第7話「怒り」
バイキングをひとりで討伐するべくランカスター連峰に迎う前にポテから隣街のビスへ向かったカーサスは、50キロと長い道を歩哨の馬を盗みやっとのことで走破して辿り着いた。
ビスでは食料品と弾薬や武具を買い揃えた。金は持ち合わせていなかったため、軍属のフリをしてホルスト将軍に全てツケで買うことにした。そして一泊した後、約150キロ先にある連峰へと旅立ったのである。
丸一休むことなく走り切り、連峰まで凡そ5キロというところでバイキングと思しき旗が道端に掲げられていた。注意書には、『これより先、進むべからず。恐怖と死が訪れるよ!』と書いてある。
「訪れるよ、か。上等!」
馬から降り逃がしてあげるとひとりで進んでいった。
堂々と道の真ん中を歩いていくと小さな広場に出た。彼がその中心に足を踏み込んだ瞬間だ。
「うおっ!?」
突然魔法陣が作動して彼の体どころか口すら動くことが出来なくなった。すると茂みの中から赤茶色のローブを身に纏い、自分の背丈よりも頭一つ分ほど高い杖を持った男が数人やってきた。
「我々はバイキングメイジだ。死ぬ前に一言だけ聞いてやろう」
フードを被ったメイジが両手を広げて詠唱を始めると体は動かないが口だけは動くようになった。
「けっ、くたばれバイキングども」
命乞いではなく彼らに罵声を放つと詠唱の雰囲気が変わり息が苦しくなってきた。
「この呪文は貴様の周りだけ空気を無くしているのだ」
「ぐ、苦しい……」
カーサスは次第に意識が遠退いて行き目の前が真っ暗になり絶命した。メイジは最期に四肢を分裂させ野山にバラ巻いて肉食動物の餌とした。そしてその場から離れると魔法陣は消えてなくなった。
「なんてな……」
頭と胴体だけになったカーサスは薄ら笑いを浮かべると数秒後には腕が再生し、数分後には完全に足までもが再生した。両腕と両足をポキポキ動かすと身なりを整えてから彼はメイジたちを探した。
彼らは魔法陣のある広場から北に500メートル離れた小高い山の下にキャンプを張って住みかにしているようだ。そこで野うさぎを捕まえては皮を剥いで丸焼きにして宴を催していた。
「死にな」
内ポケットから拳銃のナーワルを取り出すとそれにサプレッサーを取り付け、貫通散弾の弾を1発込めると銃口をバカ笑いするメイジに向ける。そして大きく笑った瞬間に引き金を引いた。
銃弾は彼の頭部に命中すると弾内部から無数のボール状の散弾が飛び散り、笑いながら天に旅立った。弾はそのまま貫通して木に当たり男は真横に倒れる。
他のメイジらは酒も入っていたせいか彼の状態が単に眠っているだけだと勘違いして酒を汲んでは野うさぎの肉を頬張ってバカ騒ぎをしている。
カーサスは同じようにひとり始末すると流石のメイジも自分の命が狙われていることに気が付いたのか杖を手に取り辺りを臨戦態勢を行った。そして彼は男の前に現れると、
「死ぬ前に何か一言ないか?」
などと先ほどとは真逆の立場で言ってきた。メイジは後退りするがカーサスはそれを許さない。銃を構え引き金を引く。が、メイジの無詠唱呪文によって防がれてしまった。
「私をそんじょそこらのメイジだと思っては困る」
杖を彼に向けた瞬間、木の幹から鋭いトゲのようなものが体目がけて飛び出してきたため瞬時に避ける。しかし避けた先には穴が開いており足を取られてしまう。
「とどめですよ」
今度は呪文を詠唱すると穴から足が抜けなくなってしまう。そして次第に体が動かなくなって来てしまった。
「その穴は貴様のエナジーを吸い取っているのさ。これでお仕舞いだ」
笑い声をあげるとカーサスはせせら笑いこう言った。
「気付いていないのか。お前の負けだよ」
「何っ!?」
男は片手で体を触り撃たれたどうか確認していると詠唱されていた呪文が止みカーサスは自由になった。そして銃口を彼の腹部に向けると、
「嘘だよ。今から死ぬんだよ」
そう言い残して引き金を引き、弾丸は男の腹部に当たると爆発して上半身と下半身が真っ二つになって血飛沫が草木に飛び散った。
「ほうら、神にでも祈るが良いさ」
男は震えながら杖を振るいカーサスの腹部に穴を開けた。そして狂ったように笑うが、
「早く逝きなよ。仲間が待ってるぜ」
開いた穴が塞いでいくその姿を目の当たりにして、
「化け物め。魂を悪魔に売ったなぁっ!」
と叫び絶命していった。
カーサスは死んだ別のメイジからローブを盗み取るとそれを身に纏い、あたかも彼らの仲間であるように偽装して山を登った。
