と伝えたらアカネさんは「どんな見た目でもアマガイ様も男の子ですもんね!冒険したくなりますよね!」


といい、冒険者ギルドはこちらですと笑いながら案内してくれた・・・・おっさんだからかな?

遅咲きとか社会人デビューかよ?みたいな? こちらではギルドデビューかよって言われんのかなぁ

と思ったが見失うとこまるので後を追った


 少し歩くとでかい3階建ての建物の前についたドラゴンの形をした看板に冒険者ギルドと書いてある

アカネさんに続いて中に入ると左側に食堂みたいなものがあり中央の奥に十字架がついた重厚そうなでかいドアがありシスターっぽい人たちが出入りしている

右側には役所みたいな受付がいくつかありアカネさんは一番すいている向かって一番右側の受付へと歩いていくのでそれに続いていく


 「すいません 私のツレが冒険者登録したいそうなので手続きしてもらえませんか?」


とアカネさんがいうと はい ではこちらの用紙へ必要事項をご記入ください。と

優しい感じで答えてくれた受付嬢は・・・・耳がキツネの耳だった

金色の瞳をし、少しきつめな感じを受けるが仕事できます!私!みたいな感じの人だと思った

まぁ・・・ゲーム内キャラなんだろうけどね


 キツネな受付嬢に言われた通り必要事項を記入し終えると身分証の提出を言われ提出し


「犯罪歴等ありませんでしたので最後の手続きをいたします 両の手をこの金属板においてください」


と言われたので置くと金属板が光、身分証が自動改札みたいに中からでてきた


「これで登録が終わりました アマガイ様 職業 サムライLV1 冒険者ランクF です

改めまして、冒険者ギルドへようこそ ワタクシ 受付嬢 リリ が担当いたしました。」


 冒険者について質問等ございませんか?と言われたので、田舎からでてきてまったくわかりませんと

答えたら一から丁寧に嫌な顔せず説明してくれた。


通行税はギルドに登録した街はタダになるそうだ


明日から依頼をこなすといい アカネさんと一緒にギルドをでると


「では、アマガイ様 私の仕事は終わりましたのでこれで失礼します。

あらたな世界での生活おたのしみください!」


とニッコリ笑いながら手を振り、タブレットみたいなものを操作した・・・・


「・・・・・????」

「・・・・・・・アレ?」


どうしたのだろう・・・アカネさんがログアウトしないってか何やら焦っている


「アカネさん・・・どうしたんですか?」

「システムのエラーかなにかでログアウトできないんですよ ちょっと本社に連絡とってみます」


 とタブレットとにらめっこを始めたがギルドの前で大きい通りにもめんしているので

通行人の邪魔になると街外れの小さな公園みたいなところへ来て空いているベンチに二人で腰を掛けていた。


しばらくすると


「あっ!返事がきました!!」


とアカネさんが元気に立ち上がり 本社からのメールを開いたら


 俺の目線くらいに1メートル四方のディスプレイが浮かび、始りの街で説明してくれた

おっさんがあらわれてとんでもないことを言ってきた。


「アマガイくんとアカネさんペアですね?意外と早いスタートですね」


ありがとうございますと俺は礼をいい、アカネさんが


「あのGM!私の仕事が終わったのにログアウトできないんですが?なにかバグでも起きたんですか?!」


と聞いたら


「いえいえ 正常ですよ? 今あなた方いる場所はゲーム内ではないのでログアウトはできませんから」


「 「 え?! 」 」


いきなり思いもよらない回答をもらい理解がおいつかず 二人でハモってしまったが


「信じられないかもしれませんが そこはあなた方が元居た世界とは別の世界です。

その星の名前はウルルッシュという星で地球の5倍ほどの大きさを持っています。

VRギアを使い地球とウルルッシュの次元が一番近づいたときにゲームにログインしていたすべての人々をそちらに転移させたのです」


とほがらかに変なことをいってきた


「いやいやいや・・・・別種族になった子とかもいるじゃん?服装とかも皆一緒だったじゃん?

冗談きついですよ?」


という俺の言葉に力強く うんうんうん と頭が取れそうなほど振り同意してくれているアカネさんを

よそにGMと呼ばれるおっさんは


「それは皆さんがお持ちのカードが見せているマヤカシみたいなものです、アマガイくんはゲームの

スタートをきったので、もう必要ないですね」


と指をぱちんと鳴らすと俺の目線が少し下がった あれ?と思って周りを見ると 驚愕の顔をした

アカネさんがこちらを見ている


「アマ・・・・ガイ様!! 服装が部屋着にかわってますよ!?」


といわれ自分の姿を見たら たしかに無地でグレーのロンTにカーキー色のチノパンで靴もはかず靴下で

立っていた


「えぇっ!マジで!?」


信じてもらえましたかね?とGMがほくそ笑んでいるが未だに驚きすぎて頭が追い付かないってか

心臓がもたない!