暫く登っているとキャンプ群が続く場所へと辿り着いた。バイキングのものかと思っていたが違うようだ。
中を拝見しようと入口から顔を覗かせると突然吠えられて心臓が止まりそうになった。
「犬小屋か?」
どのテント内も厳重な鉄格子に犬のような動物が入れられていた。しかも皆気性が荒く、今檻から出そうとすれば噛み付いてくることは必死だ。
「飼っているのか?」
挙動不審にキャンプ群を歩いていたせいか見回りに来たバイキングに声を掛けられた。
「何やってんだ?」
「いや、その……皆今日は気性が荒いですなぁ」
「そうか?」
スキンヘッドに髭面の大男はテントの中を見て不思議がる。元々大人しい性格ばかりのキメラたちらしい。
「キメラだったのか……」
「何かいったか?」
「いや、なんでも」
キメラとは2種類以上の動物を合成して出来た生き物である。ある程度の魔法使いならば技術と精神さえあれば作ることは可能だが、調教して懐かせることは難しいというのだ。しかしながら彼らは懐かせているらしい。その証拠に大男は一匹を檻から出すと頭を撫でてやったり手の平で餌を与えていたりしている。
暫く懐いていたが突然キメラがカーサスの方を見ると吠え始めた。周りのキメラたちも吠え、大男が気にしだした。
「どうしたお前ら。こいつはオレらと同じバイキン……グ」
すると大男は何を思ったのかキメラに攻撃の命令を出した。カーサスに飛び掛かろうとしてきたため咄嗟にナーワルを抜いて殺してしまった。
「その拳銃は俺たちで使っていない。誰だおまえは?」
腰の短剣を手に取り構えるが銃には勝てず頭を吹き飛ばされて死亡した。
「名乗る必要などない」
今度はキメラに向かって銃を放ち皆殺しにした。静まり返ったキャンプ群は死臭と血の臭いでいっぱいだ。彼はその場から離れ先を目指した。
地図によれば現在地より北東に5キロ行った地点がバイキングの総本山らしい。リボルバーに全て貫通弾を装填すると彼らの聖地に足を踏み入れた。
「すごい数だ」
小高い山の下には数百から数千にも昇るテントが碁盤のように張り巡らせてある。その中心に一際大きなレンガの建物がある。恐らく首領、ゴードンの館だろう。
「腹が立つ。燃やしたい」
そう思っていると背後に気配を感じ振り向くと巨大な斧や槍を持った先程の男とは比べものにならないほどの大男が立っていた。見る限りではジャイアントと呼ばれる種族のようだが大きさは2倍近くある。
「不審者、コロス」
いきなり大きな斧を振りかざすと大木すら切り刻みカーサスに当ててくるが寸でのところで交わす。
「逃げるな、コロス」
動きは鈍かったが常に先を読んでいるようで中々反撃が出来ないでいた。数分逃げていると多くの敵に知られてしまったのか追っている数が多くなっている。
「ヤバい、殺される」
逃げながら拳銃を放つが銃弾はジャイアントの斧によって弾かれてしまう。
「強すぎるぞ」
すると風切り音がして振り返ると斧が飛んできた。その斧に向かって銃撃し、軌道を逸らすことに成功したが、
「力の違いが有り過ぎる。ヤバい、マジでヤバい」
これほどまで力量に差が出るとは思ってもみなかった。彼らを過小評価していたことを悔やみながら彼は逃げ回る。
「どこ、行った」
「あっちに行ったかもしれねぇ。行くぞ!」
彼らがテントの前から遠ざかるとカーサスは高く積み上げられた木箱の間から顔を出して安堵する。
「行ったか……」
ふと木箱に目を向けると“危険”の文字が目についた。一箱を取ると地面に置いて蓋を開けてみるとダイナマイトが入っていた。それだけではない。この木箱の全てに砲弾を発射するための炸薬、つまり火薬や火炎瓶となる酒の入った樽が置いてあった。
見た限り銃弾や砲弾が見当たらないことから、ここは火薬庫として扱っているようだ。カーサスは良いことを思い付くと何本かのダイナマイトと火薬を掻っ払い、首領の館までの道のりまで見付からないように撒いていった。
彼が館に着く頃には日暮れを迎えており、館の明かりだけが頼りであった。
「後は館さえ燃やせるほどの火力があれば……」
すると窓から男の声が聞こえたので物陰に隠れるとふたりのバイキングが一室に入っていった。声が聞こえなくなったため窓から中の様子を見るとそこは廊下で正面に頑丈そうな扉があった。
「こいつはなんの……」
扉がぎしぎしと音を立てて開いてきたため隠れながら見ていると中から男たちが銃を持って出てきた。
「弾は持ったか」
「はい、ここに」
「良し、交代をしに向かおう」
扉を閉めて彼らが遠ざかるのを待ってカーサスは窓から侵入すると最低限の音を立てて扉を開いて中を確認すると笑い声を上げて慌てて口を塞ぐ。
中は小銃や手榴弾、砲弾やロケット弾などの弾薬が置いてあり、まさにここが弾薬庫であった。彼は指をならすと手榴弾やロケット弾をいくつか持ち運び、撒いてきた火薬の周りに起いた。そして館の中にもいくつか置いて大爆発の準備は整った瞬間、彼の後ろにひとりの男が立ち塞がった。
その男は額に幾つもの傷があり、鍛え上げられた両腕にも生々しい傷痕が残っている。背の高さはジャイアントに匹敵するほどの高さであり、カーサスを遥かに凌いでいるくらいだ。
「貴様か、我が領土内を侵犯する大罪人は」
「お前は……」
内ポケットの銃を取り出そうと右手を入れるが動かなかった。それもそのはずで腕の骨が粉々に砕かれていた。
「ぎゃあぁぁぁ」
右手を動かした直後に男が彼の腕を握り締めて骨を砕いたのだった。カーサスは腰に携行してあった手榴弾を男に投げつけると後退りした。
男は投げられた手榴弾を手に取ると2本の指で握り潰し爆発が起きた。カーサスは嫌な予感しかしなかった。それは現実となり、男は黒煙の中から何事も無かったかのように現れると地響きを起こしながら走りだしカーサスの頭を掴み上げると一回転したのち壁に叩きつけた。
「ぐはぁ」
全身を堅いレンガに叩きつけられた彼は左腕と両足が骨折し酷い痛みで身動きが取れなかった。
「殺す前に己おれの名を言っておこう。己れはこのバイキングの首領、ビスマルクの右腕、ティルピッツだ」
この男よりももっと強い男がいると思うと絶望でしかないカーサスは後悔した。せめてヴィクトリアがいてくれればどんなに良かったか。だが、時は既に遅いもので彼は痛みを堪えて隅に置いたロケット弾に向けてピンを抜いた手榴弾を投げ込んだ。
「むっ!?」
ティルピッツは感付いたのかその場から立ち去り、数秒後には弾薬に着火し撒いてきた火薬を辿り館の弾薬庫を誘爆させた。館は大爆発を起こして跡形もなく吹き飛ばされ、周辺にあったテント郡も一瞬にして消え去った。また、数分後には火薬庫にも引火して周囲1キロは爆風に巻き込まれ、数キロ離れたところからでも爆発が見られ地震をもはっせいさせた。
この様子をフードを被り魔術師の格好をした人影が見ているのだった。
爆発源にいたティルピッツは火傷をしながらも生還しカーサスのことを誉め讃えていた。
「これほど我々を陥れるとは中々の男だった。しかし死んでしまってはどうにもならん。惜しいな」
当の本人は粉々に肉片が散らばったものの爆心地から数百メートル離れた草村で1時間ほどかけて再生し復活した。
「あいつに握られるより爆発で粉々になった方が断然良いな」
それは痛みが長続きしないという意味である。
この爆発で敵の戦力は大きく削がれることとなったものであると感じた彼であったが実際のところ弾薬を失っただけであった。何故ならば、この日はゴードンと幾つかの兵士たちはランカスター連峰を越えた隣の国の町へ侵略しに向かっていたからだ。
つまり、今この地にいるバイキングは少数であるということだ。そうとも知らないカーサスは上機嫌で再びバイキングの地に足を踏み入れた。
「結構燃えたんだな」
辺り一面真っ黒な世界が広がり、残っている木々も黒く焼け焦げている。人っ子ひとりいないまるで死の世界にカーサスは敵は全滅してヒーロー振っていると遠くに人影が見えた。
「生き残りか?」
ナーワルを構えて近付くと身の毛がよだつ。ティルピッツが仁王立ちでこちらを窺っている。
「ほほう、そういうことか」
にやりと薄気味悪い笑みを浮かべると目にも留まらぬ早さでカーサスに近付き頭を鷲掴む。早過ぎて抵抗や逃げることすら出来なかった。
「ふふふ、貴様が不死身だったとはな。殺しがいがある」
正体がばれてしまい動揺するカーサスは何とかして逃げようとじたばたするが頭から手が離れることはなかった。
「馬鹿め。逃げられんよ」
さらに堅く掴まれて激痛が走る。そして痛みに耐え切れず気を失うが腹に鉄拳を食らい再び目を覚ました。
「クソ……が」
「お前の力では我々には勝てぬ」
そのまま彼の頭を持ちながらあるところまで連れていった。そこは館のあったところから5キロほど離れた山小屋だ。周囲にはテントが張り巡らされている。