「元の世界に返してください!!」


とアカネさんが怒り泣きしながら怒鳴っているが

GMは


「こちら側から送る分には莫大ですが電力をつかうので、今回のような条件がそろえばいつでもそちらに

送れるのですが、そちら側は今そういった力がたりず送り返すことができない状況です。

プレイヤーの皆さんはその世界にあるすべてのダンジョンを誰かがクリアしたら転移に必要な力が解放され皆さんをこちらの世界へ戻せると思いますのですべてのダンジョンを皆さんで協力しながらクリアしてくださいね? あと原住民の方々も攻略していってますのでうまく折り合いをつけて一緒に攻略するのも手だと思います。」


「ふざけんな! 妻と子供がいるんだぞ! なんとか帰れないのかよ!」

という

俺の言葉に

GMが ふむと少し考え


「家族の方にはそれなりの金額で賠償させていただくつもりですよ?でも・・・まぁいいでしょう

では、全プレイヤーにスタートする前に1回かぎりの特典をつけましょう

プレイヤーのデータカード並びにゲーム内のすべての力をつかい1人1回だけ元の世界に転移できるようにします、その場合二度とそちらの世界へは行けなくなります どうでしょうか?」


という問いに たのむと俺とアカネさんは即答した


「私は、帰ることを望みます!帰してください!!!」

というアカネさんの言葉にGMは


「あなたは無理ですよ?プレイヤーではありませんから」


「!!!・・・・そんなぁ」

とGMの回答に崩れ落ち号泣してしまった


「ただアマガイくんが自分の権利を使いあなただけを返すことは可能です。

その場合 アマガイさんはこちらからそちらへ転移する際 変化した 身体能力等すべて失いますがどうしますか?」


と下衆な笑いをしながら答えた


俺は泣き崩れたアカネさんをみたあと 空を仰いで 妻と子供に 

(すまんなぁ 無事帰れるとは思えねぇから 賠償でもらった金で新たな幸せな人生をおくってくれ・・・)


「・・・そんなぁ・・・」

と未だ泣き崩れているアカネさんの前にしゃがみ肩にやさしく手を置いて


「頼みがあります 向こうに帰ったら俺の妻に経緯を話 GMからふんだくれるだけ金をふんだくって

幸せに暮らしてくれと必ず伝えてください!」


とできるだけ明るく優しく笑って見せた


「そ・・・そんな アマガイさm・・・・タカシさん! ほかにも方法が!」


俺は頭を横に振り GMの気が変わったらそれこそおしまいだ 時間はかけれないと

彼女に言い

「君は若いしこれからだってある!向こうについて妻に伝えたらさっさと忘れて楽しく生きてくれ!」

「あ・・・ありがと・・・う ございます わ・・・わだ・・わだし 必ず! 必ず 奥さんに伝えます!」


あぁ! と空元気で答えて見せ


「では、俺の権利でアカネさんをそちらに返してください!」


「今日1日は地球とウルルッシュが近づいていますし時間的猶予はまだありますが本当にそれでいいんですか?」


という問いに 二言なし! と答え


「わかりました では アカネさんを今からこちらに転移させます」


「アマガイさ・・・!」


アカネさんが俺の名前を呼びながら転移していった


「さて・・・・なんとかして攻略して俺もかえってみせるぞぉ!」

と口では言ったが40歳でせっかくあった特別な力もなくなったただのおっさんでは

無理だろうなぁと思っていると


「・・・・ふ・・・ふふふふっ! あなたはやはり面白い!今回は特別にあなたの力を使わずに彼女を転移させました そして彼女がそちらに向かった際に手に入れた力もあなたに譲渡しました」


これは彼女が心からあなたを信頼し心配したからこそできたことですので他のプレイヤーの方々には

内密にしてくださいね

とGMがコソコソ立てた人差し指を口元にもってきてウインクしながら言ってきた


「とりあえず 全ダンジョンクリアしてそっち帰ったら おまえぶっとばすから」

もう話すことはないという意思表示的に手をひらひらさせたら


「ぶっとばしにくるのを心待ちにしてますよ?

まぁがんばってください」


では、またいつか


とディスプレイが消えた


・・

・・・・とりあえずアカネさんからもらった金で宿をとり

他のプレイヤーを探そうと思い街の中へと戻ることにした

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る