「ここは我々の第4拠点だ。お前が自爆した場所は第1拠点というわけだ」
まだ奴らの拠点が残っていたとは知らず後悔が募る。そもそもバイキングの住みかは全て分かっていたわけではないため、こうなる事態を予想しなければならなかった。
「我々にここまでの仕打ちをしたお前にだけ教えてやろう。拠点は全部で10箇所ある。その内、第1と第2拠点は破壊されたがな」
本当か嘘か分からなかった。信じることはせず彼は聞き流した。
「さて、お前をビスマルクの奴に会わせなければならん。どうなるか楽しみだな」
ティルピッツがこんなにも恐ろしく強い男であったがため、ゴードンにもなると最早想像の付かぬ恐怖と不安が襲い掛かる。
「ヴィクトリアくらいか……それ以上。いや、そもそもあいつの強さは知らんし……」
するとドア越しにドスの利いた声が聞こえるとドアを破壊してティルピッツよりも若干背の高い大男が現れた。
「貴様が俺様の館をぶち壊した張本人か」
どかどかと椅子に縛られて身動きの取れないカーサスに近付くと椅子の脚を一蹴りしカーサスは床に叩きつけられた。
「館にはな、今まで殺した連邦軍の首があったんだ」
どこまで恐ろしい奴なのか底が見えぬ恐怖に彼は怯える。そしてナイフをちらつかせカーサスの首に当てる。
「貴様、不死身らしいな。俺様を楽しませろ」
そう言ってナイフを使ってカーサスの首を切り刻んだ。流石に骨の辺りで刃零れしたナイフは使い物にならず首半分のところまで切って放置した。
彼は涙しながらじたばた震え鮮血を部屋中に飛沫させる。
「部屋が汚れちまったじゃねぇか!」
ゴードンはカーサスの頭を思い切り蹴ると遂に身体と分離して頭部だけが壁に当たって彼の歯が砕け散った。
「おい、本当に再生するんだろうな」
「己れは見てないから知らぬ。だが確かにこいつは二度と己れの前に現れた」
暫くするとカーサスの身体に異変が見られた。切られた首元から徐々に再生されていく。離れた頭部は頭蓋骨だけを残し、後は蒸発して消え去った。そして最終的に頭部まで元の状態まで完治したのである。吐血しながらカーサスは彼らを睨んだ。
ふたりは不死身の再生に愕然としていたがゴードンは狂ったように笑い声を上げると、
「こいつは面白い。確かに殺し“甲斐”があるな!」
ティルピッツに何か言うと彼は了解してカーサスを外の檻にぶち込んだ。
「明日、第5拠点で盛大な血祭りパーティーを行う。酉はお前だ、有難く思え」
「どんなことをやるんだよ」
「もう分かっているだろうよ」
そう言い残すとティルピッツは山小屋に入ってしまった。首にナイフを入れられた感覚が未だ残り震えが止まらない彼は後悔した。ヴィクトリアの謂うことを聞いておけば良かったと。
すると目の前にフードを深く被りローブを纏ったメイジのような人影が現れた。
「ゴードン様に頼まれ、お主に印を踏ませる」
「なんだよ、それ」
「この印はランカスター連峰一帯から一歩でも逃げようとしたら体が拒絶反応を起こすものだ」
「そこまでやるか!?」
メイジは何も謂わず彼に向かって詠唱する。頭がじんじんして痛みが体全体に響き渡り大声を上げたかったが声が出ない。地面には魔法陣が広がり前に体や口が利かなかったものと同じもののようだ。
暫くに渡って詠唱し漸く終えるとカーサスは疲労で気を失って眠っていた。
「明日が楽しみだ」
メイジは消えるように森の中へ去り翌朝を迎えた。
「起きろ、化け物」
衛兵が蹲って眠る彼を足蹴にして起こすと手足に奴隷用の枷を付けた。腕には50キロ、足には100キロの枷のせいか重たくて身動きが取れない。しかしティルピッツと共に第5拠点まで向かった。
そこには信じられない光景が広がっていた。バイキングの手によって捕まった人々や乱獲にあった動物たちが集められていた。さらに周辺には屈強な男たちかま剣や小銃、ダイナマイトを持って何かの準備をしている他、様々な拷問器具が並べられていた。
「これより月に一度の血祭りパーティーを行う!」
ゴードンの号令とともに会場に集まったバイキングたちが歓声を上げる。すると捕まった人々を次々に切り刻んだり、ダイナマイトで木っ端微塵にしたりしていた。
肉片や内臓があちらこちらに飛び散り、バイキングたちはそれを手に取っては仲間に当てて酒を飲み、舞台に上がっては人を殺していた。
「キチガイだ。こいつらキチガイだ」
目の前の惨状に茫然とする中ティルピッツが、
「お前の出番も直に来る。不死身は良いものだな。来月も楽しめる」
嘲笑いを飛ばして彼を絶望に至らせる。パーティーが中盤に差し掛かると遂にカーサスが呼ばれて枷を外され皆の前に立たされた。
「この男は昨日、我々の拠点を破壊した大罪人だ。死を持って償うべきであろう」
「そうだそうだ」
「殺せ殺せ」
「血祭りにあげろー!」
野次が飛びかう中ゴードンが前に出ると、
「みんな喜べ。こいつは不死身という素晴らしい機能がある。来月も血祭りパーティーの大酉を飾る」
俄にわかには信じられない人々が多くおり証明させるためゴードンはダイナマイトを手に取り彼の体に括り付けた。そして導火線に火を点けると会場は静まり返る。
「さぁ、イッツ、ショータイム!」
爆発と共に白煙がカーサスを包み込み四肢断裂したと確信した会場の盛り上がりは最高潮に達した。ゴードンも興奮して煙が晴れるのを待つとそこには無傷のカーサスの姿があった。
「なんだと!?」
「っ!?」
ゴードンとティルピッツが動揺しているとラッパの音が響き渡った。すると大空に無数の青色のドラゴンが旋回している。そして火の玉をバイキングたちに浴びせはじめた。
「あれは連邦正規軍飛行旅団のドラゴンだ」
「正規軍だと!?」
ふたりが辺りを見回すと一匹の赤色のドラゴンに跨った男が剣を天に翳しているのが見えた。
「飛行旅団の団長、ファイアフライだ」
彼はアーク連邦正規軍のドラゴンを操る飛行旅団の指揮官、ケイン・ファイアフライ大将である。
「なぜあいつがいやがる」
すると森の中から馬に跨る騎馬隊と小銃片手に走る随伴兵たちがバイキングらを殲滅していく。
「クソ……」
「諦めろ、我々はいつまでもお前たちに好き勝手させないぞ」
ファイアフライの勝ち誇った顔に苛立ちを募らせたゴードンは大きな剣をティルピッツから渡されると大きく振り回して地面に刺す。すると周囲100メートルにいた連邦兵士だけが切り刻まれた。
「俺の力、仲間以外の気を感じてそれを殲滅する。貴様たちは終わりだ」
ティルピッツにも劣らぬ早さでファイアフライに接近し剣を翳すが横から割り込んだローブ姿の人影にそれは阻まれた。
カーサスは昨夜に会った人物だと思い何者なのか気になった。
「貴様、俺らのメイジではないな」
「争い事は好かないけど大事な仲間を救うため連邦に加勢する――」
フードから顔を出すとカーサスの知る人ぞ知る、
「ヴィクトリアだ。覚えておくように」
彼女の姿を見て感無量になり涙を零す。
「ヴィクトリアさん、ここはお任せしますよ」
「分かった」
ファイアフライは赤ドラゴンを操りカーサスの方へと飛び去った。
「待ちやがれ!」
よそ見する彼に刃を向けるヴィクトリア。するとゴードンはおぞましい人相で睨み付けると、
「容赦はせぬ」
一言呟き突然、彼女の胸に拳のようなものが当たり吹き飛ばされた。
「くっ、気を使えるのか」
「そうだ」
彼女の背後に立つと首に向かって剣を振るが既に彼女はいなかった。気が付くとゴードンの背後で突きの姿勢を取っている。
「くかっ、面白い。面白いぞ!」
再び気の力で彼女の剣を弾かせると体勢を立て直すため間合いを取った。
「ここまで俺を楽しませたのはティルピッツ以来だ。どうだ俺の仲間にならないか」
「なる気はないね」
「ティルピッツもそう言って最後には仲間になったのさ!」
一方、ファイアフライはカーサスをすんでのところで救出出来る位置まで来たもののティルピッツがそれを阻む。彼は剣を構えると、
「不死身の化け物は我々の物だ。貴様らに渡すものか」
カーサスを襲った時のように瞬間的にファイアフライへ近付くと赤ドラゴンに致命傷を与えるため翼を斬ろうとするが間一髪のところで飛び立って交わすことが出来た。
「卑怯なり」
「どの口が言うか!」
炎を彼に浴びせるが剣を一振りしただけで吹き飛ばしてしまった。そしてもう一度、今度は大きく振ると赤ドラゴンの両翼が切り刻まれ墜落した。
「ファイアフライ大将!」
遠くからその様子を見ていたヴィクトリアが叫ぶと彼女の胸に剣が刺さる。
「よそ見している場合じゃなかろうに」
「ぐっ……」
胸からは夥しい血が流れる。ゴードンは剣を抜くと彼女の髪を引っ張り首を絞める。
「ぐっ、うっ……あっ」
喘ぎ声を上げて藻掻く姿を見たカーサスは雄叫びを上げると枷を引き契りゴードンの元へと駆け寄った。
「見事なり」
ティルピッツが寸前のところでそれを防ぎ地面に叩きつけられた。
「よくやった。さて、見る限りお前とこの女はガールフレンドのようだな」
「ぐっ……」
「お前も可愛そうだな。こんな化け物と付き合って」
ヴィクトリアの首をさらに絞めると彼女は不意に笑みを浮かべる。
「ざ、残念だけど“私”も化け物だから……ね」
彼女の右腕には腰に忍ばせていたナイフがあり、それを彼の掴んでいた右腕に振り下ろし切断した。
「ぐわにっ!?」
首締めから解放されたヴィクトリアは眩暈を起こしそうになる中でカーサスを抱きファイアフライの元まで退却した。ティルピッツはゴードンの元へ行っていたので邪魔されなかった。
「ヴィクトリアさん、大丈夫ですか」
「な、なんとか」
胸を押さえて苦しむ様子を見てファイアフライは口笛を鳴らすと一匹のドラゴンがやってくるなりヴィクトリアとカーサスを連れて飛び去った。
ファイアフライは残りバイキングの一層に全力を注ぎ、会場の半数を殲滅したところでティルピッツが撤退の号令をかけて彼らは山頂まで退却していった。
連邦軍は生き残りのバイキングを手当たり次第殲滅し、捕まっていた人々や動物を保護した。また第5拠点を占領し仮設指揮所を設営したのだった。
ランカスター連峰の後援部隊が集まる指揮所の医療テントに運び込まれたヴィクトリアとカーサスはそこで治療を受けた。
ヴィクトリアは背中から剣が刺さり心臓を貫通して突き抜けたが不死身だったこともあり運び込まれている間だけ意識を失った。治療に当たった医師が手の施しようが無いと言って死体安置所に移送する手筈を整えていたがカーサスは事情を説明し、半信半疑の中で医師たちは彼女をベッドに移した。そして数時間後に目を覚ました彼女を見て化け物だと呟いたそうな。
横になるヴィクトリアにカーサスはお礼を言い謝った。
「良いよ。別に」
彼女は少し眠るといって静かに目を閉じた。彼はその場から離れて外に出るとファイアフライがいた。
「ちょっといいかな」
後に着いていくと彼のテントへ到着した。中に入ると酒を酌んでカーサスに勧めるが今はそんな気分ではないと断った。
「それよる話ってなんだよ」
「君、バイキングのどこまで知っているんだい」
「どこって……どういう意味だよ」
ファイアフライがランカスター連峰の地図を広げて要所要所に今の現状を書き込んでいく。
「第5拠点はこの山腹辺りだ。空から見た限り、これ以降の拠点が無いんだ」
「地下とかは?」
「実はこの連峰、厚い岩盤で出来ている。その上に土砂が乗っかっている形だから少し掘っただけで直ぐ岩盤に当たってしまうんだ」
洞穴や何か別の物を挙げてみたがどれもパッとしない。
「知っているわけではないのか」
ファイアフライは残念そうに酒を飲んだ。敵の正確な位置を知っていれば一気に畳み掛けることが出来ると意気込みを入れていたがそう事は上手くいかないらしい。
「後少しで奴らを殲滅出来る。君たちのお陰だ」
「そもそもどうしてこんな大規模な作戦を?」
「ヴィクトリアさんがホルスト将軍の家族を救って実現できたんだ」
囚われの身であったホルストの妻と娘をバイキングの手から解放したヴィクトリアが連邦軍に指揮を要請する。しかし多勢ともなる相手な上戦力が分からないため要請は受領されなかった。ところが彼女自らが敵の戦力を確かめに行き、上手いこと彼らに不意を突かせるという条件で上層部を動かした。
どうやらヴィクトリアはカーサスの行動を始めから分かっていたようでさらにそれを利用したのだ。
「かーっ、やられたな」
「だけどそれが功を奏して成功したんだから良かった良かった」
「けどよ、もっと早く来てくれよ。罪もない人々が殺されたんだぞ」
するとヴィクトリアが突然テントに入ってくると静かに口を開いた。
「それも計算ずくなんだよ。祭りが盛り上がれば自然と酒が入り戦闘意識が散漫になる。数は圧倒的に彼らが多いし敵地のど真ん中だから奴やっこさんの方が有利な状況だったんだ」
つまり捕まった人々が殺される前提で作戦を立案、実行させたことになる。カーサスは反発したが軍内部では満場一致でこの作戦が適用された。理由としてはこれ以上の犠牲者を出すよりも今捕まっている人々を人柱に使って敵を確実に殲滅する方が無難であったからだ。
「お前らもキチガイだ」
「そうだよ、ボクたちもイカれてるんだよ。だからこそこの作戦に失敗は許されない」
ヴィクトリアはカーサスに注がれた酒を飲み干すとファイアフライに自らが偵察と誘導を行うと進言した。つまり敵地に赴き、動向を探り居場所を掴んだら信号弾を放って部隊を一気に突っ込ませ敵を殲滅させるというものだ。
「また行ってくれるのか」
「不死身ですから」
「行ってら」
「カーサスも行くの」
彼が落ち込む傍らでファイアフライに少し寝ると言って再びテントに戻る。カーサスも着いていき寝ることにした。
ベッドが一つしかなかったので互いに背中をあわせて眠ることとなったがカーサスは思うように眠れなかった。
「うぅ、何か意識しちゃうんだよな」
心臓が高鳴り全く寝付けない。変に汗も掻いて息も荒くなる。
「ねぇカーサス」
彼女の声に少し驚いた。
「死ぬとき、怖い?」
「そりゃあもう、怖いさ。それに本当に生き返るのかも分からんし」
彼女は暫く黙っていたが再び口を開く。
「ボクね、怖くはないんだ。ただ苦しいだけ。これっておかしいよね」
「まぁな。キチガイの骨頂かもしれんね」
「ははは、そうだね。カーサスもボクみたくなるよ。きっと」
「そうだな」
暫くしてふたりは眠りに付いた。
夜が更けた満月の晩、ヴィクトリアとカーサスは装備を整えて再び山に足を踏み入れた。ファイアフライと飛行旅団は彼女たちの合図である信号弾を確認したのち直ぐに駆け付けられるように準備を施していた。
いざ山に入ると死臭が立ちこめていた。これは最初にカーサスが殺したメイジとキメラのものだ。次に火薬の匂いが漂う。山の中に大きな黒焦げた世界が広がっている。そこを渡り、連邦軍とバイキングの戦場になった第5拠点へ到達する。今は連邦の前衛指揮所なので安心して進むことが出来る。
しかしながら死臭は今まで以上にキツく、片隅には両軍と犠牲者の死体が高々と積まれていた。犠牲者すら無造作に積まれているので悼まれぬ思いで通り過ぎると音や声が聞こえる。ヴィクトリアは死者の魂が誘っているといって聞く耳を持たない方が良いと言って先へ進むがその声は大きくなっていく。
「ヤバいんじゃないのかよ」
「仕方ないよ」
森の奥深くまで立ち入るとやっと声は聞えなくなったが今度はいつ敵に襲われるかわからなかった。
「お前ってさ、怖いものなんて無いんだな」
「いや、あるよ」
それ以上言うことは無かった。しかしカーサスはどうせ無いものだろうと考えていた、これからも。
「止まって」
「どうした?」
月夜に照らされた地面に違和感を覚えたヴィクトリアはスライドするようにカーサスを連れて藪に入る。そして魔法を使って木の葉を人型にして来た道の先を歩かせると竹槍が左右から飛んできたり、落とし穴が現れたり、サソリが降ってきたりした。
「危あぶねぇ……」
「行こう」
月光だけが便りだったのだが次第に雲が広がり厳しくなったためヴィクトリアは茂みの中から一匹の虫を摘んだ花に入れて手に持った。すると虫は花の中で発光して辺りを照らす。
「これはツキヨホタルといってフクラミソウの中に入れると発光して照明器具の代わりになるんだ」
「知ってるよ。軍隊時代にも使ったことがあるから」
「そ、そうなんだ」
苦笑しながらヴィクトリアが先頭に立って進み1、2キロ行ったところで大きな洞窟が現れた。入口付近にはバイキングが数人ほど屯していることからこの洞窟、あるいは周囲一体が拠点と思われた。
「これからどうするんだ?」
「潜入するしかないよ」
「本当かよ、危険だぜ」
しかしここまで来た以上は確認する必要があった。ヴィクトリアはホタルをフクラミソウから逃がした。
「最悪、戦闘するさ」
「なぁ、お前の強さってどんくらいなんだ?」
「ニンジンがダイコンになるくらい」
「なるほどな。……ってどういう意味だよ!」
カーサスのツッコミで敵が振り向きこちらへ近付いてきてしまった。慌てて口を塞ぐも敵との距離はゆうに100メートル圏内だ。
「誰かいるのか?」
「おい、誰かいたか?」
「いや、いない」
「死霊じゃねぇだろうな」
怖がるバイキングたちに何か思い付いたヴィクトリアが小さく詠唱を始める。すると彼女の後ろから骸骨や死人しびとがやってきとカーサスは思わず叫び声を上げてしまった。
「誰だ!?」
バイキングたちが近寄ってくると骸骨たちが出迎えた。彼らはバイキングたちの肩に手を置くと寄り掛かる。男たちはこの世のものとは思えない叫び声を轟かせると洞窟内に逃げ込んだ。
暢のびてしまったカーサスを起こすと彼の目の前には骨になったヴィクトリアがいて再び気絶する。彼女は叩き起こすと状況を説明した。
「彼らはボクの妖術で作り出した偽物だよ」
「で、でもよ、実体はあるじゃねぇか」
「それは魔術で実体化してるからだよ」
つまり妖術で幻想の骸骨や死人を作り出し魔術でそれらを触れることの出来るよう実体化しているのだ。
「この世には大きく分けて3つの力があるんだよ」
ヴィクトリアが簡単に解説を始める。3つの力とは誰もが何かしら1つの力を有するものである。
1つは魔力で魔法使いにとって欠かせない力の一つだ。
2つはゴードンが使っていた気力だ。これは気の力を扱い様々な形や力に変換することが出来る。例えば直接相手に触れなくても殴り飛ばすことが出来たり、空中に気の塊を作り足場にすることも出来るのだ。これは人間誰しもが必ず有するもので完璧使い熟しているのがゴードンである。
3つは妖力ようりょくでこれは幻聴や幻覚などを操るもので主に占い師や魔導師、種族では烏族などが有する力である。
これら全てを有する者はヴィクトリアやアリスなどのアーク神族以外には殆どいない。もしも3つの力を有する場合は神に仕える者の意味であるアークレイトと呼ばれる。
「基本的に魔力と気力の両方を持つ人が多いかな。妖力と魔力は似てるけど妖力では錬成は出来ないからね」
「ふーん。で、こいつらはお前が作り出したこの世にはいない実体化した作り物なんだな」
「そうだよ……」
しかし彼女ならば死霊を呼び醒ますことも可能であるがカーサスに言うことは無かった。何故ならば今いる作り物の中には本物の死霊が少なからず紛れ込んでいるからだ。妖力は無闇に使うとこの世とあの世を結んでしまう力があると言われている。
「さぁ行こう」
けたけた笑うように骸骨たちが洞窟の方に歩いていく様はこの世とは思えぬ、まるであの世へ向かう姿そのものであった。
ふたりは洞窟内を歩いて驚いた。中は以外にも広く、また様々な方向に通じているようだった。
「これは穴が一つや二つどころじゃねぇな」
「手分けして調べてみよう。カーサスは骸骨たちとボクは死人たちとで行くから」
「わ、わかった……」
怯えながらもカーサスは別の方向を探しに向かった。合流は今から1時間後で地点は先ほど入ってきた入口である。
「どっちも怖こえぇよ……」
目前に敵の恐怖、背後には骸骨の恐怖があったからだ。
「あいつの神経はおかしいぜ。まさかあいつ、実はお化けだったりしてな……あははは」
嚔くしゃみをするヴィクトリアは慎重に洞窟の奥深くへ入っていくと先ほど逃げた内のひとりが別のバイキングたちに報告していた。
「この先に道は無いようだし、ただの住居みたいなところか」
すると死人が勝手に彼らの元へと向かってしまう。
「あっ、あいつは奴らに殺された本物の死人だ」
気付いた時には遅く、彼らは死人の呪いによって命を絶たれていた。すると背後に視線を感じて振り向くとバイキングがいた。
彼は酷く怯えて槍を構えながら突進しヴィクトリアの腹部に差し込んだ。
「や、やった。死霊を倒したぞ」
「おめでとう」
ヴィクトリアは槍を自らの手で抜くと服をはだけた。そこには下に骨盤と背骨が見え、少し上には肋骨の中に赤く毒々しく動く心臓が脈打っていた。
「あなたのお陰で中身が無くなっちゃったのよ」
顔面蒼白になるヴィクトリアに男は失禁し転びながら慌ててどこかに行ってしまった。
「ふぅ」
服を着直すと咄嗟に折った槍を投げ捨てた。今の彼女の腹や胸の物は妖術で見せた幻覚である。ただし一応彼女の中身のものである。
「さぁ行こう」
内部は蟻の巣のように幾つもの部屋があり、食堂や貯蔵庫なども備わっていた。また出口も無数にあることから拠点同士が結ばれている可能性も高かった。
「そろそろ時間だ」
ふたりは合流地点の最初の入口へ向かい合流を果たした。結局ゴードンとティルピッツを見つけることは出来なかったがそれぞれの穴の出口は把握した。
今度はその出口を塞ごうと考え実行に移した。そして最初の出入口を残して次々に穴を塞いでいく。
「最後の穴だ」
ヴィクトリアの魔法で岩石が積み上げられ作業は終わった。次の行動は別の拠点を探して調査することだ。こちらも手分けして探すことにし、万が一ゴードンが潜伏する地点を見つけたら信号弾を発射するように打ち合せをしたのだった。
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